Episode 1-2
新年早々なんて年だ
震災に合われた方々の無事と健康を祈っています。
侑人の祖母、羽鳥幸子が初めて羽鳥文彦に出会ったのは文彦 18、幸子 15の頃であった。
出会ったと言うより士官学校の近くで育った幸子は士官の卵たちを小さな頃から見ていた。父が海軍大佐で軍人は身近な存在であったし部下の人達はよく遊んでくれたことを年老いてもよく覚えているものだ。運命の出会いは女学生であった幸子がいつもの様に決まった道を友人たちと歩いていた時、たまたま門から出てきた文彦を見つけたのである。
当時私は普通の学生として友達とイケメンを見つけると盛り上がったりして、いつか父のようなかっこいい軍人さんのお嫁さんになることが夢だったの。でも、友人たちと騒げるイケメンはいたけど好みの未来の旦那さんにしたいとまで思う人はいなかったの。
しかし、ある日士官学校が夏休みにはいる時に一瞬見てしまったある人に一目惚れをしたのだ。本当に一瞬だったのに名前も分からないあの人のことを寝ても覚めても考えるようになってしまって、あまりにも食事中に上の空になる私に見兼ねて父が尋ねたことによって全て発覚したの。
わざわざ父が士官学生一覧を持って帰ってきてくれて、そこで一目惚れした相手が羽鳥文彦という名前だと知ったのよ。そこからは会えるか分からない文彦さんを待って士官学校の門の近くをよく通ったわ。最初はただの女学生として対応してくれていた門の人たちもいつの間にか父の娘であることが知られて堅苦しく敬礼されるのだけは嫌だったわ。父にもあまり近づくものでは無いと怒られていたしね。でも文彦さんが学生だった時1度も会話をしたことがなかった。
たぶん文彦さんは、お見合いの席が両者とも初対面だと思っているでしょうね。あの人はこの結婚にあまり乗り気ではなかったもの。
「初めまして、羽鳥文彦です」
初めて見た時は坊主だった髪が伸び、青年として育ったあの人はイケメンと言うより綺麗な人だった。鍛えられた体と日に焼けた肌がなければ女性と間違えられそうなほど綺麗でしたから。
お見合いとして対面して、冷静を保つのが大変だった。憧れの一目惚れの人に会えるのだから興奮しない人はいないでしょう?物静かに私が全然話さないから不思議そうに首を傾げてる姿は本当に可愛らしかった。
海軍大佐である父の娘とのお見合いをたかが上がりたての士官に断れるはずもない。あの人は私のことを本当に愛してくださっていたのかは分からないけれど、あの人と夫婦として過ごした一時は本当に宝物だわ。
和樹には父のいない生活で困らせてしまうことも多かったけれども、あの子にも文彦さんのことを嫌いにならないで欲しかった。
私は軍服に身を包みこの国のために戦ったあの人のことを今でも誇りに思ってる。だから、侑人くんが防衛大学に進み自衛隊の道に進むなら、私は賛成するわ。
耐震工事は必要だなと、今回の地震で倒壊している家と無事な家を見て心から思いました。
皆さん、耐震工事は本当に大切なので明日は我が身と考え、備蓄などなどをして震災に備えましょう。