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ファウスト〜始まりの王の幻視〜ギルガメッシュ  作者: 語り部ファウスト


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第十幕:激突!暴君と再来の正義

ついにエンキドゥは、暴君の前に現れた。

人々は、天使さえも、この戦いを見つめたのだ!

やあ、君。ものすごく怒り狂う王を見たことがあるかい?見てないなら、座って彼らの声を、動きを聴くといい。

ボクらは今、ウルクの神殿の前にいる。若い男女が神々と王の前で誓う場所。冒涜の神殿だ。白い石を掘り出したような美しい神殿だ。よく見ると、泥で汚れてはいるけどね。


第九幕では、老夫婦の語りにより、元ケモノのエンキドゥは悪王ギルガメッシュと戦う事を決意する。


彼は徒歩で、ウルクの都市まで来た。

運命は、まさに物語のようだ。

彼が街に着いた時、結婚式は始まってた。そして、ギルガメッシュ王の前で男女が愛の誓いをしているところだ。

この神殿の中に、花嫁は王と共に入る。ここは、花嫁が愛する花婿の前に、より強い男が味見するだけの場所なんだ。


エンキドゥは声をあげた。

こんな感じにだ

「英雄ルガルバンダの息子よ!

お前が民を苦しめるやり方を、

彼は認めはしない!」


この言葉はギルガメッシュが殺した将軍の台詞と、ほぼ同じだった。

彼は昔を思い出し、苛立ちを見せた。

「ーー先王は神々に迎えられた。

我がやる事を、

認めぬのなら、

すぐにでも神々の国から、

戻ってこよう。

先王が戻らぬと言う事は、

ーー我を、認めている。」

ギルガメッシュ王は勝ち誇ったが、彼の目の前にいるのは、若いルガルバンダを思わせた。

彼は花嫁を掴んだ手を離す。

花嫁は花婿のところに、

鳥のように飛んでいく。


「悪王め!ボクはルガルバンダの物語と共にきた!お前の悪逆は終わる!」とエンキドゥは吼える。

「何が神々の国だ!悪王め!

お前は、民を酷使し、神々を貶め、

初夜権と歌い、愛する男から女を恥ずかしめ、更にはお前の父の物語すら砕いた!

大罪人が!大悪逆め!反逆者が!

お前が、このウルクの王だと?

笑わせるな!」

まさに正義の再来だ。

ギルガメッシュ王は怒るべきか、怯えるべきかを選ばなきゃいけない。

彼は怒ることを選んだ。

彼は腰にかけた武器を持たずに、

床に投げ捨てた。

彼の気迫で獅子のたてがみのような髪が逆立でるようだった。

「退屈だったところだ!」と彼も吼えた。

「我はウルクの王。父は英雄ルガルバンダ!母は女神ニンスン!

神の血を三分の二を持つ者なり!

我はウルクの城壁を高くし、より厚くした!川の流れさえも、我の威光の前では道をさける!我が名はギルガメッシュ王だ!」と彼は名を高めた。

それを聞き、エンキドゥも応えた。

「悪王よ!よく聞け!ボクは神々の泥によって作られた。創造の女神アルルがボクの母。猛々しい川がボクの乳母だ。森はボクの兄弟、美しく賢い知恵の女神がボクに言葉をくれた...」とね。


二人は向かい合う。

ジリジリと太陽は彼らに視線を向けて、二人の汗が全身に浮かび上がる。

エンキドゥが王に向かって飛びかかる。

王は、その腰にしがみつき後ろへと押し倒そうとした。

だが、彼が若きエンキドゥの腰をおさえる前に、エンキドゥが王の両肩をとらえる。二人は上半身をぶつけあい、

地面へと転がる。ごろごろと乾いた地面から砂埃が立つ。

二人とも拳を相手に振り下ろさなかった。顔面を殴りあうこともしない。

ただ、抱きあった。

同じ顔だったのか、どうも二人は相手を傷つける事にためらいがあった。

まるで、初夜だ。乱暴な初夜だ。

二人は手を握りあい、目を血走らせて指を絡めた。

互いに強くにぎり、押し返しては、押された。

だんだんと、彼らの争いはルールあるものになる。

地面を転がるのを飽きたらやめて、二人は起き上がり、土埃を払う。

手を握るのも飽きたら、突然に離し、睨みあう。

互いに笑いだす。

周りにいる民は、この光景を不思議に思うんだ。

「なぜ、笑うんだろう?」と。


彼らには分からない。

互いにぶつかりあえない孤独の中で、

ようやく出会えた敵なんだから。


彼らは投げあい、

組みあい、

時には挑発しあった。


やがて満足したのか、

ギルガメッシュ王は言った。


「我の負けだ。エンキドゥ!

さあ、殺せ!楽しかった!」

彼はエンキドゥに向かってそう言った。


風が鳴った。王の瞳が、少年のものに戻っていた。


彼は神殿の前に尻餅をつく。

手元に引き寄せた剣を、エンキドゥの方に向かって投げた。


エンキドゥの目が細まった。

彼は王の投げ捨てた剣を見ていた。


神殿はそこにあり、

彼らの汗で泥が輝きに変わった。


(こうして、第十幕は王の剣で幕を閉じる)

そして、敗北を認めた王は殺されることを望む。

英雄は、暴君を殺さねばならないのか?

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