Ep.23 Love story Ⅰ 『青い花』
野道を行くふたり…←藤吉浪と加奈子
↓すたたたた ↓ ↓
まえにまわりこみ→「ねえねえ…藤吉浪~…?」
↓ 藤吉浪→↑
なんだあ?→「ん?何だ…加奈子?」
あのさあのさ…↓
加奈子→「ねえねえ…ケータイ持ってきた~??」
ん?それがどうした↓
藤吉浪→「持ってるぞ…加奈子ちゃん」
うひゃっ、ちゃんづけとか↑チョ~嬉しいんだけど~
加奈子→「写真撮ってよ~~」←「あ?何だ、そんなことか」
ヤケにお安い御用じゃねえか↑←藤吉浪
うそうそ…何でもない↑もういいよ、撮らなくて
加奈子→「うそ、やっぱいいや」←「なんだよそりゃ…」
いいって何だよ…↑←藤吉浪
なんだそりゃ…?↓ ↓
「やっぱオンナはわかんね~な…」
白の貴婦人コーデの大きな帽子↑
「ねえねえ…帽子…可愛いでしょ?」←加奈子
「ああ…」→「というかお前が着れば何でも可愛く映るぞ」
↑ ↓←加奈子↓
藤吉浪←「きゃっ、いきなりなに言うのよっ!」
も~~↓超~
「嬉しいんだけど~~…」
でもねぇ~…可愛いんだけどね~↓ちょっとだけ
この帽子…「あんま抱きつけないじゃん!」難点があるのよ…
てかてか…↓ちょっとどころじゃなくて…
「超~!欠点だよね~~」
↓思いっきり藤吉浪に抱きつく加奈子
ギュ~~~~~!→藤吉浪→「おいおい!帽子、邪魔だ!」
「あ~~ん!やっぱ被んなきゃよかった、コンナノ~~~」
ショック~~↑ ↓
加奈子 藤吉浪↓
「ったく、ショウガネぇオンナだなテメーは…」
帽子を少し外側へズラし…↓→ギュ~~~ッ!
「ほら…!これでいいか…??」
ヤダ~~ダーリンったら~~~↓←加奈子
「もぉ~~っっ!気、失っちゃ~~~う!!」
↓上気した顔がこちらを見ている…→色白の美人顔が…↓
「!」←藤吉 赤く染められていた…
↓…まるで…時が止まったかのような…
↓キラキラと潤んだ瞳が吸い込まれるような…
ふうっ…↓美しい引力を見せられてもう…どうにもならない!
藤吉浪→「お前は美しすぎるぜ…まったく!」→加奈子
っもう!死んじゃうじゃん!!↓
藤吉浪←女少美す返めしき抱く強…←「きゃあっ!」
↓ギュ~~~~→加奈子
「愛してるぜ、加奈子」
はぁ~~~~~↓死んじゃったぁ~~~~~
「ああん…もう…しあわせ……」
↓
永遠のようなひととき……
加奈子↓藤吉浪
まるで竜宮城にいる浦島太郎のように…
ここは時間を忘れてしまった異空間のようだった…
「あっ…」
↑
ホントウに何気ない現象だったのだと思う……
生きているとは、時に、このような連なりを示していく……
「青い花…」
↑
どれくらい長い時間が経ったのだろう……?
結論から言うと、若く美しいこのふたりが、
ふたりの年老いた夫婦になっていてもおかしくないくらいに…
もしかすると…↓
長い時が経っていたといったって過言ではなかった
↓
それくらいに…
永劫ならしめるほどの究極の…
↓
ふたりの、永遠の時間だった…
「青い花」…ふたりの永遠とも呼べる究極の時間を…
↓
破りさったのは同じタイミングの同じフレーズだった
↓
よってふたりは同じ言葉、リズムで、
同じ瞬間に狂いなくそう言い放った
藤吉浪→太もも↓顔←加奈子
藤吉浪の折った膝の太ももに、枕して加奈子は
すっぽりと顔をうずめていた
↓
ふたりは同じ風景を見ている……
↓
「あんな野の道端に…キレイな青い花…」
↓ ↑加奈子↓
「綺麗だね…あんな花…あったんだ…」
↑
あの花自体が異世界なのか…?
あの花がふたりを異世界へと送るのか…?
↓
深い意味など何も考えず、ふたりはただ…
呼吸をするように自然や空気と戯れるように…
ありのままひろがるふうけいを感受した……
ゆびを絡ませ…手をつないでいる……
雲が空にかかり…風が少しだけ…寒くなっていた……
↓
野を行き過ぎて…緩い坂道を下っていくと、海が見える
↓
砂浜
↓
「?どうしたの…ダーリン?」←加奈子
↓
藤吉浪が、めずらしく裸足になっていた…
↓
「え?遊ぶの…もしかして…?」
藤吉浪↓ ↑加奈子
「あ…いや、海に足を浸けたら
気持ちがいいかなと思ってさ…」
ザザザーン… ←浪音は浜を削り…
ちゃぱちゃぱ… ←潮騒が白い花のようにひらいてゆく…
何言ってんのよ~↓ ザザザーン…
「もう今の季節はクラゲもいるし…危ないんだから…」
見てみ?藤吉浪…↓ ちゃぱちゃぱ…
ザザザーン… 藤吉浪 キーキー…キーキー…
ん?ああ……↓ ↑白いかもめが飛んでいる…
「確かにそうらしいな…」 ↓ ザザザーン…
↓ キーキー…キーキー…
「たくさん光ってるぜ…」 ちゃぱちゃぱ…
↓加奈子 ↑ 陽が落ちかけている…
「でしょ?っもう…めずらしいことするもんだから…」
↓ 空が急に赤に染まり始めた…
「下手なことしちゃ、痛い目に合っちゃうよ~!」
↓ 縮れた雲の縞に…
「ねっ…ダーリン!!」 キーキーキーキー……
↓ ザザザーン…→ 浪音
薄紫や、ピンクのような… ↓
↓ ちゃぱちゃぱ…→白い花
普段の夕暮れよりなお一層、 ザザザーン…
幻想的な夕暮れの景色が… ちゃぱちゃぱ…
海を広々と包んだ… ザザザザーン…ちゃぱちゃぱ…
おおらかな空一面に…広がっていた…… ザザザーン…
↓
ザザザーン…ザザザザーン… キーキー…キーキー…
ザザザザーン…ザザザーン… キーキーキー…キーキー……




