撲殺アナクロニズム
付け焼刃の知識ですので、間違いがあるかもしれません。あと、ジャンルは歴史にしておきました。一応、昔の話をイメージしてみたので。
反逆者たちがいた。
彼らは現在の政治のやり方が気に食わず、グループを組み、反政府運動として虐殺を始めた。泣き叫ぶ住民、燃える家々。無差別虐殺は7ヶ月にわたって繰り広げられた。
王は対抗策として、憎き反逆者たちを殺すことを決めた。王の宝は民。彼は、民からの絶大な信頼を受けるこの先進国の王なのだから。民を奪うものには、それ相応の罪を。民を奪うものには、それ相応の罰を。
「ようこそ、最も平和な国、ティストニカへ。我は王、バリウドである」
「はじめまして、王サマ。早速で悪いのですが、最も平和な国ではないでしょう」
この部屋に招かれた団体はとても誇らしげな顔だったが、王の言葉を聞いて眉を寄せる。確かに、最も平和な国という言い方は間違いだ。だがしかし。
「いまからあなた方が戻すのですよ。最も平和な国にね」
「ふむ、それもそうだな。そのために我らは招かれたのだから」
彼らは武装集団だった。反逆者たちと同じ、武装集団。王が彼らを招いたのには策があった。目には目を。歯には歯を。メソポタミア文明が産んだこのやり方に従い、王は反逆者たちを殺すことにした。
「さて、申し訳ないのですが、我々には政治に詳しい者がいなくてね。なぜこのような事態になったのか、お聞きしても?」
「ああ、もちろんだ。我が国は平和主義。戦争は、鎮静目的以外にはしない。だが、それに腹を立てた連中が抗ったのだ。もっと植民地を増やし、国を繁栄させるべきだ、とな。もちろん、民も皆平和主義だ。そんなことは望んではいない」
「なるほどな。うむ、政治とはややこしいものだな。……というわけだが、王サマ」
「なんだ? もう作戦を考えてくれたのか」
「ん、作戦といっちゃ作戦だな。つまりは、こう」
「!?」
団体の一人が王の後ろに回って、首に刃を当てる。その手には小ぶりのナイフ。だが、もう片方の手には刃こぼれした刀があった。
「ど、どういうことだこれは! 王を殺す気……まさか、貴様ら反逆者か!?」
「そうだな、反逆者だな。王であるあなたサマも予想していなかった、新手の反逆者だ」
「だが――」
――これもひとつの打開策というわけだ。
そうして数年後。
国は資本主義となり。
人々は植民地を作るために立ち上がり。
それを観た《王族》たちはほくそ笑んだ。
古びた時代をぶっ殺せ。