変態教師
※盗撮で捕まった体育教師の事件に触発されて創作しましたが、あくまでも創作物であり、事実とは全く異なります。変態描写は変態の作者によるもので事件を起こした教師とは関係ありません。
9月。まだまだ残暑が厳しい夏休み明けの中学校。
その教師は校門の前に立ち、生徒たちと挨拶を交わしていた。
「先生おはようございます」
「畠中先生おはようございます」
「はい、おはよう」
彼の名前は畠中 正義。今年54歳を迎えた保健体育の教師だ。
朝の校門指導は、生徒指導主任でもある畠中の、日課ともいえる仕事の一つだった。
(ふふっ。みんなムレムレだなぁ……)
夏の薄い制服に汗が染みこみ、白い下着が透けて見えている。目の前を、第二次成長期のピークを迎えた少女達が通過するたび、香水とは違う、制汗剤の匂いが鼻孔をくすぐる。畠中にとっては、子供のころから何一つ変わらない、まるで自分がまだ中学生なのではないかと錯覚してしまいそうな、至福のひと時だった。
そんな幸せな時間も、予鈴が終わりを告げようとしていた。
「わぁ~。先生っ、まってぇ~」
畠中が校門に手を掛けると遠くから、特に発育のいい少女が走ってきた。少女の体が上下に揺れるたび、豊満な乳房が交互に弾んでいる。だが、よく見れば、歩いた方が早いのではないかという速度しか出ていなかった。
「おら~飯島ぁ~。予鈴なってるぞぉ~っ。もっと走れぇっ」
畠中は、そんな少女を焦らせ、若さと豊満さがなせるアクション性を限界まで楽しむ。
少女の名前は飯島 春香。2年C組。少しどんくさいが、中学生とは思えないほどの巨乳を持つ美少女だった。夏休み明けにデビューしていないか心配だったが、いまだに純潔を守っているようで安心した。
少女はやっとのことで校門までたどり着いたが、すでに予鈴はなり終わっていた。
「はぁはぁ。先生っすみませんっ」
「仕方ねぇなぁ~。今回は特別だぞ~?」
「ありがとうございますっ」
ぺこりと頭を下げる飯島。その瞬間、シャツが浮き、質素な白いブラジャーと共に、胸の谷間がちらりと見える。
「ところで飯島ぁ、バスケに興味ないか? お前発育いいから絶対向いてると思うぞ」
「やだぁ先生。気にしてるのにぃ……。私、運動音痴だから無理だよぉ~」
飯島は恥ずかしそうに断ると、そそくさと走り去っていってしまった。
(もったいねぇなぁ~。俺はロリコンじゃないから、飯島ぐらい発育がよくなくちゃ、部活の顧問も張り合いがねーんだよなぁ~)
そんなことを考えつつ、飯島の残り香を堪能していると、閉まりかけの校門をかいくぐって少年が飛び込んできた。
「うぉ~っ、先生っ。セーフっすよねぇ? まだ校門開いてるし、これ、セーフっすよねぇ?」
少年は茶髪で色付きのシャツを着たガラの悪い生徒だった。昔ならばそれだけでも指導の対象ではあったのだが、10年前に学級崩壊を経験してからは校則も強制力を失っていた。
畠中は、飯島の時とは打って変わって、不快そうな表情を向ける。
「あぁ~? ダメに決まってんだろぉ。吉田ぁ」
「先生っ。お願いします。この通りですから、今月もう余裕ないんです。許してくださいっ。お願いしますっ」
生徒が必死で懇願する。ちなみに、校門が閉じられたからと言って、学校に入れないということは無い。この学校では、廊下を走らないように、予鈴の時点で遅刻が確定される。そのため本鈴が鳴るまではここで遅刻者を別途チェックしているのだった。なお、遅刻が一月に3回続くと、ペナルティが課せられる。
「ふざけんなよぉ? いつもチャラチャラしてるくせに、こんな時だけ頭下げたって意味ねーんだからなぁ?」
「そんなぁ~……」
男子生徒は肩を落とすと、カバンを乱暴に肩にかけて行ってしまった。しかし、少し離れると微かに舌打ちが聞こえた気がした。
(へっ、粋がった糞ガキがっ。そうやって悪ぶらなきゃ、まともに目も合わせられないチキン野郎なのはわかってんだよっ。それに比べて、今日の俺は……)
そして、畠中はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
――――――
