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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第四章

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抗争

「帰るか」

 みなで店を後にし駅へ向かう。

「ねえ、清一」

「ん、何だ?」

「ボクは、清一と一緒にいてよかったんだよね」

「当たり前だろ! 俺はジュヌに会えてホントによかった」

「ふふ、ありがとう」

「気にしているのか? 太田さんと戦死した式神の事」

「……うん、ちょっと」

 清一はジュヌを抱き寄せ頭を撫でた。

「え、何だよ、いきなり!」

「辛くないか?」

「……」

 ジュヌが問いに返答することはなかった。

 清一の胸元からすすり泣く声が聞こえる。清一は何も言わずにその頭を撫で続けていた。


「みんな最初はああではなかったんだろうな」

 太田も屋上のスーツの男も式神に対し同じようなことを言っていた。道具だと。

 清一がそれを否定すると二人とも青臭い者を見るというか、まだ汚れていなかった自分を見ているような眼差しをしていた。


 翌日


 朝早く、スマートフォンが鳴る。

「ん、メール?」

 まだ開かぬ目を無理に開けることなく、枕元に手をまさぐり電話を探す。

「はい、清一」

 寝ぼけたジュヌの声が耳元から聞こえる。

「んーありがとう」


「ええっ」

 一気に目が覚めた。

「清一、ウルサイよ」

 寝ぼけた声が響く。


(前にもあったとはいえ、心臓に悪い)

 ジュヌの方に目を向ける。いつの間にか寝間着を買ったのだろうか。それを着て小さく口を開けて寝息を立てている。

「幸せそうに寝てらぁ」

(ジュヌは俺の事男と認識してないんかな?)

 ちょっとばかり寂しいのか変な感情が込み上げる。


(いやいやいや、メールチェックしないと!)

「おし!」

 小さくガッツポーズをした。

 今日からしばらく学校を休校にします。再開は追って連絡します。そう書いてあった。


 清一が喜んでいるその時、世の中は大きな動きを見せていた。


 都内某所


「悪いが、アンタらには消えてもらうよ」

 数人の男女が、もう片方の男性たちを追い詰める。

「ちょっと待て、どうしたんだ? いきなり!」

「積年の恨みってやつでさ」

 男の手から魔法が放たれると、恰幅のいい男が床に倒れた。


「キサマぁ!」

「いい声だ。だがな、たった一匹やられたぐらいでそう興奮するなよ」

「一匹だと」

 男が怒りのボルテージが上がってゆく。

「ああ、俺たちはそんなのを繰り返して何も感じなくなっちまった」

「そうそう、あなた達は経験不足ね」


 興奮した男は、魔法を繰り出す。

「その程度ですかね」

「ぐは」

 女は魔法をかわし、強烈なカウンターを打ち込む。

「残りは……」

「あ、待て、話あ――」ザシュ

 先ほどまで命があった肉塊から刀を抜き取ると、それを拭きながら口を動かす。

「実力不足! イヤな仕事を人に押し付けた者たちの末路だな」

「はは、違いねえ」


 ガチャン

 二度寝した清一の元に清香が力強くトビラを開け起こしに乱入した。

「清一、アンタ学校は……」

「今日、無い」

「はぁ? 何言ってんのよ」

 清一は黙ってスマホの画面を水戸黄門の印籠のように見せる。


「な、言った通りだろ」

 勝ち誇った笑顔を清香に向けた。

 清香はそれを見て納得するも、清一のその態度に腹を立てそれを口に出した。


「アンタら一緒に寝てるの? まったく――変な事していないでしょうね?」

「してねぇよ!」

「してないよ!」

 清一とジュヌは興奮し否定する。

「どうだか」

「そういう姉貴はどうなんだよ?」

「ふ、そんなわけないでしょ」

 そんな言い争いに希狛は迷惑そうな顔を浮かべ「うるさいワン」と呟いた。


「腹減ったな」

 昼前になってやっと起き出し、居間に向かう。

「――ねえ、清一」

 緊張の面持ちの清香がぎこちなく清一の方へ首を回す。

「飯食ってからでいい?」

 呑気に朝食の支度をする三人に清香は感情の無い声でもう一度清一を呼ぶ。

「姉貴、変だぜ」

 テレビの前に来た清一も清香と同様に固まる。

「死亡が確認されたのはJECの青井氏、産通省の職員、真壁氏、野山証券の石井氏……」

 次々と名前が呼び上げられてゆく。

「さっきからこんな調子なの! まるで殺されているみたい」

「オヤジ、大丈夫かな」

 清一の独り言に清香は首を振る。

「わからない。何もかも分からない」


 ビクッ

 そんな折清香のスマートフォンが鳴りだした。

「大道寺君から?」

 清香はスマホを取り通話のボタンを押し、慎重に会話を試みる。

「もしもし、中条です」

「中条さん。すみません大道寺です。お話しなければならないことが……」

「えっ」

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