智咲先輩視点 1
さてお久しぶりです
コケのこけしでこざいます
始まりました智咲先輩視点。
ぜひ読んでいってください!
ある日、恋を知った。
相手は同じ大学の後輩。
理由はテンプレかもしれないけど私が二年生の夏、サークルのみんなで海にいって溺れてしまったところを助けてもらってそれからはずっと気になってしまって仕方がない。
普段の何気ない笑顔から普段見せないような凛々しい顔。すべてが見るとなぜか胸があつくなってしまう。
ある日美優に病気かと思い相談したら少し笑われながら
「智咲、たぶんそれ“恋”だよ」
と言われてしまった。
ここではっきりと理解できた。この思いが。
でも、どうやってこの気持ちをスッキリさせばいいのかわからない。
そうモヤモヤしながら一年が過ぎ、やがて私が彼に惚れ込んだ季節の夏も終わり秋に差し掛かっていたときだった。
「智咲ってさ、まだ三谷君のこと好きなの?」
ブフッ。
急に美優から彼のことを聞かれ思わず飲んでいたミルクティーを吹き出しそうになる。
「ちょ、ちょっといきなりなに!?」
「いやー、まだまだ三谷君のこと好きなのかなって思って」
「ま、まぁまだ好きですけども…」
気をとりなおしコーヒーを飲み直す。
「だったら告白しなよ」
ブフッ。
またミルクティーを吹き出しそうになる。
「いや、でも私のこと好きじゃないだろうし…。それにいまの関係にも満足してるし…」
「あまーい!」
「うわっ!急に大きな声ださないでよ」
「ごめん、ごめん。それで智咲、あんたは甘いよ。大甘だよ」
「そんなこと、ないと思うんだけど…」
「いやいや、智咲あなた三谷君に女ができないと思ってるの?」
「そんなことはないけども…」
「で、もし三谷君に彼女ができたとする。となると、彼女でもないただの後輩と先輩との関係である智咲よりも彼女の方を優先することになる。となると智咲は三谷君と過ごせる時間は少なくなるのよ?」
そう言われハッとなり気づく。
「もしかして、もう2人で映画とかご飯とか、いけなくなる、の?」
「いや、あんたらそんなことしてたんかい。まあもういけなくなると思うわよ」
「え、じゃあどうすれば」
「そう焦らないの。簡単な話。告白してさっさと彼氏彼女の関係になっちゃえばいい」
「いや、だからさっきも」
「まあまあそんなこと言う前にとりあえずこれを見てみな」
スマホを私の顔の前に持ってきて一つの動画を再生する。
そこには酔いつぶれていた三谷くんがいた。
動画の中の三谷くんは酔っ払いながら私が好きなことと、どういうところが好きなのか熱く語っている。
それを見て顔が熱くなるのがわかる。
「ほら、三谷君も智咲のこと好きなのがわかったでしょ?」
「そうだけど…」
まだ揺らいでいる私をみて美優はさらに追い打ちを掛けてくる。
「ほら、はやくしないと他の女にとられちゃうよ」
「わかったけど、どう告白すれば」
「いや、私に聞かれてもわからないよ。だって私智咲と一緒で彼氏いたことないし」
あ、そういえばそうだった。
だったらどうしよう。そう思いながら帰路につき、家に帰り、夕食を食べ、お風呂に入り、
テレビをつける。
そこにはなにかドラマがやっていた。
そのドラマはどうやら恋愛物らしく、微笑ましいカップル役が遊園地を歩いていた。
…いいな。私もこんな感じで三谷くんと遊園地に行きたい。
