第1話 異世界に転移させられてしまった。
通常、異世界転移なんてのは選ばれし者がされるべきだろう。だが、異世界転移に選ばれたのは……ただただ普通の高校生である俺だった。
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それはとある日のことだった。高校2年生である俺は、人生の中でも重要な分岐点にぶち当たっていた。…そう、告白である。相手は同じクラスの可愛い、名前は楓という女の子である。そんな女の子に校舎裏に呼び出され、今俺は告白されているのである。
「秋原くん…私と、付き合って欲しいです!」
「スゥ…喜んで!!!」
(人生勝ち組きたぁぁぁ!!!!)
(悪いな河合、梅谷。俺はどうやら、お前たちより先に卒業してしまうらしい…いろんな意味で!グハハハ!!!!)
とか思いつつ嬉しさでいっぱいの俺は、楓ちゃんと一緒に家に帰るなんていう甘々なシチュエーションをして更に満足してしまい、帰ってすぐ寝入ってしまった。ピコンピコンとイ○スタがなっているものの、明日の朝返そうと思い、今日のところは寝ることにした…。
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朝起きると、見慣れない天井だった。ビックリした俺は辺りを見渡してみる。するとそこにはまさに女神と呼ぶにふさわしいほど、神々しいオーラを放つ銀髪の女性がいた。夢の中なのか、それとも俺は死んでしまって、あの世に来てしまったのか。分からないが、夢の中であって欲しいと考えてしまう。
『夢の中じゃないですよ。そして、死んでもいません。私は女神のアシュナと申します。まさしく、貴方を呼んだ張本人でございます、秋原奏様。』
心を読まれているかのように、その女神(自称)が言葉を放った。ビックリだ、夢にしては鮮烈すぎる。だが、夢でないと言うなら一体…?
『ここに貴方を呼んだのはお願いがあってのことです。貴方には、私の管理する世界に転移して欲しいのです。あぁ、もちろん何かしろと言うつもりはありません!これは今は亡きお父上との約束でして、あくまでも貴方の意思を尊重させていただくつもりです!』
若干早口になりつつも、簡易的な説明をしてくれた女神。どうやら俺は死んだわけでもなく、夢を見ている訳でもない。ただ、親父が交わした契約を履行したとのこと。
「…女神様は親父とどのようなご関係で?」
『あっ、そういえば知らないんですよね!説明させて頂きます!』
そう言うと、女神様は親父について話し始めた。女神様の説明によると、まず、俺の親父は正真正銘地球人ではあるらしい。しかし、女神様の世界で勇者として召喚された過去があるらしく……その当時世界を混沌に陥れようとした魔王なる存在を討伐し、世界を救った報酬として、願いをいくつか叶えてもらったのだとか。そのひとつが、俺を異世界に転移させるというものだったらしい。正直謎だが、俺の親父自体がもともと変わった人間だったのでどこか納得してしまう自分がいた。
「なるほど、事情は分かりました。しかしながら、転移の件についてはお断りさせて頂きます。親父ももうこの世には居ませんが…それでも大切な人がいるので。」
とりあえず全容は分かったのだが、やはり地球を捨てるというのはできない事だ。高校生活もまだ始まったばかりだし、今となっては大切な彼女も出来た。俺にはこの環境をばっさり切り捨てるなんてことはできない。
『そうですよね、承りました。それでは元の世界に返させていただく準備を致しますので、少々お待ちください。』
そういって女神があたふたと仕事を始める。俺はこの非現実的な現象を堪能しつつ、
(帰ったらまた高校行かなきゃなー!朝は楓ちゃんを誘おう。)
などと考えていた。
『あ、やべ』
女神様からそんな声が聞こえたと思ったら、俺の周りが光出した。
「…女神様?俺、元の世界に帰れるんですよね?」
『あ、そ、そのぉ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!間違えてこっちの世界に転送してしまいました…。』
(嘘だろ…)
この女神やりやがった…!まじか、しっかりキャラかと思ってたのに…まさかのポンコツだったとは…。
『手続きって難しいんです!!!そんなこと言わないでください…!心がぁ…(泣)』
「とにかく、どうにかならないんですか?!!」
『む、無理です…発動してしまった以上、変えることは出来ないみたいで…無理に変更すると秋原さんの魂が死んでしまう可能性が…』
「怖い!!!なんてこと言うんですか!?てか、親父は地球に戻れたんですよね?!それを試してくださいよ!」
『あれは元々契約内容にあったことなので可能だっただけで、秋原さんの場合は「CHANGE or STAY」、どちらかを選ぶしか出来ず、1度選んでしまったらそれまで。世界を転移したら帰ってくることは難しいんです!!!』
なんで堂々とそんなこと言えるんだこの人ぉぉぉ!!!!てかなんかもう体が透け始めてるんだが…!???
「女神様…———————-」
その頃にはもう既に俺の意識もほぼ飛んでおり、女神様のてんぱる姿を最後に、意識を閉ざしてしまった。




