Episode1-3
私の知っているあの人は軍人ではなく、1人の殿方しか分からないわ。あの人は仕事を家に持ち込まない人だったもの。
そう、祖母は微笑みながらお茶を啜った。
侑人はまさか祖母にしっかりと惚れぎられるとは思わず微妙な顔をしてしまう。今の所、祖父の顔がよかったことと、士官、幹部であったことは分かったが、ひとつ引っかかったのは祖母の言い方だと祖父は別に祖母のことを愛していたのかがわからなかった。祖母のひと目惚れにより進められたお見合いと、出会った時代が悪かったと聞いていたら思った。二人の出会ったときにはすでに満州事変や日中戦争が始めっていたし、結婚は1943年の11月であるため太平洋戦争が始まり学徒出陣も始まっている。
侑人は携帯で年表を調べながら祖母の話を聞いていたが、流石に時代がひどすぎるとしか思えなかった。逆になぜ祖父はこのような時代に軍人の道を目指したのだろうか、いや、軍の道へ進まなくても赤紙が来たであろう。
しかし、孫の侑人からしたら戦争なんて行ってほしくなかったと、話を聞いてて思ったし父和人の気持ちもわかるような気がした。でも、祖母は自分の自衛隊幹部への道を否定することなく制定してくれている。祖母は軍人であった祖父に惚れて好きなのであろうと感じた。
「ばぁちゃん。羽鳥文彦のことをよく知っている人達って知ってる?もっと軍人としてのじいちゃんのことをよく知りたいんだ」
祖母は分かったわといい、戦友会のことを教えて貰えた。
そしてもう1つ、文彦の幼なじみの存在も、アポイントも取ってもらえることになりワクワク感が止まらなくなった。
まずはこの人に会いに行ったらいいわとタンスの中から1枚のハガキを見せて貰った。
「この人はあの人の生まれた時からの幼なじみよ。あの人が亡くなる時までずっと親交があったのだから私以上にあの人のことを知っているわ」
貰ったハガキの中から1枚見せてもらったハガキは年賀状らしく子や孫に囲まれた写真がプリントされているもので名は高見義顕
元愛知県警本部長を務め現在では定年退職し、今は夫婦ともに長男たちの家で孫に囲まれて幸せに暮らしているらしい。