Ep.92 幻想世界の住人
霧が晴れていく……
↓
自らの激闘のさなか…
↓↓
藤吉浪のトドメの一撃に立ち会って
↓↓
思わず眼を奪われてしまった
↓ ↓
勾玉 眼多流
↓そして…↓
「やったよね~っ!!」「やりました!!!」
↓ ↓
「藤吉浪ク~ン!!」「藤吉浪さん!!」
↓
藤吉浪
↓しかし!
戦友である二人の声に気づかないまま
↓ただ真っ直ぐに
藤吉浪は
↓
愛するオンナの元へと向かう…
↓スタタタタッ…
加奈子…←美しく魔境である朱色の地面に伏している…
メデューサのチカラを藤吉浪へ奪われた加奈子は…
幻想のイメージをその肉体から蒸発させていて…
有りありとした肉感を…
女性として更に湛えていくのであった
美しく伏せる絶世の美女の麗しい肢体…
↓そして…
瞳←加奈子
↓パチッ
↑ ↓「……」
瞳 ああ…
↑ ↓
藤 「ダーリン…」
吉→「加奈子……」
浪 ↓
ふたりはそれから数刻…
↓
ただなにも言わずに…
↓
じっと見詰め逢うばかりだった……
↓そして…
「勝ったんだね…藤吉浪…!」←加奈子
↑ああ…←藤吉浪↓
「ボロ勝ちしたぜ、加奈子ちゃん」←藤吉浪
↑んも~う…←加奈子↓
「ちゃん付けとか…嬉しすぎるんだから!」
↓嬉しい!嬉しい!
「ありがとう…勝ってくれて!あなたは本当に…」
↓ギュッ→藤吉浪
「強くって心のそこから優しい!!」
↑ああ…ハイジニーナちゃん…
「お前がいるからな…」←藤吉浪
↓お前を前にして…
「優しくなれないオトコなんて」
↓ギュッ→加奈子→「あんっ!」
「誰ひとりいやしねーぜ、絶世の美女よ!」
↓ギュ~~…ギュ~~……
その数刻はやはり永遠のように長かった…
↓
激闘!
↓
しかし最強の三名と…
↓
絶世の美女の特殊能力をもって…
↓
自らの内面との激闘という…
↓
世にも困難な
↓
恐慌-BAD-状態-TRIP-に対して…
↓もはや完全無欠の…
怒涛の勝利を収めるのは…
↓むしろ
運命的ですらあるほどに
↓
強固な現実である
↓
絶対的な絆と強さの証であった……
↑↑
「藤吉浪ク~ン!!」「藤吉浪さ~ん!!」
↑勾玉 眼多流↑
↓ともに力を出し合って
勝利を収めた戦友の…
↓喜び猛々しいその二つの声は…
↓シャキッ!
今度こそ藤吉浪の…
↓そして加奈子と沈み込んだ永遠世界の…
絶対領域を破り…
↓
藤吉浪は…
→そして藤吉浪と加奈子は…
↓ようやく
現実世界へと引き戻されていた…
↓
魔境…
↓
朱色の魔境の結界は…
↓シュアアアアアアアアアアアアアア!!!!
立ち消えになっていく…
↓蒸発…
それは激しく…
↓
結界のあった海辺の村のそのゾーンの
↓
水分や空間を構成する
↓
様々な物質を帰化させていく…
↓ドシュアアアアアアアアアアアアアア!!!!
↓ ↓眼多流
「内部にいては危険です、藤吉浪さん、加奈子さん、ここから脱出してしまいましょう!!!」
↑そうだよねっ!!←勾玉↓
「この魔境の消滅はジハードのように厳しいみたいだよねっ!!」
↑それなら…
藤吉浪
↓グウワッ!!!
藤吉浪は…
↓残り僅かな精神を使い…
その双頭である精神のチカラで…
↓
ジハードの罠に四名を
引き摺り落とそうとしていた
朱色の魔境の最後の砦、帰化作用を…
↑ピタ!
