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『空舞う紙飛行機』の新しいものになってます。
名字だったり内容も変更させていただいてますので、新しいものとして見ていただけたら嬉しいです。
高校二年は人生の分岐点だと親に言われたことがある。中学二年生の時は高校受験で人生の分岐点であることは変わらないが、高校受験はその後の行動次第でどうにかなるが、高校からの進路はやり直すにも簡単なことではない。高卒で働くか大学に進むか、ここで変わってくる。
現在、高2となった羽鳥侑人は何もやりたいことが浮かばず夏休みに入ってしまいそうになっている。別に今ではなくても遅くても高3の夏に急いで決めても間に合うが、それを父は許さない。父である和樹は警察官であり、キャリア官僚であり侑人に自分と同じ道を進んでほしいと強く熱望しているが、侑人自身は別に警察官になりたいとも思っていない。親には大学には行けと言われている為、進路希望調査書には大学進学と適当に有名所の名前を書いて出しているが、将来に対してぼんやりとした不透明な不安を抱えていた。
周りは夏休み中にオープンキャンパスに行くと言っており、友人たちにあそこの大学見に行ってみようなど様々な大学に誘われ、夏休みの予定が埋まってきているが、その中で侑人の運命的な出会いのように興味を引くような出来事があった。
夏休みに入りすぐにあった祖母の大叔父に誘われってしぶしぶ行った防衛大学校のオープンキャンパスで防衛大学校に興味を引かれたのである。偏差値としても今の侑人でも行けるラインで興味を強く持ったが、母親は賛成してくれているのだが和樹は同じ警官になってほしいのか反対し、話さえ聞いてもらえなかった。もう防大にしようと考え、友人と約束していたほかの大学のオープンキャンパスを申し訳ないがすべて蹴って勉強に集中しようと思っていたのだが、父である和樹はあまり家に帰る男ではない為、たまに帰った時になぜ反対するのか聞いても怒鳴られて終わる日々。しつこく聞くので鬱陶しくなったのか、ある日いつものように聞くと「お前の祖父さんは戦争で死んだんだ。あの人が死んで俺や母さんがどれだけ生きていくことに必死だったか」と強く言われた。
戦争というと太平洋戦争であろう。あの戦争で生きて帰ってきた兵士の方が奇跡に等しいのではないかと歴史に疎い自分でも分かるが父は幼少期に体験した父親のいない生活に思うことがあったのだろう。だが、それは時代のせいであって侑人が防大を目指すことと全く関係ないのである。反対してくる理由がまったく理解できなかった侑人は、和樹と顔を合わせると喧嘩腰になってしまうため母親に夏休み中は祖母の家にいると言い、和樹が家を出てすぐに荷物をまとめて家を出た。