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第四幕:英雄王の死と誕生

禁忌の関係が暗示され、

物語は暗い話が始まる。

闇の時代の到来だ。

英雄王は帰還する。

やあ、君。熱に浮かされた事はあるかい? 

こうしないと、

自分は先に進めないとか。

こうしないと、

損した気分になるってことさ。

そんな経験がなければ、

幸せな事だろうね。


第三幕では、ギルガメッシュ王子と女神ニンスンの対話と終わりを見た。


これからーーこの親子は、

ーーたびたび二人だけの、

時間が増えていく。

周りが怪しむのに、

ーー時間はかからない。

二人にとって悲劇なのは、

神と神では子を成すには、難しすぎた。

永遠を歩む神々にとって、

若い神はものすごく稀な事。

だから、大切にしている。

時には、海に投げ飛ばしたり、

食べちゃったりもするけど、例外さ。


泥みたいに神は出来上がらない。

さて、話を進めよう。


破局は、すぐに訪れた。

真夜中のことだ。高い城壁を見下ろすボクらの視界に、怪しげな男が夜の街を歩いているのが見えた。

体格が立派な男が黒いフードを目深に被り、街道を歩いている。

英雄ルガルバンダ王だ。

彼は、身を縮こませて道を進む。


なぜかって?

とても寒かったからだ。

このあたりの夜は、寒い。

昼間の大地は暑いのに、夜は大地が熱を出し切ったかのよう。

戦場帰りの王は、

隠れるようにして宮殿に入る。

愛する家族の、バカな噂を笑い飛ばすためさ。

「おお、妻よ!女神よ!君の男が帰ってきた。また、戦場に戻らねばならないがーー仕方ない」と大らかに愛を捧げようとした。


だけど、彼が宮殿の中の奥深くで見たものは裏切りだった。しかも、最悪な部類だ。

夜の広間の中で、焚き火が、パチパチと音を立てていた。

まるで観客のよう。

石の床の上にウールの敷物を広げ、

その上に、温かい毛布を被せていた。

二人の男女が半裸になって。


神々はこぞって、

英雄王の心に好き勝手に囁く。

『戦場にいたお前を、あざ笑う』とね。

彼は腰に下げた剣の柄をグッと握りしめて、掲げた。

まるで、旗のように。

「ああ、この、この!この!恥知らずどもが!」と鬼の形相になる。

フードの下から、黒いたてがみを揺らす獅子の如き鬼だ。


神の前では、

人の想いは踏み躙られる。

彼の戦う気力は、

感情に任せた暴走となる。

ボクは君をさりげなく、

後ろにひっぱる。


血の惨劇が予想されたが、

若い男が動いた。

英雄王が見ていたのは、

愛した女神だからだ。

英雄王の判断が遅れたのは、

そのせいだ。

強すぎる愛のせいだ。


若い男が、焚き火を足で蹴りあげた。火の塊が、英雄王の顔を焼く。

ゴッとジュッという音が聞こえた。

彼は後ろにのけぞる。

その隙に若い男が、飛びかかった!

彼の両手首を掴む。

剣を奪うためだ。

英雄王は、自分と同じ、

それ以上の男がいるなんて思わなかった。

彼は怯んだ。


それでも問題なかった。

彼には経験があり、

この程度は戦場でもよくあったから。

だけど、

なんだかこの若者が好きだった。

だから、英雄王は何もできなかった。悩んでいたんだ。


神々が囁いた怒りから、

彼は逃れようとした。

女を許そうとまで、ーー考えた。


そして、彼は後ろからナイフを刺された。彼の肩と首元の間に深々と小さいナイフが突き立てられた。

女は冷静に見てた。


後ろからね。


(こうして、第四幕は英雄王の死で終わる)

英雄王ルガルバンダの死

彼の悲劇は物語の中

読者は目撃者として生きることになる

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