50代半ばに差し掛かった畠中にはちょっとした悩みがあった。それは勃起不全。正確には勃起はするものの、行為の途中で硬さを失い、射精は出来るものの、オーガズムに達することはできない。といった少々複雑なもので、原因は畠中自身の老いもあったが、年々魅力を失っていく妻を、性の対象として見ることが出来なくなってしまったというのもあった。
それに対して、学校の少女たちは永遠に若々しいままで、性欲の強い畠中が惹かれてしまうのも無理の無い話だった。
だが、畠中も教師の端くれである。本来ならば、我慢をしなければならない。しかし、最近の校則の緩みが、風紀の乱れに通じ、ネット上でもツイッターやSNSを通じて、中学生自身が性の乱れを発信していた。
それだけではない。最近では、中学生同士での妊娠、出産といった話もあり、世間ではそれに対して肯定の意見まで出始めていた。
それならば、ちゃんとした大人である自分の手によって、女性にしてあげたい。そんな気持ちさえ芽生え始めていた。しかし、それをおおやけに口に出せば異常とみられるだろう。そんな溜まったうっぷんが、畠中を『盗撮』という魔の手に染めたのだった。
今日の水泳の授業は2時限目に1年。そして4時限目には2年C組……あの飯島春香のクラスだった。
――――――
3時限目の中頃、空き時間だった畠中は、プールに備え付けてある女子更衣室に来ていた。女子更衣室に男性教師。明らかにおかしかったが、体育教師の仕事の一つに、授業で使う道具や施設の管理も含まれていた。それゆえに、たとえ女子更衣室といえども、使う前に問題ないか確認するのは当たり前の業務と言えた。
更衣室のロッカーは、扉の無いむき出しの物で、その一つにはメンテナンス用の工具を詰め込んだ汚いダンボール箱が納められていた。
畠中はローカーに近づくと、慎重にそれを取り出した。
「よし。開けられた形跡は無いな……」
実はこの段ボール箱。この日の為に1学期からずっと仕込んでいたもので、4つの特徴を備えていた。
1.工具を詰め込むことで重くし、取り出しにくくする。
2.蓋を交互に織り込むことで開きにくくする。
3.ボロボロにすることで、穴の不自然さを隠す。
4.ずっと置いておくことで、違和感をなくす。
今まではカメラを仕込まずに、ずっと様子を見てきたが、水泳の授業も終盤を迎え、いよいよ、その出番の時が来たのだった。
なぜここまで慎重に準備を進めてきたのか。それは、スマホを使って盗撮しようと思ったからだった。本来なら盗撮用のカメラを使うべきなのだろうが、畠中の自宅にはパソコンが無かった。それだけではない。自分だけの部屋も無かった。その為、そういった明らかに怪しい物を持つことすらできなかったのだ。
(ふふふ……。飯島ぁ。汚れる前の姿をばっちり納めてやるからなぁ……)
スマホを仕込みつつ、妄想を膨らませる。飯島の居る2年C組は一番美女が多かった為、最初から『盗撮するならこのクラス』と決めていた。
そして畠中は、スマホを仕込み終えた段ボール箱を、元の位置に戻そうとした。すると、ロッカーの中に、小さな布切れが落ちているのが見えた。
「ん? なんだこれ?」
手に取って広げてみる。
「こ、これはまさか!?」
それは白い、飾り気のないパンティーだった。
「なぜ、こんなところに……」
匂ってみる。
「クンカクンカ……。うっ……。なんて強烈な青春の香り……。脱ぎたてか!?」
おそらく、2時限目の授業で使用した1年生の物と思われた。なぜ下着が置いてあったのか全くの謎であったが、考えている時間は残されていなかった。畠中のスマホでは高画質での連続録画は約25分。次の授業がプールだからと教師が早めに授業を終わらせる可能性を考えると、そろそろ引き上げなければ鉢合わせる危険性があった。そのため、畠中は、深く考えずに下着をポケットにしまい、女子更衣室を後にした。
体育教官室に戻ると、煙草を吸って時間を潰した。すると若い体育教師が声を掛けてきた。
「おや、畠中先生。今日はずいぶんと機嫌がいいですね」
「ははは。わかります?」
「えぇ。何かいいことあったんですか?」
もちろん、そのまま答えるわけにはいかない。畠中は少し考えると、意味深な言葉を返した。
「そうですなぁ……。しいて言えば、友達のオーディションについていったら、何故か自分も参加することになって優勝してしまった……。そんな感じですかね」
「ははは。なんですか、それ。気になるなぁ……」
