父 清之進
数分後、清香はスマートフォンを手に持ち戻ってきた。
「メールは打ったから、返事来るまで待っててね」
「うん、ありがとう」
「そういえば、銃士って言ってたよね、銃を持ってないみたいだけど」
清香がそう尋ねると、ジュヌは寂しそうに呟く。
「以前のユーザーさんが無くしちゃったみたいなんだ」
「それって太田さんって人?」
「いや、その前の人。銃は脱着式の付属品だったからさ」
「え、あの人、渋ったくせに中古だったのかよ」
清一が驚きながら思ったことをを何気なく口にすると、ジュヌは寂しそうに俯いた。
「清一!」
「何だよ、姉貴」
「女の子に中古とか言っちゃダメ!」
「ほんっとデリカシー無いんだから!」
「そういう意味じゃないだろう!」
「え、どういう意味? ボクの事だよね?」
「え、まあ」
「気にしないで、大した意味じゃないから」
「そうね、清一」
「変な二人」
誤魔化す二人を見て、ジュヌは不思議そうに首を傾げた。
しばらく時間が経過した後
清香のスマートフォンから着信音が鳴る。
「あ、来たかも」
清香は慌ててスマートフォンのロックを解除する。
「どう、大道寺さんだった?」
「やばい、お父さんだ――帰って来るって」
「すぐに帰って来るの?」
「すぐに帰って来るよ!」
「「「え」」」
驚いた三人が声の方を振り向くと。
「ただいまぁ」
「オヤジ」
「お父さん」
「ねえ、びっくりした? 驚いた?」
いつの間に父が背後で笑っていた。
「ところで、見かけない式神がいるけど、どこの娘だい?」
今更誤魔化してもしょうがないと考え、今日あったことを話した。
「はっはっはっ、色々世の中にはあるもんだ。最近そういう術が流行しているとは聞いていたが現実に見れるとは、今日はなんとも運がいい」
そう言いながら父はジュヌの頭を撫でたり背中や肩を軽く叩いたりした。
「……あの、止めて頂けますか」
「これは、レディーに失礼したかな。はっはっは」
そう言い、父は改まりニコリと笑い頭を下げた。
「ついつい見知らぬものを見ると確認したくなるのは人としてのサガなのだろう、どうやら私はそれが強いらしい」
「私は、二人の父親で、中条 清之進と申す。以後お見知りおきを」
その笑いに釣り込まれたジュヌは思わず挨拶を返していた。
「ボクは、ボクは銃士というマンガのキャラでジュヌヴィエーヴと言います。よろしくお願いします」
(確かに変わっている人だが悪い人ではなさそうだ)
ジュヌは危険人物の期待値? をグッと下げて握手しようと右手を差し出した。
清之進も手を差し出す。
「1.2.3――」
「えっ!?」
清之進はジュヌの親指を抑え、数字を十まで数えると、にんまりと笑いを浮かべ「隙が多い」と言い、手を離した。
「前言撤回!」
「何か言ったかい?」
「ここの家の者は変な奴らだらけだ!」
ジュヌの嘆きの声がこだました。