番組表を開きこのドラマの名前を確認する。
「『私を寝取ってください』、ですか…。寝取るってどういう意味なんでしょうか…」
突然だが解説しよう。この岡崎智咲は幼稚園からずっと女子校の箱入りお嬢様なのである。
学校が学校なのでそのようなゲスな話をするものはおらず、学校でされる話といえば自分の家のペットの様子レベルの話なのである。ということは、このような話を知っているはずがない。
以上解説終わり。
ちなみにいま智咲が見ているドラマはドロッドロの展開の胸糞ドラマである。
さらにちなみにたまたま運よくこのドラマでも珍しい純愛シーンなのである。
まあ、こんなにほのぼのしているドラマのタイトルに入ってる言葉ですし愛情を表す言葉なんでしょう。…そうだ!告白のときこの言葉を伝えるとしよう。
では、次に告白する日にちだが。…、美優も言っていた通り早めにしたほうがいいだろう。
そう思い、ベッドに向かう。
きっと明日はいい日になるだろう。
朝、大学で講義が始まる前美優に今日の計画を話す。
「おお!ついにやるの。頑張れ。応援しとく!それで、どんな風に告白するの?」
「それは、秘密!で、お願いなのだけど他の人達が部室に行くのを止めてくれない?」
「ああ、わかったよ」
大学の講義がすべて終わり、部室に行く。
他の人達はいま美優が抑えてくれているはず。
いま中には三谷くんだけ。
勇気をだし中に入る。
「あ、先輩お疲れ様です!」
三谷君が元気よく挨拶をしてくる。
一息吸う。
「三谷くん!私を寝取ってください!」
ふーう。言い切った。
さて、三谷くんはどのような反応をしてるかなって
なんですかその反応は!?
固まってるじゃないですか…?
「三谷くん、なにか返事してくれませんか…?」
「あぁ、はい」
数秒間が空く。
「岡里先輩、その言葉の意味わかっていますか?」
「はい!もちろんわかっていますよ!」
え?なんですか?私をもしかして異性として見れていないとか…?
「もしかして、私のこと異性として見られないんですか…?」
少し沈黙の間が生まれる。
「いえ、そんなことはないですよ」
「じゃぁなんでダメなんですか!」
思わず声を荒げてしまった。
でも見てくれないのならいい。
「いや、先輩にか…」
「もうこうなったら私を寝取ってくれるまで諦めませんからね!」
思い切り扉を開け部室から出ていく。
もうこうなったらゼッタイに振り向かせる。
「智咲、それでどうだったの?」
告白の翌日、講義後に大学から程遠いカフェでコーヒーを飲んでいるとニヤニヤしながら美優が聞いてくる。
「はぁー」
「どうしたの?そんなため息ついて。うまくいかなかったの?」
「いや、聞いてよ」
美優に今日の詳細を話した。
美優も納得してくれると思ったのだが、話していくうちにだんだんと顔が、固まっていく。
「智咲さん、あのね?あなた本当に寝取れって単語、知ってるの…?」
「え、もちろんわかってるわよ。愛しているっていう感じの意味じゃないの…?」
美優の表情が再び固まるのが見て取れる。やがて手で顔を覆うようになり
「一度、そのスマホで寝取られって意味を調べてみなさい」
「え、ちょっとまって」
スマホを開き“寝取る”という言葉を打ち込み調べる。
えーとなになに…。
『寝取るとは他人の恋人や配偶者と…』
え、嘘でしょ…。そんな意味だったの!?
