絶望の始まり
悪魔のクロームを倒すために奮闘する話し
悪魔と契約するには、対等になるには、願いを叶えてもらうには、そして悪魔になるには、何を対価とし、誰を生贄にし、何かを犠牲にする、そんな腐りきった覚悟があるのか、どれだけ絶望を味わっても良い覚悟はあるか、人を辞める覚悟があるか、たとえそれがどんな結末でも受け入れる覚悟があるか?
とある村で起こった事件、それは決して外に公表されることはなかった。
だが、誰1人として想像つかなかっただろうこの事件のせいで1人の少女の人生が絶望に始まり、最悪の結末を迎えることを。
少女はごく普通の子だった。母と少女の二人暮らし、決して裕福とは言えなかったが、少女には母がいれば毎日が幸せだった。
ある日少女の母が村の方に用事があるから、少女に家で留守番を頼んだ。少女は普段は大人しいが遊び盛りなのでとても暇だったので、母が帰ってくる前に家に戻れば大丈夫だろう、少し外で遊ぼうと思った。最近見つけたお気に入りの場所で暇を潰すことにした。
お気に入りにの場所に着きドアを開けると、いつも誰もいないそこには少女が見惚れるほどの美しい少年がいた。見た感じ少女より少し年上のお兄さんだろう、村でもこんな美しい人間を見たことがないと思った少女は思わず、叫びそうになった。
だが相手が寝ていたので、なんとか理性が効き我慢した。少女は数刻の間少年を観察するように見ていたが、少年の瞼がゆっくりと開き少女と目が合った。
少女は驚いたが、すぐに真顔に戻った。少年は少女を見て言った。
「君、だれ?」
少年は見た目が美しくだけなく声も美声で少女はすぐには返事できなかったが、落ち着きを取り戻した後に少女は自分の名前を口にした。
「わたしは…ウォル!」
「ウォル…ボクはクローム、よろしく。」
クロームはウォルに美しい微笑みを見せた。ウォルは顔が赤くなり、もっとクロームのことを知りたいと思った。
その後の行動は早かった、ウォルがクロームの手を引き横に座らせ疑問に思ったことを質問責めした。クロームはその質問責めを丁寧に一つ一つ返してクロームもウォルに質問していった。お互い話してる間に仲良くなりウォルはもっともっとクロームと居たい、話したい、と思っていたが、もう家に帰る時間になりクロームと最後にまた明日ここで話そうと約束して帰った。
クロームはその後ろ姿を見つけて不敵な笑みを浮かべていたのは誰も知らない。
翌日
ウォルは昨日と同じお気に入りの場所に行き、クロームと遊んだ。少し遊んでいると、クロームがウォルの家に行きたいと言った。
その後、ウォルがクロームと一緒に家の中に入り、母についでにクロームを紹介しようとした時、少し違和感を感じた。
いつもニコニコ笑う母が恐ろしい顔で、クロームを見ていたのだ。ウォルは初めて見る母の顔にクロームを守ろうと前に立つが足が震えていた。母はウォルの腕を引っ張り自分の後ろに隠した。そして、母が言った。
「なんで、なんで…お前がいるのよ!どうしてここに!」
「久しぶりだね、ラゼル。君が元気そうで良かったよ!君がその子ごといなくなるから探すハメになった。まったくめんどくさいことしてくれたよね。」
母ラゼルは、クロームに対して異常な殺意を向けていたが、そんなこと気にもせず、クロームがため息を吐きながら文句を言っていた。
この状況に理解できないウォルは母の服を掴むことしかできず、ふとクロームと目が合った。
そこからウォルの意識は曖昧だった。ウォルがしたことは、前にいる母を押し倒して、母の持っていた包丁を奪い取りそれを、母に向かって何回も刺したのだ。
ウォルが意識をしっかりと保つ頃には、母の意識はすでに無く、身体がぐちゃぐちゃになり、ウォル自身と床一面が血塗れだった。呆然と母の死体を見て涙を流すウォルを天使のような笑顔で見ていたクロームがウォルに近づき、ウォルの両頬を優しく手で掴み自分の方に向かせた。
「ウォル、よくやった!やはりお前はボクの子だったんだね!さぁ、今度は成功させるからね、姉さん。」
クロームはウォルにキスをし、ウォルは必死に抵抗したが身体が言うことを聞かなかった。
その後ウォルは意識をなくし、クロームさんなウォルを汚したのだ。