006_初戦闘
「しまった飯を買うのを忘れてた・・・」
そう思いだしたのは、お腹が鳴ってからだった。
「しかし、金がないから買うことも出来ないのか」
悲しい気持ちになるも空腹がそんな気持ちを忘れさせてくれる。
村を出てかなりの時間を歩いただろうか、日も落ち始め、徐々に辺りは暗くなっていく。
本当なら野宿の準備をした方が良かったのだろう、それでも俺は歩みを止めず進んだ。
暗くなり始めたくらいだろう、人ではない何かが街道の外から俺を追いかけてきているのが分かる。
腰に挿した、剣を意識を向ける。
頭の中で、瞬時に抜剣出来るよう何度もイメージする。
何かは執拗に俺との距離を保ったまま、追いかけてくる。
ツバを飲み込む。
街道の灯はモンスターを寄せ付けないと侍女が言っていた通りか、その何かは街道にある灯を嫌って、必要以上に近づこうとはしない。
見上げると街道の少し先の灯が故障しているのかその一角だけが暗くなっている。
「襲ってくるとしたらあそこだな。まぁ、やってみるしかない、、、この世界で生きると決めたからには、前に進もう」
俺は生きるための決意を口にする。
暗がりで襲われるのを考慮して、片目を閉じる。
灯になれた目を少しでも暗闇でも見えるように。
50m
40m
30m
徐々に後ろの何かの足音が近くなってくる。
20m
10m
つけてきた忍び足は完全に隠す気はなく、もの凄い勢いでこちらに駆けてくる。
「来たな!」
俺はすかさず180度反転し、閉じてた片目を明け、開いてた目を閉じる。
イメージの通りの動きで腰の剣に手をかけ、抜剣する。
「グルルルルゥゥッ」
狼型のモンスターがもの凄い勢いでこちらに駆けてくる。
「一体だったのが、救いだ!」
狼は迷わずこちらへ突き進んでくる。
「しまった!」
片目を閉じていたら距離が取れない、俺は初歩的なミスを犯してしまった事に気付く・
すかさず両目を開けるが、暗闇に慣れてない目と慣れてる目の違いに脳の処理が追いつかない。
「くそ・・・!」
迎撃する気で構えていたが、腰を落とし剣を正面に水平に構える。
ちぐはぐな目で何とか距離を計り、狼が噛みつかんとする方向へ剣を盾のように突き出す。
ガキンッ
「なんて力だ・・・!」
剣に噛みつき、そのまま俺を押し倒そうとしてくる。
何とか、全身の力を振り絞り、噛み付いてた剣を前へと思い切り押し出す事で狼は離れる。
押し出した反動で狼は後ろの方へと距離を取る。
何とかまだ生きてる・・・が、力は拮抗、俺には剣が一振りだけだ
向こうには牙と爪がある以上は切り札の数で負けてしまっている。
これでもかというくらい、頭をフル回転させる。
一か八かだ・・・奥の手を思いつくとそれを実行に移す。
「固有スキル発動!『理解』!!」
・・・・・・
あれ?あれれれ?
「固有スキル発動!『理解』!」
さっきより滑舌よく言う。
・・・・・・
く、くそぅ・・・・これパッシブスキルかよ!!しかも声に出してまで言ったのに、恥ずかしいじゃねぇか!!
もの凄く冷や汗を書く。
変に叫んだせいで、狼もこちらを警戒している。
何としてでも、仕留めてやる。
どうあがいても、敏捷では向こうのほうが上だ。
他はほぼ同じか少し上か。
正面に構えている剣を斜め横に構えると、腰を低くして、呼吸を整える。
呼吸が整うと、冷静を取り戻してくる。
いつから俺はこんなに武人然としていただろうか
俺は息を整え、きっと狼を睨みつける。
それに反応してなのか、狼はこちらへ向かい走りだす。
「二度目だ、その攻撃は!」
狼は同じ動作の為か、さっきよりその攻撃が理解る
狼の呼吸と合わせ、体を上下させる。
「今だ!」
構えた剣を狼に向かい、なぎ払う。
「キャウッ」
ゆっくりとこちらを見据えながら狼が立ち上がると、胸から喉元にかけて斜めに傷が入っているのが見えた。
倒れてる際にこちらの追撃を期待して、反撃をしようとしていたのだろうけどその読みは外れていた。
改めて狼の姿を目に映してみる。
敵である俺を何としてでも殺し、肉を喰らってやろうという目つきは怖いと感じる。
だがかなりの傷だ。
これが勝負ならば勝ちという事で終了だろうが、、、殺し合いはまだ続いている。
ここで隙を見せたら駄目だな。
俺は再び剣を構える。
狼も身を低くし、飛び出す。
「3度目だ、その攻撃」
ピロン
剣術Ⅲを習得しました。
この動き・攻撃、そこから派生する連携。俺には理解っている。
スッ
剣を振るうと、的確に狼へと攻撃が当たる。
攻撃が当たった狼は鳴く事なく飛ばされ、倒れる。
俺は慎重に近づき、狼が死んだかを確認する。
まだ息があり、その眼は俺を見つめている。
喉を完全に切り裂いたからうまく呼吸が出来ないのだろう。
狼、、、いやモンスターか。俺が、初めて殺そうとしているのに、、なんで俺、こんなに落ち着いているんだ・・・
考え事をしつつも、俺の剣は倒れた狼の眉間に向かい剣を振り下ろす。
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