ジュヌをフィギュアに戻す方法
「連絡来たよ」
清香が足音を踏み鳴らし清一の部屋に侵入すると、ジュヌの姿が見当たらない。
「あれ、ジュヌは?」
本を読んでいる清一に清香は声をかけた。
「寝てるよ。頭が痛いみたい」
(それ、たぶん違う意味だと思う)
ただ寝ていることは確かなので、起こさないよう小声で話しだした。
「大道寺君から今連絡着て、戻し方わざわざ聞いてくれたみたい」
「うちらのやり方とチョイ違うから分からなかったけど、印をこう結んで術を唱えるんだって。やってみて」
「でも、今寝てるぜ」
「まあ……それもそうだね、じゃあ起きたら読んで」
「わかった」
清香が部屋を出てゆこうとしたその時、布団の中から沈んだ声が吐き出された。
「大丈夫、起きてるから」
「……大丈夫か?」
「ああ、ボクは大丈夫さ」
心配する清一にジュヌは空元気ながら返事を返した。
清香はジュヌに向き直り、大道寺から連絡があったことを伝えた。
「ありがとう。これで眠れるよ」
「準備はいい?」
「ボクはいつでもOKさ」
「清一、ほらアンタがやるの!」
「おう、そうだな」
「アンタの式神でしょ! もっと自覚持ちなさいよ」
「わかってるよ」
「こうやるの」
「こうか?」
清一が清香の真似をして術を唱えてみるも、何も起こらない。
「本当に合ってるの?」
「むこうの言う通りなら合ってるでしょ。アンタのやり方の問題じゃないの」
「はあ」
ケンカを始める清一と清香を見てジュヌは諦めのため息をつく。
「もう一回やってみて」
「こう」
「だからこうだろ!」
「あ~もう」
「こうだ!」
小さな音と共にジュヌがフィギュアに戻った。
「やったぁ、成功だ」
「やっぱり、アンタのやり方の問題だったじゃん」
「姉貴、もういいよ。上手く言ったし、後で練習するよ」
「ホント、シッカリしてよね」
そう言って清香は部屋を出て行った。
一人残された清一は布団に体を投げ出し、天井を見た。
「今日は、色々あった――いや、ありまくりすぎたな」
頭の後ろに両手を回し、思案を始める。
「偶然とはいえ、式神と契約出来たんだよなぁ」
「パートナーとして二人三脚でやっていくんだよなぁ。上手くいくかなぁ」
清一はあまり自信が無かった。
「そう言っても今更引き返せないし、やるしかねぇ」
「なんだ?」
ゴロンと寝返りを打つと、身体の下に異物が当たる感触がある。
「あ、いけね。ジュヌを置きっぱなしだった」
清一は慌てて起き上がり、フィギュアを布団から取り出す。
「良かった。壊れてない」
布団が緩衝材となり被害はなかった。
「こういうところがいけないんだろうな」
清香に怒られていることを思い出し、頭を掻いた。
「床に置いておくわけにはいかないよな」
清一はスッと立ち上がり、勉強机の上に慎重に置くと、思い出したかのように独り言を放った。
「やべぇ、具現化の方法、聞き忘れた!」
「でも、さ……今は聞きにくいよなぁ~」
さっき清香とケンカをしたことを思い出す。
「明日だ明日。明日聞こう!」




