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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第一章

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旧校舎の怪異

 パンを食べ終わった後に残されたビニール袋を入れた紙袋をギュッとねじってゴミ箱に放り込むと、教室に向かう。

 そのまま、自分の机に突っ伏して目を閉じると、意識は遥か遠くに飛んで行った。


 人の笑い声

「ここは、どこだ?」

 もやがかかった場所に立っている。もやは白だけではなく、赤やピンク、青や緑、黄色など色々な色で着色されていたが、共通するのは染まっている色彩がみな極端に薄い事だった。

「……」

 ゆっくりと周囲を見回す。

 両手を開いたまま前に伸ばす。

「掌が若干見える位か」

 清一は周囲を見回すも、もやのため状況がまったく把握できない。

「誰かいないのか?」

 清一が一歩足を踏み出すと、全身を揺さぶられるような衝撃が起こった。

「な、なんだ!?」


「中条、中条」

 誰かが呼びかけている気がする。

「気じゃない! 授業だ、起きろ!」

 ガバッ

 清一の視界は一気に開けるも頭の方が着いてこれず一瞬訳が分からなくなる。

「せん、せ、い? ああ授業か」

「何寝ぼけてるんだ、とっとと教科書を出せ」

 まわりからは笑い声がこだまして、やっと状況が読み込めた。

「寝ていたんだな」


 ガタガタ

 教科書を机に出しているその瞬間。

「また、どっかで出てきやがった」

 清一はため息をつく。

 それほど遠くない所から禍々しい気配を感じる。

「気になるけど……」

 教師の鋭い視線が刺さる。

(準備を整えるまで見ているつもりだな)

 どうやら問題児扱いの様だ、とても抜け出せる気配じゃない。

(仕方がない、終わった後に行くか)


「今日はここまで」

 授業が終わると、早足で教室を出て、気配がする場所へ急ぐ。

「はあはあ、この辺りのはずだ」

 このあたりは、旧校舎と呼ばれており、聞いた話では二十年ほど昔に新しい校舎を立てる前まで使っていたのだそうだ。

 今となっては、ほとんど使われておらず、一部が部活動用の部室になっている以外はほぼ倉庫部屋になっていた。


「相変わらず薄暗くて気味が悪いな」

 昨今の経費削減のため蛍光灯を間引きで抜かれているだけではなく、校舎を使用するとき以外は基本点灯はさせてもらえないように決まっている。

「この教室か?」

 また、よくある話だが、この旧校舎にも七不思議のような話が無数にあり、部活動の終わりなどの夕方以降に実際に怪異に出会ったという話は真偽はともかくよく聞く。


「よし!」

 トビラに手をかけ数センチ明け、中の様子を伺う。

 中から淀んだ空気が漏れてきた。

「ビンゴ」

 清一はほくそ笑みながらジュヌを床に置き、具現化を始める。


「今度は何だい?」

 ちょっとばかり不機嫌そうに反発した口調でジュヌは清一の呼びかけに答えた。

「中に、邪鬼らしいヤツがいる。討伐する」

「あの雪女の人とやればいいじゃないか」

(拗ねていた理由はそれか)

「俺が、開けて突入するから、支援を頼む」

 清一の言葉にジュヌはそっぽを向く。

「仕方がねぇ、俺だけで行くか!」


 ガラララ

 勢いよくトビラを開け、中に躍り込む。

 中は数年開けていなかったのだろう、とてもかび臭く匂いが鼻につく。

 部屋の中は壁一面に荷物が置かれ、その積まれた荷物は地震が来たら、ひとたまりもなく崩れてしまうだろうと予見された。

 邪悪な気配を探すために、素早く左右に視線を動かすと、その一角で容易に発見できた。


「学校の怪談だな」

 清一は思わず呟いた。

 視線の先には人体模型が二体ほどグルグルと歩いている。

「霊体でも宿っているのか?」

 お札を数枚取り出すと、術を唱えて動いている模型たちに飛ばす。

 飛ばしたお札は模型に引っ付き淡い光を放つ。

「よし」

 清一が術を唱えると光が光度が大きくなっていった。


「何!?」

 なぜか光がしぼんでゆき、失われた。

「こっちの存在がバレた」

 人体模型の顔がこちらに向き、クルクルと高速で回っていた瞳孔が中央で固定されると、清一に向け歩き出した。

「仕方がねぇ、壊すか」


 歩く模型に炎の術を浴びせると、プラスチックが焦げた匂いが漂った。

「もう一発!」

 何分模型は大きく溶かすには清一の術では火力が足りない。

 なおも近づいてくる模型に対し、清一はモップを拾い上げ薙刀のように上から遠心力を力に変えて叩きつける。

 攻撃を受けた模型はそのまま地面を舐めて動かなくなった。


「よし、もう一丁」

 再び、モップを上から叩きつける。

「えっ」

 模型は今までにないような速さでモップをかわし清一に迫る。

「うごぉ」

 模型の右手から繰り出された薙ぎにより清一は吹っ飛ばされた。

「ちくしょう、油断した」

 清一が立ち上がった時には、人体模型は目前まで迫っていた。

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