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桜の木
昼休み。
お弁当を食べてしまって最近読み始めた、恋愛ものの本を取り出す。
もちろんカバー付き。私が読んでいてはクラスメイトにバカにされてしまう。
しかし教室は、体育祭前だからか、いつも以上に騒がしく本を読める状況ではない。
私は本を持って、静かなとこを探す。外に出ると春のポカポカした良い天気。
歩いてる途中あった自販機の紅茶を買って一口。冷たい紅茶が喉を通り、清々しい。
ふと、紅茶から目線を逸らすと大きな木が見えた。
私は引き付けられるように、そこへ走る。
少し入り組んだとこだったけど、凄い心地いい風が吹く桜の木がある場所だった。誰もいない。凄くちょうどいい場所を見つけた。
私は木陰に座り、イヤホンを耳に当て、本を開いた。