第十一幕:永遠の友情
王から自分を殺せと命じられたエンキドゥ。
彼は、剣を持ちーーそしてーー
やあ、君。ここから始まるのは、古い時代の終わりと新たな物語の始まりだ。王が終わりを認める事で、長すぎた物語は閉じられる。
第十幕では、悪王ギルガメッシュは、作られた者エンキドゥによって敗れた。彼は剣での死を望み、
エンキドゥに自分を殺すように命じた。
冒涜の神殿の前で王はしゃがみ込む。
目の前にいるのは、剣を持った若い男だ。二人とも同じ顔をしていた。
一人は微笑む。
一人は--わからない。
どういう顔をすればいいか、
剣を振り上げた。
そこまでは良かった。
エンキドゥはわからなかった。
「...悪王よ。ここで、お前の、物語は、終わりを--」
彼は剣を振り下ろせない。
だって、彼はこの先を物語にはしてなかった。
振り下ろすのが正解だったろう。
ギルガメッシュ王を苦しませたくなければ。
彼は舞台からおり、壊れた魂は別の者に宿る。
それでいいじゃないか。
エンキドゥが、まるで刺されたかのような表情をする。
ああ、彼はギルガメッシュ王に共感している。
それでも、彼は剣を持つ手に力を込めた。
ためらっては、いけないと思ったんだ。
「エンキドゥ!おやめ!」と悲鳴のような声が彼らのもとに届く。
人間シャムハトが、彼女の身体を魅惑的に揺らしながら近づいてくる。
「こんな事しなくていいんだよ!こんなの!ああ、悪の呪いよ!なんなの!?」と彼女は半ば発狂しながら、エンキドゥの肩を叩く。
「悪王を終わらせるために--」と、
愛する女との再会を喜ぶ前に、
彼は狼狽えた。
「これは君のためでもあった--」
「誰も頼んじゃいないよ!」と彼女は叫ぶ。
「誰もアンタに王を殺せなんて、言ってない!」と彼女は彼の背中に頬を寄せた。
「剣を捨てるのよ--アタシのエンキドゥ」
エンキドゥは剣を捨て、地面にしゃがみ込む。
それから、大きな声で泣きじゃくった。
ギルガメッシュは、キョトンとした顔になる。
周りの民もしばらくは黙ったが、
お腹が空いできたので、それぞれの自宅へと戻る。
彼らは取り残された。
「シャムハト。申せ。彼は何者か?」
ギルガメッシュ王は立ち上がり、重々しく彼女にたずねた。
もう、殺すことも殺されることも考えてなかった。
「彼は何者なんだ?」と繰り返した。
「王よ。彼は人とケモノでした。
わたくしが、彼のケモノの衣を剥ぎました」とシャムハトがひざまづく。
「なるほど。我が願いを果たしていたか。大義である。」とギルガメッシュは呟く。
「エンキドゥ。我の負けだ。
これはくつがえさない。勝利はお前のものだ。名に載せよ。」
ギルガメッシュは微笑む。
彼には離れてほしくなかった。
彼がそばにいてくれたら、
もっと大きな事がやれると考えてた。
それが破滅につながろうとも。
エンキドゥは、ギルガメッシュを見る。
「王よ。ボクは貴方を殺せなかった。倒したなんて、恥ずかしくて言えない」と彼は応えた。
ギルガメッシュ王は、顎を撫でる。
そうして、彼に言葉を授けた。
「ならば、エンキドゥ。我が友を名乗れ。君が誰かに名乗るたび、オレは誇らしい気分になれる」
こうして、
物語は一旦幕を閉じるんだ。
--始まりの王としての物語としては。
--だが、語りはまだ終わらない。
こうして、物語は友情を歌うのであった!
だが、天使たち。物語は終わってはいない。
次のシリーズの時!
また語らせてもらおう!