そのころ、女子更衣室では着替えを始めようとする少女達の中に、一人の変わった女の子が、例の段ボール箱の近くで何かを探していた。
「ふ゛ぇぁっ、ないっ」
彼女の名前は柴田 裕子。1年生の女子で、独特な容姿をしていた。というか、どちらかといえば知的障碍者なのかもしれないが、なぜか普通学級にいることで少し有名な女の子だった。
2年の女子たちは、みんな少し戸惑いながら、この変わった少女のことを見ていた。すると、見かねた飯島が裕子に近づき声を掛けた。
「裕子ちゃんだよね? どうしたの?」
「べみちゃ……が、こ……ぼぉにぱんちゅあうぇっ……ぶぇ……」
「え? 恵美ちゃんたちが、柴田さんの下着をこの段ボール箱のそばで見たって?」
「うしゅ……」
裕子の声は小さく、滑舌が悪かったが、飯島には聞き取ることが出来たようだった。どうやら、イジメにあったようで、下着を隠されたということらしい。おそらく、2時限目の水泳の時に下着を隠され、今までノーパンで授業を受けていたのだろう。
「そうなんだ……。一緒に探してあげるね」
飯島がそういうと、他の女子たちも一緒に下着を探すのを手伝った。そして、ほどなくして、段ボール箱の蓋が開かれることとなった……。
それから、一服終えて着替えを済ませた畠中は、生徒たちの待つプールへ訪れた。
「よぉし。みんな着替え終わったかー……」
元気よく声を上げた畠中だったが、プールサイドに男子の姿しか見えないと、みるみる声がしぼんでいった。慌てて男子に問いただす。
「じょ、女子はどうしたぁー!?」
「あの……。よくわからないんですが、なんか更衣室にカメラがあったとかで、戻ったみたいです……」
近くの男子生徒が遠慮がちに答えた。それを聞いた畠中は、ダッシュで女子更衣室へと向かった。
女子更衣室に入ると、むき出しの段ボール箱が見えた。慌てて、中を覗く。
「ないっ。ないないないっ。ま、まずい……。落ち着くんだ。今頃録画が止まって、ロックされているはず……。スマホを壊しさえすればまだ何とかなるっ」
そして、段ボール箱の中からハンマーを取り出すと、女子生徒たちの行方を捜した。
ほどなくして、2年C組の教室の前に、数人の教師たちが集まって何か話をしているのが見えた。急いで輪に加わる。
「生徒から話は聞きましたっ。カメラはどこですかっ?」
「あっ、畠中先生……」
ピチピチの海パン一丁とハンマーを持って現れた畠中に、教師たちは戸惑いの目を向けていた。畠中はその中の一人、若い女性教師が、自分のスマホを握っていることに気が付いた。
「俺に任せろ!」
畠中はそう叫ぶと、スマホを奪いとり、ハンマーで思いっきり叩き付けた。バンッという鈍い音が響く。
「あぁぁ……」
周りの教員から落胆の声が響く。しかし、畠中が再度ハンマーを振り上げると、慌てて止めに入った。
「畠中先生っ。止めて下さいっ」
「なにしてるんですかっ」
男性教師達が畠中を取り押さえようとした。だが、ここで引くわけにはいかない。自身を取り押さえる数多の腕を振り払い再度ハンマーを叩き落とす。
「学校をっ、守りたいっ!!」
掴みどころのない裸の体育教師の本気の抵抗に、周りの教師達はなすすべもない。
尚も、畠中の凶行は続く。
「このスマートフォンにわぁっ、生徒たちの裸が映っているっ。もし、警察の手に渡ればっ……、警察だって男だっ。俺は生徒たちを守りたいっ。この学校を、守りたいっ!!」
熱いスピーチと共に、ハンマーが振り下ろされる。だが、女性教師の次の言葉に思わず凍り付いた。
「先生っ、落ち着いて下さいっ。生徒たちは着替えていません。それに、そのスマホが畠中先生の物だって、もうわかっているんですっ」
「えっ……」
まるで時が止まったかのようにハンマーを振り上げたままの姿で固まる。そして、少しすると、一言だけ声が漏れた。
「ロックは……?」
「録画中だったもので……。生徒たちが見つけたときにはまだ中を見ることが出来ました……」
畠中の手からハンマーが落ちる。教室の入口から女生徒達がおびえた目でこちらの様子をうかがっていた。
男性教師たちは慌ててハンマーとディスプレイが粉々に破壊されたスマホを奪い取った。それと同時に、放置されていた男子生徒と、新たな教師たちがその場に集結した。
