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ARROGANT  作者: co
翌木曜日
112/194

24

≪現場がピンチでスタジオもパニック!そんなことになってたんだな!≫

≪ラジオだと見えないからねー≫

≪あのパパが跪いたって!萌!≫

≪見たい!誰か動画上げて!≫

≪しゃがんで子供抱いてたのはあった≫

≪「おいで」するパパが見たい!≫

≪誰か動画!≫

≪ないんだろー。あったらとっくに上がってるハズ≫

≪つーか、今見てんじゃね?≫

≪スタジオで≫

≪そんな感じだよねー≫

≪だよね!岩城が撮ったね!≫

≪岩城GJ!≫

≪見たいwww!≫

≪パーカーwww!≫

≪って、誰情報?≫




 画面は依然原田のアップのままで、静物のように表情すら動かない。

 相変わらず動いているのはひらひらと落ちてくる雪のみ。


 じきに、静物風だった原田が瞬きをしてわずかに眉を顰めた。



 その後、ふわりと微笑んだ。




 机に両肘をついて頭を抱えている原田以外の全員、前のめりに映像に食いついている。映画のワンシーンのように美しい様なのだ。


 咲良だけは、なんとか放送事故を避けようと言葉を繋げる。


『それで、お父さんがパーカーは?と訊いた後は、少年はお父さんのところに歩いて行くんですね?』

『あ、あ、はい。その後はそうです』

『安心したんでしょうね』

『何か会話しながら、近づいて行きましたよ』



 画面では、笑う原田がまた何か短く言葉を口にした。

 さすがの朱鷺もしっかりとは読み切れず、健介に確認してまた笑い、君島に伝える。君島がそれを咲良に伝える。また咲良が笑みを噛み殺して報告する。



『はい。この時の会話が判明しました。あの電話、警察じゃなかったよ、だそうです』

『なんすか、それ?』

『高速にあるあの緊急電話、あれをお父さんは少年に、警察に繋がるって教えていたそうです』

『あれ?あれって警察に繋がるんじゃないんですか?』

『ねー!そう思うわよねー!違ったのね』

『それでも繋がったんですよね?』

『そう。だから秋ちゃんにも伝わって、私に連絡が来たんだから』

『結果的に間違いじゃなかったんだね』

『そうよね』





≪絶対動画あるな≫

≪動画見ながらやってるな≫

≪見てるな≫

≪てか、誰かいるんじゃね?≫

≪誰かいるな?≫

≪誰?≫

≪パパ。絶対パパスタジオにいる≫

≪だな。パパしか知らない情報だもんな。さっきから≫

≪スタジオにカメラねーのか!≫

≪つーか、いるならパパしゃべれ!≫

≪いるわけねーだろwww≫




 そして画面では、原田が健介を掴まえて抱き締めた。

 健介の腕が原田の首に回り、原田の肩に顔を埋めて泣き出した。


 徐々に、車の内外の人々が手を叩きだす。

 それが広がり、大きな音になっていく。


 その音がスタジオのマイクに拾われた。




≪何の音?≫

≪ノイズ?≫

≪雨?≫

≪拍手。動画の≫

≪高速の!≫

≪パパが子供掴まえた所か!≫

≪やっぱ見てる!≫





『そして、テレビでも散々流れていた通りに少年はお父さんに保護されて、無事解決しました。この放送もほとんど事故並みに混乱しましたけど、裏ではそんなことになってました』

『あの時はリスナーのみなさんに何の説明もできなくて、今日まで待たせてしまってごめんなさい』

 咲良がそろそろまとめに入ろうとしていたが、突然画面の音声が大きくなり言葉を遮られた。


 室内に響いたのは、レディ・ガガ。




≪動画もフィニッシュだな≫

≪やっぱ見てる!≫

≪エンディングテーマwww≫

≪ガガ様≫

≪この時パパ睨むよな?≫

≪睨む≫

≪怒った≫

≪なんで?≫

≪理由不明≫

≪あれだけは不可解≫




 健介を抱いて立ち上がっている原田が、再びアップになっている。

 だから怒りに変った表情もはっきり映っている。

 テレビで流されたどの映像よりも、大きくはっきりと映っている。


 原田はその自分の表情を、頬杖をついて顔を顰めて眺めている。

 他はみな、画面に釘付けだった。

 やはり咲良が言葉を繋ごうと口を開いたが、ほぼ同時に岩城も口を開いた。




「……なんで、こんな顔してんですかね?」


「ね。なんでだろうね?」


 君島が不用意に相槌を打った。





≪え?≫

≪何?≫

≪誰?≫

≪今の声≫

≪咲良さん?≫

≪違う≫

≪誰?≫

≪ゲスト?≫

≪パパ?≫

≪違うだろ≫






「何か腹立つことでもあったの?」

 君島が原田に顔を向けた。

「……いや、別に」

 原田も不用意に返事をした。






≪誰!≫

≪パパ?≫

≪パパだな?≫

≪パパだよwwwww≫

≪これって生だよな?≫

≪パパと誰!≫

≪秋ちゃん!≫

≪マジ?≫

≪秋ちゃんとパパwwww≫

≪いるのかよ!∑(゜ロ゜ノ)ノ≫

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