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Episode7-1 岩倉七郎

「俺は本当に防大に受かるのだろうか」

侑人は祖母の家で机に向かい頭を抱えていた。机には防衛大学校の過去問集が広がっており侑人の腕に下敷きにされているノートにはほとんど赤で答えが書かれており、全く受験勉強が捗っていないことが分かる。受験には1年近くあるため頑張ればどうにかなるだろうが、ノート一面の赤を見てやる気が一気になくなった侑人は壁にかけてある時計の時間を見ると一気に焦り出す。

「ばぁちゃん!新幹線の時間があるからそろそろ出る!」

「あらあら、忙しなく動いて……行ってらっしゃい」

侑人は最寄りのバスにギリギリに乗車し、名古屋駅より新大阪、大阪駅へと向かっていった。なんとか大阪まで着いた侑人は目的の場所をめざして歩いているのだが、先程から同じ道を何回も回ったりしながら駅を乗り継ぎ約束時間に余裕を持って出てきたはずが、3分前に着くというだいぶ時間を無駄にしてしまった。

目的地のホテルに何とか着いた侑人は岩倉に電話をかけ、ホテルに着いたことを伝えると部屋番号を教えてもらい急いでエレベーターで目的の階へと向かった。

エレベーターが目的の階に止まりドアが開くと1人の老人がソファーに座っていた。まさかと思い侑人が話しかけるとまさかの岩倉七郎本人で、挨拶をしようとすると着いてこいと背中を向けて歩いて行ってしまった為、黙って後について行くしか出来なかった。初めに電話で聞いていた部屋に着くと中へ通され頭を下げながら中へ入った。

「あの羽鳥大尉の孫が自分のところに来るなんて想像してなかったな」

「祖父の飛行学生同期の本野努さんに初部隊配属先で祖父の話を聞くに適任な方とお聞きしたした」

「たしかに、俺はあの人の初配属先の列機で1番機であったあの人に短い間だったが全力で後ろを追いかけていたことを覚えてるよ」

岩倉は懐かしそうに窓の外を飛んでいる飛行機を見ていた。

岩倉は甲飛10期生で文彦が部隊に配属される前年の11月から航空隊に所属していた。その部隊の若年は岩倉の同期たちで緊張はしていたが同期も沢山いて気が楽だった。

そんな中、岩倉たちの分隊長が飛行学校卒業と共に配属してくる新品だと知った時は同期たちと不安になっていたし、岩倉たちの先輩たちはどう弄ってやろうか陰湿に話し合っているのを食堂で見た事もあったなと岩倉は思い出し、目の前で緊張した面持ちで座っている侑人を見つめる。

「あの人も君みたいに緊張がわかる顔で現れたら、下っ端に弄られておもちゃにされてたのにな……羽鳥大尉はすごく厳しい人だったが、あの人の下で一時期でも錬成したから俺は今生きているんだと思うだ」

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