Episode 4-1 近藤郁
次の日、昨日は早くに寝たため頭がすっきりとした侑人は鞄からある手紙を出した。それは斐蔵に話を聞いてから3日後に来た、ある人物からの手紙である。その人物は羽鳥文彦と士官学校同期の近藤郁
指定場所は東京で、麻也の老人施設からも近い都心の病院で日にち的に話が聞けると思いアポウントをとっていたのだ。
「初めまして、羽鳥侑人です。本日は祖父のことについてお聞きしたいと思い、手紙を出させて頂きました。よろしくお願いします」
「ハハッ、こちらこそ羽鳥のことならいくらでも話すよ」
郁はいかにも戦前生まれのしっかりとした足腰と背筋がしっかりと伸びており、軍人であったと言ったら誰しもが納得いくような姿をしていた。
近藤郁は羽鳥文彦と士官学校、そして飛行学校の同期だが、郁は開戦後すぐ体調を崩してしまい終戦まで戦場に出たことがなかった。戦後、しっかりとした治療がされ体調が戻った後は自衛隊に入り国に貢献していた。
「俺はみんなと違ってしっかりとあの戦場を生きた訳ではなく、ずっと療養生活でベッドの中で仲間たちの悲報を聞くのは地獄だった。それどころか治る見込みが無いってことで直ぐに除隊させられたから」
「しかし、学校は卒業しているんですよね?」
「あぁ、これが卒業の時の写真たちだ。これが羽鳥でこの横にいるのは吉川有馬。自分とこの2人は同期の中でも仲が良くてねいつも一緒に行動していたものだよ。あと同期だと最初の特攻兵関行男がいて我々世代は卒業とともに戦争に駆りだされたようなものだ」
写真は変色していたが集合写真に写っている人物達の表情はよく分かるようになっている。皆凛々しい顔立ちで立っており、青春の1ページを覗いている感覚になる。
「兵学校卒業していつぐらいに太平洋戦争は始まったんですか?」
「……兵学校を卒業して飛行学生修了の一ヶ月後には太平洋戦争が始まったかな?でもその前から支那事変だっだりきな臭かったから、戦争の雰囲気は自分が兵学校に入隊するくらいにはしていたかな……あの時は国全体が異常だった」
ずっと人の良さそうな微笑みをしながら話していた郁の雰囲気が最後一気に冷たくなった。目が完全に冷め切っておりもしかしたら若い頃の姿はそっちなのではないかと思う。侑人は郁の冷たい表情に少し驚き縮こまってしまったが何とか話を聞き出そうとメモとペンを持ち話を聞く体勢をとる。
「羽鳥文彦は本を好み、喧嘩を良くしていたと祖父の学生時代の友人たちから聞きました。兵学校時代の祖父はどのような人だったのですか?」
「……そうだね、羽鳥は大人しい男だった。集団生活の中で特に目立つことも無く大衆に溶け込んで暮らしていたように思うよ。戦時中に羽鳥の噂はよく流れてきたが、その噂の人物と俺たちが知っている羽鳥が同一人物なんて最初全員疑っていたからね」
自分の誕生日にギリギリ滑り込めました!