石化させて凍結させていた……
↓藤吉浪!←加奈子
「…ワタシの悪魔を…」
↓飲み干してくれて…
「拭い去ってくれたんだね……?」
↑ああ…ハイジニーナちゃん…
「お前じゃ抱えきれないだろうな?だから俺が吸い取ったぜ…お前はもう、フツーの人間だ…」
↑涙…←加奈子
「ダーリン…」
↓
加奈子はとても喜んだ…
↓自らに巣食ったトライアングルと
幻想の大河の悪魔を…
↓拭い去ってくれた…
愛するオトコ…
↓ただし…
加奈子は幻想世界の住人…
↓
藤吉浪とは別世界へと移らなければならなくなった事実に
↓
無性に…激しく…
↓
寂しさと喪失感を感じずにはいられなかった…
↓→ボロボロッ…→涙←加奈子
「藤吉浪……」
↑ああ…加奈子…←藤吉浪
「心配いらねー。お前は俺の心の中にいる、そしてお前の心の中に俺はいるぜ。幻想だろうが現実だろうがお前と俺は永遠を誓い合ったひとつの精神なんだ…」
↓だから…
「お前と俺は永遠にひとつだ、離れていようが離れちゃいねえ!!」
↑藤吉浪!←加奈子
「好き好き好き!絶対離さないんだから!!ワタシも幻想世界にいるんだから!!!絶対絶対離れないんだからねっ!!」
↑……
↓藤吉浪は感じていた…
例え…メデューサのチカラを失っても…
↓
幻想世界のひと…
↓
藤吉浪自身と
↓
永遠を誓い合うオンナ加奈子は…
↓
きっと永遠に幻想世界の住人であって…
↓
きっと契を交わして…
↓
幻想世界へといつまでも共に過ごし続けることになるであろうと……
↓
永遠に…
↓
死ぬまで…
↓
そして死んでからも…
↓
永遠の…
↓
幻想世界にて……
↑ ↓眼多流
「藤吉浪さん、あなたの精神も限界が来そうです、我々のチカラで、どうにかここを脱出しましょう…時間がありません、勾玉さん!やってしまいますよ!」
↑うん!←勾玉↓
「やっちゃうんだよねっ!!」
↓
眼多流は二本の長い刀を朱色の地面に刺して…
↑えいっ!
勾玉が矢を放ち電流を流した
↓
空気が騒ぎ出す……
↑ガロゴオオオオオオオンン!!!
霹靂!!!
↓そして…
グオオオオオオオオンン!!!!
↓
大きな風が吹いた…
↑さあ!←眼多流
「荒療治です!藤吉浪さん、お嬢様を守って」
↑ああ…←藤吉浪
「全く強引なやり方だぜ……」
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ビュワアアアアアアアアアアア!!!!!
↑
更なる強風が吹き付けていた…
↓藤吉浪は残り僅かな精神を
加奈子のためだけに注ぎ込んだ…
↓勾玉も眼多流と自身のためだけに回復系の呪文を流していく……
そして
ブアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「くっ…」←ギュッ
「うああああああああああああああああああ」
「はあっ……」
↑
四人は巨大な風に煽られて…
↓空中を飛び…
シュ~~~
↓
ダンダンッ!
↑
遠くの地面へとカラダを打ち付けた……
↓
藤吉浪以外は…
↓
特殊能力でガードされて
↓
どうにか無傷だったが…
↓
「うぐあっ!」←藤吉浪
↑
藤吉浪だけは…
↓
生身のままで
↓
かなりのダメージを負った…
↑
とはいえ…
↓
最強の戦士…逞しい肉体を持つ
↓
浪藤吉藤吉浪は
↓
それでも持ちこたえるのが常だった!
↓
「…くっ…痛え…」←藤吉浪
↑
四人は脱出していた…
↓
海辺の村…
↓
そこから…
↓
朱色の魔境のあった場所…
↓直ぐ様…
ドシュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
↑
魔境は消え去っていき…
↓
そして…
↓
そこには
↓
彼らの地元に存在する
↓紺藍の魔境への洞と…
↓
もうひとつの魔境 柿渋色に繋がる魔境への洞が…
↓
大きな橋のような出で立ちで…
↓
枝分かれして存在しているのだった……
↑
それは四名の眼を奪うほどに…
↓
見事な荘厳さを湛えていた…
↓力尽きた四名はしばらくそれを眺め…
そしてようやく彼らの地元へ続く
↓
紺藍の洞へと向かっていった…
↓
無事!
↓
第二の魔境の大ボス蜃気楼との激闘は制した!
↓しかし……
彩色見聞録は…
↓
ようやくその僅かな一歩を踏み出したに過ぎないのであった……
↓
彼らに立ちはだかる激闘は…
↓
まだまだどれほど強大で
↓
困難であるかなど
↓
現時点では計り知れないものであるのだ…
↓
いずれにしても!
↓
先立つ二つの魔境は討伐という結果に終始することとなったのだ……
『彩色見聞録Ⅰ』完




