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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第一章

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11/30

プラモデル屋で武器購入

 そうこうしている内に授業は終了し、学校での一日が終わる。

「今日はどうしようか? 加藤もいないみたいだし」

 先に帰ったのか加藤の姿も荷物も見当たらない。

「俺も帰るか」


(そういえば、銃が無いって言ってたよな)

 清一はあることを思い出していた。

(そういえば、駅前に模型店があったような……」

 登下校の導線にはないので記憶は薄いが、数回通り過ぎた時に確かそれらしい店があったような気がする。

「ダメもとで、そっちから帰ってみるか」


 記憶を頼りにアーケード通りをゆっくりと流しながら進む。

「この辺も、シャッター降りてる店ばかりだな」

 お目当ての店も潰れているのではと頭を掠めたその時、お目当ての店が見つかった。

「よかった、あった」


 やれた庇を潜り、薄汚れた扉を開けると、煤けた店舗の奥からしゃがれた声が聞こえてきた。

「いらっしゃいませ」

 清一が声の主を見やると、そこには椅子に座って新聞を読んでいる初老の男性がいた。

 周囲を見回すと、店の中には電車や城の模型やプラモデルが所狭しと積まれている。

(フィギュアがある感じじゃねぇな)


 店を出ようか出まいか迷いながら棚を眺めているといつの間にかロボットコーナーに足を踏み入れていた。

 機動歩兵クァンドゥム――主人公がロボットに乗り込み戦うアニメで、シリーズ化している作品だ。

(銃! これを買ってみるか! 光線銃もマスケット銃も銃なら問題ないだろう、むしろ弾薬が要らない分安上がりかも)

 そのような適当な考えで選んでいると、ふと大事なことに気が付いた。

(これ、具現化できるのか? 光線銃なんてオーパーツどころじゃねぇ)

 逆に考えると具現化出来たら自分が装備できるかもと清一は考え、購入に心が傾いた。


 とりあえず一つ手に取って眺めてみる。

 パッケージにはいかにも主人公が乗ってそうなマシンが、ポーズを決めた絵がプリントしてある。

「よさげだなぁ、値段はっと」

 19,800円

「えっ」

 清一は絶句した。

「これは、無理だ……むしろフィギュアの方が安い」


「こっちの箱は小さいな」

 兵器のみのセットなんかでいい。むしろそっちの方がいい。


「これはどうかな」

 昔の絵柄で書かれたロボットが直立しているパッケージだ。

(いくらだ?)

 1,000円

「こっちだな。これなら出せる」

 横を向くと良さげな物が目に入る。

「装備セット! これだ」

 お値段380円

「よし、これも買おう」

 二つの箱を持ち店の奥へ向かう。


「1,000円と380円で1,380円ね」

 店にはレジは存在せず、計算機で合計を出す。

(計算機を使うまででは)