「なんですか、この騒ぎはっ」
「あっ校長先生……」
「生徒は教室に戻りなさいっ」
裸で力なく廊下を見つめる畠中の横を、男子生徒たちが通り抜ける。それと同時に女性教師が校長に簡単な説明を始めた。その間、畠中の脳裏には家族のことや、これから先の未来に訪れるであろう辛い人生が浮かんでは消えていった。そして、それは説明が終わろうとした時のことだった。
「そうだ……。盗まれたんだ……」
「え……」
畠中の口からぼそりと言葉が漏れる。
「そうだよ。そのスマホ、今日盗まれたんだったんだっ。おかしいと思ったんだよぉ。なんで俺のスマホが女子更衣室の段ボール箱に仕掛けられてるんだよ……。おかしいよな? なぁ?」
「畠中先生……」
徐々に語尾を強める畠中。しかし、それとは逆に皆の目は冷めていた。
「信じてくれ。本当に盗まれたんだよぉ」
畠中の必死の懇願。誰がどう見ても嘘であることは明らかだった。しかし、思わぬ人物が肯定の声を上げた。
「信じましょう」
「校長っ!?」
それは校長だった。校長は神妙な面持ちで淡々と言葉を続ける。
「生徒指導主任を務めている畠中先生が盗撮なんて、私には到底考えられません。疑わしきは罰せず。今回の件は、何者かが畠中先生の携帯電話を盗み、疑いの目を向けさせるためのいたずらをした。そういうことでよろしいですね?」
もちろん、みんな納得するわけはなかった。そもそも、盗まれたのなら先ほど畠中自身が口にしたロックを解除する必要がある。だから内心分かっていた。問題を大きくすれば、保護者への対応や、学校の評判等、デメリットの方が大きいということを。それなので、皆渋い顔をしつつも反論はしなかった。
「それではこの壊れたスマートフォンは事が沈静化するまで私の方で預かっておきます」
危なかった。まさに天国と地獄。あと一歩で地獄へと落ちるところだった。ほっと胸をなでおろす畠中。
すると、生徒から直接話を聞いたらしい女性教師が言いにくそうに言葉を発した。
「あの、校長……。この場ではとても言いにくいので伏せていたのですが、すでに何人もの生徒が、畠中先生が下着を持ち去るところをそのスマホで見ています……」
耳を疑う畠中。頭から血の気が引いていく。それは校長も同じようで、語気を強めて問いただす。
「なんですか、その話はっ。詳しく話しなさい」
「あ、はい。生徒の話では1年の柴田裕子さんが、下着を更衣室に忘れたらしくてそれを探している最中にスマートフォンを見つけたらしいのです。中を確認したら、畠中先生が柴田さんの下着の匂いを嗅ぎ、そのまま持ち去るところが映っていたそうです……」
(柴田裕子……だと!?)
女性教師の言葉がさらに畠中を追いつめる。畠中にとって、下着の匂いを嗅いでいるところを見られたのもショックだったが、あの下着が柴田の物だったと分かったこともショックだった。
「私も生徒達から聞いただけなので確証はないのですが、動画撮影ですので、SDカードを使っているならまだ確認できるかもしれません……」
突如、生気を失っていた畠中が、大魔神のごとく表情を一変させる。そして、スマホを奪おうと、校長に襲い掛かった。
「ま゛ぁぁぁーーーーーっ。守りたいっ!!」
突然の出来事に、受け身を取る余裕すらなく、後頭部を打ち付ける校長。
「キャー」
「校長!!」
校長は白目を剥き、痙攣しながら泡を吹く。しかし、畠中はそれを意に返さない。スマホを奪い取ると、側面を爪でカリカリしながらSDカードを取り出そうとした。
( くそっ、ピンが無いと蓋が開かない……)
あまりの出来事に、固まっていたほかの教師たちも動き出す。
「畠中っ。あんた、何やってるんだ!?」
そして、畠中は覚悟を決めた。
「学校は、俺が守るっ!!」
そう叫ぶとスマホを口の中に強引に捻じ込み、そのまま飲み込もうとした。だが、飲み込めるはずもなく、のどの途中まで押し込まれたスマホは、先にも後にも進むことが出来ない。畠中は、苦しそうに呻く。
「ぐっ、おごっ……こふー……。おごっ……ひゅーぐぴっ」
そして、そのまま白目を剥くと校長同様、泡を吹いて痙攣を始めた。
「キャーッ。畠中先生っ。」
「誰か、誰か救急車を!」
「救急車2台っ。あと警察っ!!」
こうして、変態教師畠中は逮捕され、職を失った。