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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第三章

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金髪の貴公子ジェームズ

 清香が周囲に目を配りながら境内中央まで進むも肉眼では確認できない。

「気配は――ある!」

 清一はジュヌは鳥居を背に背後を脅かされないよう備える。

 サワサワサワ

 心地よい春風が吹き抜け枝を揺らした。


 と、その時。

「コーン」

 魔狐が甲高く鳴くと狐火を何もない空間に向け放つ。

 楕円を描きながら浮かぶ炎は、スゥっと真っすぐ飛んで行き、何者かに衝突したかのごとく動きを止めると、その場で燻ぶって勢いが落ちてきた。

「あそこ!」

 清香は炎の法力を狐火目掛けて放つ。

「俺だって」

 清一とジュヌも清香につられてその一点目掛け術を放った。

 多方から寄せられた炎は何もないはずの空間でせき止められ、炎の熱によって背後の空間が歪んだ。


 いつの間にかジェームズが黄金色の長髪をなびかせてそこまで駆け、歪んだ空間に槍を突き入れた。

「ザシュ」

 槍は鈍い音を立てそこに突き刺さり、透明な背景に赤い輪郭を描いてゆく。

 ヌププ

 液体と空気が混じった音を奏でながら引き抜いた槍先には鮮血がベトリと付いていた。


「キャッ」

 ジェームズが槍の汚れに目も向けた刹那、後ろから清香の小さな悲鳴が聞こえた。

 そちらに顔を向けると清香が透明な何かが投げつけた物を喰らって怯んでいた。

「姉貴!」

 清香の元へ走り寄る。

「ジェームズさま、助けて!」

 清香は清一の声に答えずにジェームズに助けを求めた。


「なんだよそれ!」

 清一は少しばかり腹をたてて戦闘中にも関わらず食って掛かる。

「大体姉貴はそんなに弱くねぇだろ!」

「清一、うるさい!」

「はいはい、黙りますよ」

「ほんっと清一は乙女心を理解していないわよね」

「なんだよ、オカメゴコロ?」

「清一、キミのそういうところをお姉さんは注意しているんだよ」

「さすがジュヌ、清一も見習いなさい」

「なんだよ、めんどくせーな」


 どうやら清香はまだまだ元気そうだ。と清一はある意味安堵し周囲に視線を配る。

「どこから投げてきやがった」

 その時、キラリと石畳の方から何かが光った。

「あそこだ」

 清一は場所を指し示した後、直撃を避けるように楕円形に走り出す。

 それを受け、ジュヌが続き、ジェームズが逆方向から挟み撃ちのような形で動き出す。

「お返ししなきゃ気が済まないわよ」

 清香は法力を放つ。と同時に敵から放たれた物体を巧みな身のこなしで避けるともう一発法力を放った。

 敵が手に持っていた物を放つと、周囲に溶け込み居場所を見失った。

(どこへ行った? えーいままよ)


「清一君、避けてくれ」

「えっ!?」

 ジェームズは走る方向を調整し、清一の横へと進んできた。

「そら」

 慌てて清一が避けると、すぐ後ろでブスッと何かが刺さる音が聞こえた。目の前をふわっと香水の香りと共に金色の髪が流れてゆく。

「!!」

 清一が気付かぬ間に敵は裏をかいて横に迫っていたようだ。それをジェームズが目で追っていたのかいち早く気付いたのか素早く対処した。

「すごい腕だ」

 ジュヌが思わず感嘆した。


「怪我は、無いかい?」

 さすが、嫌味なぐらいパーフェクトな男だ。清一は心からそう感じた。

 周囲の邪悪は気配は消え失せて、どうやら一通りかたはついたように感じていた所、清香がタオルをもって家から出てきた。

「いつのまに家に入ったんだ」

 訝しむ清一にタオルを投げつける。

「うわっ」

「ちゃんと受け止めなさいよ」

 頭からタオルを被り怯む清一に清香はため息と小言をはいた。

「はい、ジェームズ様。これで槍の穂先を拭いてくださいな」

 ニコニコと幸せそうに笑いながら清香はタオルを手渡した。


「なんなんだ、あれ?」

「さあ?」

 清一とジュヌはお互いタオルを持ちつつ呆れ顔で顔を見合わせる。

「それにしても……」

 ジェームズの戦闘力に清一は舌を巻いた。あまりにも動きに無駄が無く、強い。

 清一が何気なくジュヌを見ると、彼女はジェームズに視線を向けていた。

「……」

 ジュヌの顔には、諦めとも悔しさともつかない寂しそうな表情を見せていた。

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