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Episode2-4

執筆中機能が無くなり、溜まっている続き達が消えていないか冷や汗をかきました。

斐蔵の話を一生懸命メモをしている侑人を喉を潤すためにお茶を飲みながら見つめる。侑人は見られていることに気づいていないのか要点をまとめて書いている。

ようやく気づいたのか、急いで顔を上げすみませんと頭を下げるも笑って返されるのみである。

「文彦が教えてくれたおかげで我が家は空襲で燃えてしまったが、大切なものをすべて蔵の地面を掘って穴に埋めて無事だったんだ。終戦後の混乱しているときだったかな、和弘くんが生まれたお祝いに幸子さんに家に行ったときにちょうど文彦の悲報が届いたんだ。」

 斐蔵はアルバムをめくり一つの写真を愛おしそうに撫でていた。覗き込むとまだ少年といってもいい雰囲気の文彦らしき人物が多く写っていた。

 「私の上の兄は写真家でね、年の離れた私のことを可愛がってくれたものだよ。文彦のことも気に入ってよく写真の被写体にしてたから、家には文彦の写真が結構残っているんだ。……結局兄は召集令状とともに南に歩兵として連れていかれて亡くなったがね」

 「……祖父は祖母のことをしっかりと愛していたんですね。写真の見た目と祖母の話からクールな冷静な男の人のイメージがあったですが、人間らしいというより幼いイメージを持ちました。こんなにいろんな顔をした祖父に会えるとは思わなかった」

写真に写っている文彦はどれもいい笑顔をしており、走り回って遊んでいたのだろうと思うほど、顔に絆創膏が貼られている写真が多かった。

 「そう言ってもらえると嬉しいね。……文彦は恥ずかしがっていたが、幸子さんのことを愛していたよ。政略結婚と言ってもあいつは戦闘機乗りだから逃げることもできたが、兵学校時代に文彦自身も幸子さんを気になっていたということだ」

文彦はしっかりとは祖母のことを愛していた。そのことが分かっただけでも大きな1歩で、今すぐにでも祖母にいい報告があるとメールをしたい気分だ。

「羽鳥文彦は勉強も運動もできたんですね」

「……まぁ、家が厳しそうだったからね。根っからの文系で理系は苦手だと教えてくれている時によく言ってたよ。見た目詐欺ってよくヤンチャな同級生たちが言われていたよ……文彦がいるから怖がって悪さするやつがいなくて学区周辺は他より平和だった」

侑人の近くにはいない感じの人間だなと、思ったのと同時に周りだけではなく、現代にそういった人間が居ないのだと考えてしまう。時代と共に人は進化していく、現代社会において人と人との関わりが極端に減り、傍観者が増えている世の中である。対岸の火事とはよく言ったもので、携帯をかざしてしまえば目と鼻の先の出来事も遠くの出来事のように捉えてしまう時代だ。

「私にとって羽鳥文彦はヒーローだった。何をするにも私の前に立って背中ばかり見ていたことを覚えてるよ。いつでも笑顔で無茶なことばかりして、それについて行こうと何回泣いたことか……あの時代じゃなければ教師や警官になっていたんだろうね」

斐蔵は悲しそうに微笑むとそう言えばと、新たな情報を教えて貰えることになった。斐蔵と文彦は幼なじみで仲が良かったのは確かだが、中学の頃はそれぞれ仲が良かったグループが違ってあまり中学の文彦を斐蔵は知らないのである。

教えてもらった情報は、その中学時代に文彦がいつも一緒にいたという人物で家に帰り祖母に聞いても知らない名前で驚かれたほどである。住んでいる場所は東京で、愛知からは新幹線か夜行バスで向かうしか方法が無く、侑人は金銭面で夜行バスに乗って行くことになった。

こぼれ話

・所崎の戦時中の職業は役場の兵事係

・空自幹部の所崎の息子の憧れは羽鳥。パイロットとして五輪に参加した

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