表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ARROGANT  作者: co
土曜日
46/194

20

「健介君を攫った動機がわかりませんね」

「身代金ではないですよね」

「そもそも原田さんがこの被疑者の、小林に健介君を預けてますよね?」

「先ほど君島さんに健介君が誰の子かを臭わす発言があったとお聞きしましたが?」

「原田さんもご存じない?」



 何もわからない。

 動機なんて、自分の子供なんだから手元に置きたくて攫ったのだとしか原田には考えられない。

 原田は返事をせず、首を振って壁にもたれて立っていた。




 離れた場所で警官がぼやいている。


「しかし、……産みの母親だって?民事じゃねーの?これ」

「親権持ってないから略取には違いないさ」

「略取って、連れ去りって言ってんのあの二人だろ?第三者の目撃があったんでもないし。ホラじゃねーの?」

「子供がいなくなったのは確かだろ」

「子供って言っても里子だぞ?本当のお母さんを尋ねて家出とかだとどうするんだ?」

「まぁそれならそれですぐ解決するよ」

「だから、こんな大掛かりな体制にしていいのかって」

「刑事部長が強行して本部も作ったしな」

「どーすんだ?母子仲良く手繋いで部屋に戻ったりしたら?」

「やばいんじゃない?本部長の雷どころじゃないよな」



 また警官の誰かの携帯が鳴り、手を上げて注目を促した。




「本部から。県境のバイパス上でトランクに子供を入れた車がいたと複数の通報があり、そのレンタカーのナンバーからドライバーの名前判明。北山庄司、45歳。さっきのアパート借りた千葉の男だ。トランクに監禁されたのは健介君と推測される」


 おお!

 と警官たちが一斉に反応した。


「北山と小林の携帯の電波がそのあたりまで捕捉できていたが、今は消えた。電源を切られた可能性と県を越えた可能性がある。今はその付近を隣の県警にも頼んで捜索している」

「それと北山の千葉の住所にはもう居住家屋がない。住所不定」



 警官たちはざわざわとその話題を広げるために騒ぎ始めている。


 あのバイパス降りたなら、長距離移動ではないということか

 子供をトランクに入れたというのは、逃げ出しそうだったからだな?

 健介君に同行の意思はないことの裏付けだな

 何が目的だ?

 早く見つけ出さないと、危険だ


 ぼやいていた警官たちも青くなって持ち場に戻った。





 原田は、蹲っていた。


 嘘だろ。


 トランク?


 トランクって何だ?


 子供を?

 健介を?


 まるで荷物のように。


 嘘だろ。



 原田は頭を抱えた。



 母親だろ?

 健介を手元に置きたくて攫って行ったんじゃなかったのか?


 トランクって何だ?



 そんな暗くて狭いところに、監禁。

 健介は、暗闇が嫌いなのに。

 昔からだめなんだ。最初からだめだった。

 どうしても小さな灯りが必要な子供なんだ。

 それがないと、泣きわめく。

 俺が抱くまで泣きわめく。



 きっと泣いている。

 暗いトランクの中で。


 そんなところに閉じ込められているなんて。

 そんなところに。


 気が狂ってしまう。


 早く、探し出してくれ。

 誰か、早く。



 原田は目を閉じて頭を抱えていた。





 皮肉にもトランクの中の健介と全く同じポーズで、原田も長い夜を越えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