連絡
夜十時を過ぎた頃、LINEに風凛からのメッセージが届いた。
《ねぇ、ちょっと相談して良いですか?》
湊は嫌な予感を胸に秘めながら返した。
《どうしたの?》
数秒後、風凛からの返信が届く。
《お母さんと喧嘩して…》
短く書かれたその言葉の裏に、どれだけの感情が詰まっているのか、湊はもどかしくなった。
《何があったの?》
《湊さんと仲良くしすぎって、また怒られて…。
年上の社会人と女子高生なんて、普通じゃないって。湊さんには悪いけど、言い返せなかった。》
その言葉に、湊の心が静かに冷えていくのを感じた。
理屈で言えば、彼女の母親の言うことは正しい。
世間的に見て、自分たちの関係はきっと異質で、ズレている。
《お母さんの言うことはごもっともだよ。》
一瞬、文字を打つ指が震えた。
でも、目を背けちゃいけないと思った。
《俺たちもう会わない方がいいのかもしれない。》
言いながら、心がきしむ音がした。
誰に責められたわけでもないのに、自分がいかに空気を読めていなかったか、ようやく気づく。
──やっぱり距離感、おかしかったんだな。
送信ボタンを押した直後、既読がついた。
でも、数分、返信はなかった。
そして──
《湊さんまでそう言うんだ……》
《もう、いいです。》
そのひとことで、風凛とのトーク画面が無言のまま閉ざされた。
「ブツッ」と、目に見えない糸が切れたような感覚。
湊はしばらく、画面を見つめたまま動けなかった。




