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見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります  作者: クワ
第一章

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10/30

高校のクラスメイト

 翌日



 朝の日差しがカーテンの隙間から清一の顔に降り注ぐ。


「うっ、うーん」

 ガバッ

「え、今何時?」


 時計は7時35分を指し示していた。

「やべえ、遅刻しちまう」

 清一は素早く跳ね起き、乱雑に布団を押し入れに放り込む。


「えーっとワイシャツどこだ?」

 ジャージを脱ぎ捨てタンスを漁り、皺の寄ったワイシャツを引っ張り出すと、素早く袖を通しネクタイを締める。

「よし」

 ジャケットを羽織るとカバンを引っ掴み、そのままダッシュで居間へ向かう。

 

「オヤジ、おはよう」

 居間ではちょうど、清之進が食事を取っていた。

「あれ、姉貴は?」

「今日は一限があるからと言ってもう出て行ったよ」

 そう言って味噌汁をズズッと啜った。


「なら起こしてくれよ」

 そう愚痴る清一に清之進は「それくらい目覚まし時計など使って自分で何とかせい」と軽く怒った。


「オヤジ、昼飯代」

「ほれ」

 五百円玉を投げてよこす。

「あい、サンキュー」

 右手で上手にキャッチする。

「おい、朝飯は?」

「時間が無い」


「いってきます」

 ガコン

 カバンを自転車のカゴへ放り込み、急いで学校へ向かって漕ぎ出した。


 キーンコーンカーンコーン

 ウエストミンスターが響き渡る。

「やべえ、門が閉じられる」

 学校のルールで、門が閉じられた後はすべて遅刻扱いで、数度遅刻すると欠席となり、それを繰り返し行うと親が呼び出しされる事となっている。


 シャーーーー

 立ち漕ぎで行く!

「お、今日は鮎先だ! ラッキー」

 鮎先こと鮎川先生は温和な国語教師だ。

 その先生が門を閉めようと力を込めていた所、清一の無謀な突っ込みを見て、ぎょっとした表情で固まった。


「よし、行ける!」

 そのままの勢いで門を無事通過した。

「こぉらー、中条君、危ないでしょー」

「センセーおはよーございまーす」

 怒る先生を笑顔でいなしてそのまま自転車置き場へと直行する。


「よし、教室まで走るぜ」

 下駄箱にて上履きに即履き替え、ダッシュで階段を駆け上る。

「ハアハアハア、やっと着いた」


 カラカラ

 後ろのトビラを少し開いて、前かがみで侵入すると担任の栗沢と目が合う。

「えへへ、おはようございます」

「はあ、早く席に着け」

「はい、至急」


 速攻で自分の席に着席すると、隣の女子がひそひそと小さな声で話しかけてきた。

「大丈夫? どうしたの」

「ただの寝坊」

「気を付けてね」

「ああ、今村もな」

「私は大丈夫よ。遅刻なんてしないもん」

 隣に座る女性は、今村 真美(いまむら まみ)、同級生だ。


 担任のホームルームが終了し、束の間の自由時間になる。

「おう、ここまでの遅刻珍しいじゃん」

 コイツは加藤 康孝(かとう やすたか)、悪友だ。


「だれも起こしてくれなくってな」

「ガキじゃないんだから、自分で起きろよ」

「まあ、そうだよなぁ」

 清一は苦笑いをして相槌を打った。


「よっと」

 加藤は清一の机に腰かけて話しかけてきた。

「カバン掛けられねぇんだけど」

「ハハッ気にするな」

「そういう問題じゃないだろう」

 加藤は清一の言葉を無視し自分の話を続ける。


「そういえば聞いたか?」

「なにを?」

「転校生が来るらしいぜ!」

「可愛いのか?」

 ドンドン

 興奮する清一の声を打ち消すように隣の机から教科書を整える大きな音が響いた。


 加藤はチラリと音源の元を確認し話を戻す。

「俺、女って言ったか?」

「お前がわざわざ男の話をしに来るか?」

「来ねーな」

「だろ」

 加藤は納得しニヤリと笑った。


「で、いつから」

「わからねぇ」

「おいおい、随分な速報だな。本当なのか?」

 清一の疑いの視線に誤解を解こうと加藤は早口になった。

「疑うなよ! 職員室で仕入れたんだ。確実だろ」

「お前、また呼び出されたのかよ」

「そう言うなよ~」

 呆れる清一に加藤は軽くウィンクをして肩を叩いた。


 キーンコーンカーンコーン

「おっと一時間目が始まるぜ」

「まあ後で」

「おう」

 加藤は机から飛び降り自分の机に帰っていった。


「ねえ、中条君」

「何、どうしたの?」

 今村が意を決した表情で清一に話しかけてきた。

「あの、さ、加藤君が机に乗るの良くないと思うんだ。なんなら……」

「いいよいいよ、気にしないで、アイツとはそういう仲だから」

「……そう」

 寂しそうに呟いた。

(気を使ってくれたのかな?)

「でも、ありがとうな、気にしてくれて」

「え、えっ、うん」

 今村は顔を真っ赤にして俯いた。

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