ごめんね、清一
清一は畳に身を投げ出し天井の明りを見ていた。
「買ってこなければよかった」
買わなければ不快な思いをしなかっただろう。清一は消極的ながら精神の安定剤として今後はそうしようかとおぼろげながら考えていた。
(でも、何で買ってきたんだろう? 仲直りしたかったから? 喜ぶ姿が見たかったから? いなくなったら困るから? それともただ自分の式神として面倒を見ているだけ?)
清一の頭の中はごちゃごちゃと糸が絡まったようになり、まともに思考できる状態でなく、当然考えがまとまるなんてことはありえなく、ただただ悶々としていた。
(そもそも俺はジュヌに何を期待していたんだろう?)
評価して欲しかったのだろうか、約束を守った事を誇りたかったのだろうか、それとも……。
ジュヌとの初めての逢った時を思い出す。
「いい加減にしろ! これ以上足を引っ張るな。しばらく出番はない。新しく獲得した娘にやってもらう」
「ちょっと待っておくれよ。いきなりは無理だよ。もういち……」
「実戦にもう一度は無い。失敗は死に繋がる。装備品交換するぞ」
「そうだぞ、高校生、お前もいずれそうなる」
「そうでしょうか?」
「俺も、以前はそうだった」
「そうだ、陽翔、彼にあの娘あげたら、どうせ倉庫行きでしょ」
「えー、タダでか」
「僕もそれがいいと思う。リサイクルだよ」
「ま、いっか。その代わり飯おごれよ」
「ジュヌヴィエーヴ、じゃあな」
(太田さんはここまでこだわって作った式神を何で俺に譲ってくれたんだろう? 友達二人から言われたから?)
単に弱くて使えなくなったからだろうか? 確かにそれもあるだろうけど。
「何かを託されたのかな?」
(託された? いったい何を?)
自分の目の前に手を出して法力を出して力を確認してみる。
「まだまだだよな」
(このままではお袋がオヤジに預けた式神を引き取るのはいつになるのか?)
「いやいや、まずはジュヌの事だ」
脱線した思考回路を元に戻し考えをめぐらすも決定打に繋がるものが出ない。
「そもそも何で戦っているのかもよく分かんねぇしな」
清一は考えがあっちこっちへとしている内にいつの間にか眠りにいざなわれていた。
「……清一?」
ジュヌが清一の部屋のトビラを開ける。
部屋の中は蛍光灯が明るく照らし、畳の上で横になっている清一の姿を露にしていた。
「清一、ごめ……」
「すうーすうー」
「寝てる」
ジュヌの緊張した心は拍子抜けの事態に先延ばしなのはわかりつつある意味安堵した。
寝顔を覗き込む。
「ケンカした後すぐ寝るなんて子供なのか」
呆れと温かさが入り混じった可笑しさが沸き起こった。
「呑気なものだ」
「このままじゃ、風邪をひいちゃうよ」
押し入れを開け、毛布を引っ張り出すと清一の上にかけた。
「これでよし」
ジュヌは少しばかり考え、静かに目を閉じるとその頬へ口づけをした。
「ごめんね」
「寝ている時のキミは可愛いんだけどな」
そう言ってジュヌは微笑んだ。
「今日はボクを戻すの難しそうだね」
押し入れからもう一枚毛布を取り出すと、部屋の電気を消した。
「おやすみ、また明日」