私の赤くなった顔をみて美優は悟ったらしい。苦笑いを浮かべている。
「え、美優どうしよう!?私ほんとになんてこと言っちゃったの…。もうどうしよう…。絶対嫌われたよ…」
「まあまあとりあえず落ち着いて」
「いや、落ち着いてられないわよ!あー、絶対三谷くんにはしたない女って思われた…」
「とりあえずこれ、聞いてみな」
そういい美優はワイヤレスイヤホンを片方差し出してきた。
それを耳につけると中から三谷くんと山崎君の話し声が聞こえてきた。
「え!?ちょっとこれどういうこと!?」
「ふふ、リアルタイム配信。いま山崎君。三谷君と話してるらしんだけどその話を山崎君のスマホを通じてリアルタイムで聞いていまーす!」
あらためて美優の行動力には感心させられる。
というか、少しやりすぎもするがまあいい。せっかくのチャンスだ。
イヤホンの中の音声に耳を傾ける。
『お前岡里先輩のこと好きなんだろ?』
山崎君の声が聞こえる。
『うん、美人で優しいし、天使だし…』
三谷くんの返事があったあと、すぐに私のどういうところが好きなのかを述べていく。
思わず恥ずかしくなりイヤホンを耳から外す。
「わかったでしょ。三谷君は別に智咲のこと嫌いになってないよ」
「うん、それはわかったけど…、このあとはどうすれば…」
「そうだね…、そういえばこんどの祝日一緒に服買いに行く約束してたじゃん。あれ三谷君と行ってきな」
「え、でも来てくれるかわからないし…、それにどう誘えば…」
「ちょっとスマホ貸してみな」
スマホをカバンの中から取り出し美優に手渡す。
手渡すと素早い手付きで文字を打って、どうやら打ち終わったらしい。
「ほい、これでいい?」
返されたスマホはなぜか三谷くんとのLINE画面が開かれていて
そこには『こんどの月曜日の祝日空いていますか?もしよかったら一緒に買い物でも行きませんか?』という見覚えの無いメッセージが打ち込まれていた。
「ちょっと美優!なに勝手に打ち込んでのよ!?」
「まあ、まあ。それよりも返信きたみたいだけど見なくてもいいの?」
うーぅ、見たくない…。でも見たい…。
恐る恐るLINEを開きメッセージを確認する。
そこにはこう書かれていた。
『はい空いています!ぜひ行きましょう!』
当日の朝、私は妹に付き合ってもらいながら服選びをしていた。
「ねぇ三玖、こんなのはどうかな?」
「うーん、いまいち。少し季節にあっていない感じがする。というかお姉さまや」
「どうしたの?」
「いい加減開放してくれませんかね?時計をご確認ください。私を無理やり起こした時間は何時でしたっけ?」
「えーと、たしか9時ぐらいだったわね」
「では現在の時間は?」
「…、12時」
「三時間も付き合わせないで。ていうか今日一緒に行くのって美優ねぇでしょ。だったらこんなに選ばなくてもいいじゃない」
思わず黙ってしまう。
「もしかして、お姉ちゃん男ができ…」
思わず三玖の口を押さえる。
「ちょっと、声が大きい!お母さん達に知られたら面倒になるからやめて!それに、まだそんな関係じゃないわよ!」
すこしだまりながら考え込み察したらしい。
「ふーん、お姉ちゃんそういうことに興味ないとおもってたんだけどなー。まあそういうことならこの私に任せなさいな!」
そういいながら三玖は自分の胸を叩いて、クローゼットに入っていった。
「それで、お姉ちゃん相手の年齢は?」
クローゼットの中から三玖声が聞こえる。
どうやら服選びに付き合う対価として、根堀葉掘り聞くらしい。
「ええと、1歳年下の後輩//」
「ほー、それで身長とかはどのくらいなの?」
「私よりも10センチぐらい高い//」
「それでそれで、どういうところが好きになったの?」
「うう、それはねぇ…」
私が顔を赤くさせながら話しているうちにコーデを選び終えたらしく
服を持ってきた。
「一回これ来てみて」
そう言われ渡された服に袖を通す。
「おおー!似合っているよ!これなら彼もイチコロだろうね」
「そ、そうかな…//」
「もう、自信もちなよ!というかそろそろ出なくてもいいの?」
そう言われ時計を確認する。
時計の短針と長針はそれぞれ12と6という数字を指していた。
「あ、大変!そろそろいかなきゃ!」
「あ、お姉ちゃんこれ!」
三玖が大急ぎで自分の部屋に向い、菓子パンを投げてくる。
「お姉ちゃんお昼食べてないでしょ?これでも車で食べな!」
「三玖ありがとう!行ってくるね!」
三玖にお礼をいい家を大急ぎで出ていき車に飛び乗り集合場所に向かう。
集合場所にはもうすでに三谷くんが居た。
あ、完全にやらかしてしまった。集合時間に遅れてしまった
さぁ一応智咲先輩視点が終わったあと少し短編書きますので、ぜひそれまでどうか見ていってください