 清一はそう考えながらお金を出す。

「1,500円ね。おつりはえーっと……120円ね」

 後ろにある小さな金庫へと受け取ったお金をしまうとおつりの金額を出して清一に手渡した。

「はいよ」

「すみません」

「ありがとうね」

 初老の男性は、買ったプラモデルをビニール袋に入れてくれた。

 プラモデルをカバンに突っ込むと家路についた。


 家に着くころには日が傾き、神社の木々が少しばかり色濃く見える。

 自宅に自転車を止めると、通路の奥にそれを押し込み家に入った。


「ただいま」

 靴を放り出し、自室に戻るとカバンからプラモデルを出し、膝の上に置いた。

「開封の儀、なんちゃって」

 箱の中に入っているセットを一通り出して床の上に置いてゆく。

「武器は、武器はっと」


 同封されていた説明書を眺め、1つのパーツをニッパーで切り離す。

「よく見たら確認するほどでのねぇな」

 無くさないよう箱の中に部品を入れる。

「接着剤が必要だな」

 清一は存外器用なたちで上手に武器を作り上げた。

「出来た。後は乾燥だな」

 何かのはずみで踏んでしまうかもと思い机の上に移動させ、居間へ移動する。


 そこには清香が座って雑誌をめくっていた。

「姉貴、ちょうどよかった」

「なに、私忙しいの」

 視線を雑誌に落としたまま興味なさげに返答する。

「雑誌読んでるだけじゃん」

「だから何?」

「式神の具現化の仕方教えてよ」

「昨日話したでしょ」

「あれ、戻し方だけじゃん」

「……ふぅ。分かった」

 清香はため息をつき立ち上がると清一と部屋に向かった。


 清一の部屋に着くと、読書を中断されたせいなのか不機嫌そうにジュヌのフィギュアに向かって歩き出す。

「清一、いい、まずは印を結び、その後に術を唱えるの」

 清香が見本を見せると魔狐(まこ)が飛び出してきた。

「ゴメンゴメン。魔狐(まこ)に用があったわけじゃないんだ」

 不思議そうに首を傾げる魔狐(まこ)を軽く撫でると再び封印した。

「ほら、やってみて」

 促されるまま印を結び術を唱えると、ジュヌのフィギュアが虹色に光りどんどんと大きくなってゆく。

「くうっ」

 ジュヌが天井に頭をぶつけ、声にならない声を噛み殺し苦痛に耐えながら頭を押さえている。

「はぁ、具現化する場所は考えなさい。じゃ私はこれで」

 そう言って清香は出て行ってしまった。


「大丈夫か?」

 清一が顔を覗き込むと、ジュヌは目を真っ赤にして恨みがましい視線を向けてきた。

「ごめん」

 ジュヌはそれを聞いて視線を真っすぐに戻ししばらく悶絶していた。


 しばらくした後


「ホントに痛かったんだから気を付けてくれよ」

「ゴメンな、まだ色々慣れてないんだ」

「まったく、もう」

 呆れるジュヌに清一は愛想笑いをしながら先ほど仕入れた武器の事を話す。

「なんだい、それ」

 一目見てジュヌは落胆し「これは使い物にならないよ」と教えてくれた。

「どういうこと」

 清一が聞くとジュヌは優しく微笑み、語り掛ける。

「具現化には、想像力が必要なんだ。その想像力とは――光線銃の場合には発射の構造の想像力、すなわち確実に使える構造を理解している必要があるんだ」

「ちなみに、誰かその構造を知っている人が作った物があったなら、その後譲り受けた者が理解していなくても使えるんだ」

 清一は残念に思いながら頭を掻いた。

「でも、ありがとう。気にかけてくれて」

「次から気を付けるよ。教えてくれてありがとう」

 清一とジュヌはお互い笑いあった。


「あっこれは使えそう」

 それは棘の付いた鉄球に鎖が付いた武器だった。

「これはモーニングスターの一種かな? それとも鎖鎌っていうやつかい?」

 ジュヌは部屋の中で軽く振り回す。

「宍戸 梅軒」

 ブルンブルン――ガチャ―ン


「えっ」

 ドドドドド

「アンタたち何やってるの!」

 先ほどとは打って変わり、清香が鬼のような形相で戻ってきた。

 清香は割れたガラスを見て頭を抱えた。

「本当にこの子たちは……色々やらかしてくれるわ」

「スミマセン」

「これは没収!」

 ジュヌはしゅんとうなだれて謝罪の言葉を口にするも、なおも清香の怒りは収まらず鉄球を取り上げられてしまった。

「窓ガラス、どうにかしなさい」

 愚痴をブツブツと吐きながら、再び部屋を出てゆく。


 残された二人はとりあえず窓をどうにかしようと画策した。

「とりあえず割れたガラスを拾おう」

 引き出しから皮手袋を出し、プラモデルを買った際に貰ったビニール袋に入れていく。

「ダンボールとガムテープ持って来るね」

「ああ、頼む」

 ビリビリビリ

「ボクがダンボールを抑えるよ、フチを貼っていっておくれよ」

 清一はガムテープを切り、四辺にしっかりと貼り付ける。

「よし、今度は窓の裏側だ」

 裏も同じ要領でダンボールを貼り付ける。

「これで、ガラスで手を切ることはないな」

「そうだね、取りあえず風も通ることは無いし……雨は、どうしよう?」

「ビニールを張るか」

「うん」

 清一は居間に向かいゴミ袋を取ってきた。

 透明なごみ袋をこれまた四辺をガムテープで止めて固定をする。

「これで、いいかな」

 みすぼらしいながらも応急処置が終わった。

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