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Episode8-4

「今思うと軍隊らしくない生活を送っていたなあの頃は」

「……そうですね、俺が想像していた軍は上下が厳しいものだと」

「それは変わらないよ。ただ上にくる隊長の性格次第でその隊の雰囲気は大きく変わる」

 田所は少し待っててとカバンの中から写真とある飛行機のプラモを二つ出して机に並べた。侑人は写真のほうを見て羽鳥がいるのを見つけた。

「この写真は南方にいるときに撮られたやつだね。これは零戦に乗り込もうとする羽鳥さんの姿を撮ったものなんだけど、これは写真班が撮ったものではなく実は岡部さんが撮ったんだ。撮り方にこだわって岡部さんがあまりにもすごい体制になるんだからこの写真の羽鳥さんも笑いすぎて羽から落ちそうになっていたな」

 本当にその時のことを思い出しているのか、楽しそうに笑いながら写真を撫でる姿を見て、田所にとっての青春はこの時だったのだと改めて理解することが出来た。10代後半から戦場に出ていた当時の若者にとっての楽しかった日々はひと時の何気ない休息の日々だったのだろう。

「岡部さんもそうですが、祖父とはヤップから最期の時まで一緒の部隊にいたんですね」

「そうなんだ。まさか、あの時の隊長がずっと上司でいるなんて思っていなかった。戦況の悪化で配置が固まって来たのも原因だったかな……俺も羽鳥さんの呼ばれなかったら特攻でもうここにいなかったはずの人間だから」

 ふと窓の外を見上げる田所が何を思い浮かべているのか侑人には分からないが、昔を懐かしんでいるように見えた。その後も羽鳥の武勇伝や空戦のことを話してもらい盛り上がっていると外も暗くなってきたこともあり、解散することになった。田所は今までの人たちが知らない軍人として成長した羽鳥文彦を一番知っている人だと話の中で分かった為、もう少し話を聞きたかったが今日はさすがに家に帰らないと祖母に心配され、父親に連絡をされると困るので、連絡先だけ交換して別れた。

 お金を浮かしたかったが、流石に20時を回っているのに近鉄で帰ると最寄りの終電が心配だったので侑人は新幹線で急いで帰ることになった。新幹線の中でコンビニのおにぎりを片手に今日聞いた話を整理していく。もしかしたら岡部大誠は調べれば出てくるのでは無いかと思い、明日にでも調べようと二重丸で囲い窓の外を眺める。

 帰宅すると祖母が台所で洗い物をしている姿を発見し、帰って来たと少しほっとしながらただいまというと、笑顔でお帰りと言ってくれ、お風呂沸かしてあるよという祖母の顔を見て安心してい一度、止まっている部屋に戻る途中に居間による。

 電気をつけることなく侑人は仏壇の前に座り手を合わせた後、仏壇をぼんやりと見上げた。

「何で父さんたちを置いて行ったんだろ」

 戦闘機に乗っている羽鳥は強かったと口をそろえて言われたが、ならなぜ羽鳥は戻ってきていないのか、8月1日に羽鳥に一体何が起こったのか位牌をじっと見つめることしか侑人はできなかった。

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