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ファウスト〜始まりの王の幻視〜ギルガメッシュ  作者: 語り部ファウスト


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9/11

第九幕:老人たちの物語

親切なおじいさんとおばあさんに、

育てられ、人として考えられる優男になっていきます。

やあ、君。あれから少し時間が経った。この時間が、まさにケモノの姿から人の姿になる準備期間になった。

人は言葉の獲得により、

人間になり、そして変われるんだ。

ボクは、それを見た。


第八幕では、人面の化け物エンキドゥが言葉を覚えた。

彼は哀れと愛を知る人間シャムハトにより、人の社会に行くための切符を与えられたんだ。


シャムハトは、森からギルガメッシュと瓜二つの男を連れ出した。

だけど、そのまま王に彼を差し出すことはしなかった。

なぜかって?

彼女は賢かったからさ。


ねえ、想像してごらん。

このままケモノもどきを、

謁見の間の玉座でふんぞりかえって、

退屈で死にそうな王の前に連れていく。毛むくじゃらで、身を屈めがちの王と同じ顔した彼を見たら--。

『ふざけた奴らだ。我を愚弄する気か!』とか。

『ウルクの王をなんと考えてる!?』

『どれ、顔の形を変えてやる。少しはマシになる』と笑いながら、シャムハトの愛するエンキドゥを、傷つけるに決まっていた。

「彼は傷つけさせない。アタシが守らなきゃ--」と森の中で、彼女は一人宣言をしていた。


そして、近くの村で彼女は親切な老夫婦に事情を説明した。

おとぎ話で、よく登場する『おじいさん』と『おばあさん』さ。

エンキドゥは彼らに預けられる。

シャムハトのようなお尻が桃のような女の人に連れられてね。


いまボクらは、その家にいる。

土のレンガを積んだような家。それだけさ。

床が地面そのままで、

時々、甲虫が這いずり回る。

貧しいけど、それなりに食べられた。

ケモノだったエンキドゥは、

彼らから知識を吸収していった。

彼は今では、美丈夫だ。ギルガメッシュ王とは違い、柔らかくなった。彼を初めて見た者は、ギルガメッシュ王だと思ったに違いない。

彼と違うのは、身長が少し低かった。

そして、ほんの少し華奢だった。

ここは貧乏で、

エンキドゥは老夫婦に遠慮して、

あまり食べられなかったからね。


彼は村を狼から守ることもしていた。

村のわずかは羊を守るため、

彼は棍棒をもって、

狼の群れに囲まれたことが何回もある。彼は、そのたびに生き延びた。


黒い髪は陽光に照らされて、

赤く見えた。

髪は短髪に刈り上げられ、

雌獅子を思わせた。

どことなく、

女の子を思わせるのがエンキドゥだ。

傷ついたケモノではなく、

四つん這いで森の中で口でモノを食べてた男ではなかった。


ある日、その家の中で、

老夫婦は、彼に物語を話した。

エンキドゥは足を崩して、

横たわり話に耳を傾けていた。

彼らの話だ。


ウルクの王が長年、王として留まり、人を不安にさせている話だ。

「人の上に立つ者が、下の者を不安にさせるとは、どういう事?」とエンキドゥは老夫婦にエンキドゥはたずねた。

「かつて、ウルクには英雄がいた。

だけど、それは遠い昔。

彼の名は、もう物語の中の名の一つだ。語られるのは、それだけ。

彼の神を妻にした物語も、戦いの記録さえも、もう私たちしか覚えていない。お前に話して聞かせた物語だよ。エンキドゥ。

英雄王ルガルバンダの物語だ。

だけど、お前が他の人に話すと、

この物語は危険を呼ぶ。

それが、不安だ。

この国の不安なんだ。」と老夫婦が話す。

「この国では、まだ愛する男から女をうばう法律が生きている。

神々の前で誓いあう二人の後ろに、彼は当然の如くいる。

エンキドゥ。

そんな顔をするな。

怒りを感じてるのか?

王が、そう定めている。

それが、不安だ。

この国の不安なんだ。」

老夫婦が語り終えた時、エンキドゥは仁王立ちとなった。

「なんて、恐ろしい王なのだろう。

なんて、恥知らずの王なのだろう!」

彼は拳を高く上げた。

「天の神々よ!ボクに力を!そのような悪逆は、ボクが終わらせる!

このエンキドゥの物語が始まる!」

唐突な宣言に、老夫婦は目を見開いた。

「ああ、命を惜しめ。彼は神の血が濃ゆい。ムダに命を危険に晒すだけだ。

私たちの話は、毒だった!」と老婆は狼狽した。


しばらくして、エンキドゥは村を出た。

古代メソポタミアの王、ウルクの王、ギルガメッシュ・F・ウルクを倒すために。


物語は、まだ始まったばかりだ。


(こうして、第九幕はケモノだった男の背中で幕を閉じる)

気づいた人は気づくだろうね。

これは、桃太郎なんだ。

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