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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第三章

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ジュヌと希狛~式神同士初めての出会い

 バン!

「ジュヌ、いるか?」

 清一は自室へ突入する。

「あ、ああ」

 力強くいきなりトビラを開けたことで、ジュヌは驚きビクッと反応した。

「いきなり開けないでくれよ。驚くじゃないか!」


「ゴメンゴメン。早くジュヌに紹介したくって」

「紹介?」

「じゃあ、改めて。ジュヌ、新しい式神(なかま)だよ」

 清一の言葉にジュヌが首を傾げると、その後ろから希狛(きはく)が走り込んできた。


「あ、わんこだぁ」

 ジュヌは両手を前に出し膝を折り曲げて希狛を抱き上げようとした。

「初めまして、ジュヌさんでよいのかワン」

「え、えええええ、犬が喋ったぁぁぁぁぁ」

 ジュヌは目を白黒させ驚き戸惑った。

「希狛と呼んで欲しいワン」

「あ、うん……希狛」

「ありがとうワン」


 ジュヌは視線を泳がせながら人差し指で顎のあたりを掻く。

「なんだか不思議な感じだよ」

「希狛は狛犬だワン。だから喋れるんだワン」

 そう言って尻尾をグルンと一回転させる。

「希狛、ボクの名前、正確にはジュヌヴィエーヴだからね。長いからみんなに省略されているケド」

「そうなのかワン」

「まあ、好きに呼んでくれたまえ」

 ジュヌは言葉を終えると満足そうに笑った。

(あれは完全に後輩が出来た嬉しさだな)

 清一は呆れ苦笑した。


「それで、みんなで仲良くやって行こうと思うんだけど……」

 清一の言葉に耳を貸さずにジュヌと希狛は紙を並べカルタのような謎のゲームにいそしんでいた。

「ダメだ、伝わってない」

 頭を抱える清一にジュヌが声をかける。

「清一も一緒にやるかい。みんなで仲良くゲームするのは楽しいだろう?」

「まあ否定はしないが……」

「あっズルい! ボクが見ていないうちに」

「隙ありだワン」

「やり直しを要求する!」

「却下だワン」

(……仲良くなの、か?)

 やいのやいのと騒いでいる一人と一匹の姿を見て、清一はこういうのが、かけがえのない一瞬なんだろうなぁと思ったりした。


 翌日


 目覚ましを止め体を起こした。

(今日は、アラームが鳴る前に起きれたな)


 高校からは休校のかどうかの連絡が来ていなかった。何かで学校が休みならスマホに連絡が入る事になっている。

 恐らく決めかねているのだろう。

「行くしかないよな」

 そう覚悟して体を起こしって、あれ?


 隣にジュヌと希狛が寝ている。

「えっえっ」

(落ち着け俺)

 夜の記憶を呼び覚ます。

(昨日の夜、布団に入った時には一人だったよな)


 挙動不審にきょろきょろと周囲を見回すも当たり前だが答えは出て来ない。

 そうこうしている内に時計の時針がカチリと大きな音を奏でる。

「あ、ヤバい、せっかく早起きできたのに」

 清一は慌てて居間へ向かい、登校の支度を開始した。


「あれ? 今日学校あるの」

 清香の素っ頓狂な声に清一は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「休みの連絡ないんだよ」

「ああ、そうなの」

「そう」

 不機嫌に言葉を返すと朝食を味噌汁と一緒に流し込み支度の続きを行う。


「二人とも行くよ」

 寝起きでぼぅっととしているジュヌと希狛をフィギュアとお札に戻し、急いで家を出発し学校へ向かった。


 学校に滑り込むとやはり様子がおかしい。


「あ、中条、おはようさん」

「おう、加藤、おはよう」

 清一は周囲を見回す。

「何か、今日、人少なくね?」

「何言ってんだ。昨日緊急事態宣言出ただろ? あれで自主的に休んでんだよ」

 加藤は呆れた表情を見せた。


「お前は休まんの? がっこ好きじゃないだろ」

「親が行けってさ。信じてねぇんだよ透明人間なんてさ」

 清一が茶化すと加藤はうんざりした様子で愚痴を吐く。

「ま、信じにくいよな」

「明日以降、学級閉鎖にこう期待だぜ!」

「まったくだ」


 ガララララ

「とりあえず席に着け」

 栗沢が教室に入って来ると、だべっている生徒たちが席に座る。

(今村もエイムズも休みか)

 というか女子はほとんど休みだ。

「まあ、男に対してはそんなもんだ」

 ホームルームも終わり授業がドンドン消化されていく。


「お昼休みになりました~」


 昼休みの放送が鳴ると、少ない学生たちが購買へ向かい駆け出す。

(屋上か)

 何かある気がする。ふわっとした感覚的な物で正確には言葉にできない、そうあの感覚。

 ガララ

 教室を出て上り階段目指し歩き出す。

(ジュヌと希狛は――持ってきている)

 タンタンタン

 階段を一歩一歩軽快な音を立て上がってゆく。


「……中条!? 何処へ行くんだ、アイツ」


 ガコン

 屋上とトビラを開けると、心地よい春風が清一の鼻先をくすぐった。

「よし、具現化だ」

 ジュヌと希狛を出して、みなで屋上中央まで進む。

「清一、キミは何か感じたのかい?」

 ジュヌは不機嫌な顔で周囲を見回す。

「ボクは何にも感じないケド」

「何となく」

「何となくって何なんだよ」

 ジュヌは寝起き? が悪いのか清一に食って掛かる。


 スンスン

「あまり良くないニオイがするワン」

 希狛が鼻を動かし匂いのする方角を探り始めた。

「まあ、この子は犬だから分かるのかも」

 ジュヌは感情を切り替え周囲に目を配りだした。


「あっちからニオイがするワン」

 二つの瞳が指し示す方向には突き当りのフェンス以外青空しか存在しない。

「また、昨日の透明人間の仲間か?」

 その刹那。

「来たよ! 邪悪な気配」

 ジュヌがサーベルと銃を抜く。


 その気配が徐々にこちらに向かって進んでいるのをヒシヒシと感じた。

「来るぞ!」

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