三谷視点 1
いやー、お久しぶりです。
休止中に二つ名、「偉大なる点P」を得ました。
さてこんな変人の復活作となります。
久しぶりの作品となりますので、どうがお手柔らかに…。
「三谷くん!私を寝取ってください!」
体が固まり、手に持っていたペットボトルを床に落とす。
この人はなにを言ってんだ…?
いまの言葉を他の人に聞かれていたらこの場は修羅場となっていただろう。
幸いこの部屋には次のサークルの活動の準備を賢人に押し付けられて来ていた俺と突然部室に突撃してきた岡崎先輩しかいないからまだいいが…。
てか岡崎先輩彼氏いたの⁉
まぁ確かに美人で、おしとやかで、性格もよくて、お嬢様で、天然で、おまけにそのたわわなブツをお持ちで…。
これだけの属性をもっておいて逆に居ないほうがおかしいか。
そんなことはさておき、しっかりと断らなければいけないのだが先程から開いた口が閉まらない。
「三谷くん、なにか返事してくれませんか…?」
「あぁ、はい」
思わず変な声が出てきてしまった。
というか先輩は箱入りのお嬢様だ。小中高とこの大学の附属女子校に通っていたみたいだしもしかしたら意味をしらないかもしれない。
いや、きっとそうに違いない。
「岡崎先輩、その言葉の意味わかっていますか?」
「はい!もちろんわかっていますよ!」
あー、ちゃんと知っちゃってましたか。
俺の儚い希望は秒で崩れ去っていった。
「もしかして、私のこと異性として見られないんですか…?」
先輩、その上目遣いからのこの言葉は反則ですよ…
さて、どうしよう…。
「いえ、そんなことはないですよ」
「じゃぁなんでダメなんですか!」
先輩は思わず声を荒げてしまったようで、ハッとした表情をしている。
「いや、先輩にか…」
れしが居なかったらOKをだしていましたけれどもと、言いかけたときだった。
「もうこうなったら私を寝取ってくれるまで諦めませんからね!」
そういって思いっきり扉を開け部室から出ていってしまった。
こんなことだれにも相談できないし、ましてや先輩と一番仲の良い小谷先輩や先輩のその、カレシとやらに知られでもしたら…。
なんとしてでも絶対に断らないと。
先輩からの衝撃の告白を受けた翌日、さすがに気まずいのかサークルには小谷先輩とともに先輩は顔を出さなかった。部室には卒論に追われている四年生の二人を除いた1年生の後輩二人と同じ学年の山崎しかいなく、また1年生二人は再来週の活動の計画をすべて任されているのでその用意で忙しく最初に顔は出したもののすぐに出ていき、俺と山崎しか部室にはいなかった。
「勇人、今日なんで岡里先輩達来てないんだ?」
賢人がスマホをいじりながら聞いてくる。
岡里先輩の名前がでてきて思わず変な顔になってしまった。
「なんで俺に聞いてくるんだよ?」
「その顔、なにか先輩たちとあったな。一体なにがあったんだ?」
さすがに先輩の名誉のためにも喋れない。
それにこいつのことだ。どうせからかってくる。
悪いが、いや全然悪くはないが諦めてもらおう。
「いや、なにも」
「おっと、正直に答えないとこの動画を小谷先輩に送っちまうぞ」
賢人がニヤニヤしながら以前2人で居酒屋に行って俺がベロンベロンになって先輩に対する思いを洗いざらい話している動画を見せつけてくる。
さすがにいま送られると色々と不味くなる。
岡里先輩、すみません。そして小谷先輩、せめて一撃で葬ってください。
そうして昨日あったことを洗いざらい話した。
「いやーまじかよ。正直予想の斜め上行ったわ。で、先輩にはなんて返事したんだ?」
若干笑っているような気もしたが、予想に反してあまりからかってはこなかった。
「断ろうとしたんだけど」
「だけど?」
「断る前に”寝取ってくれるまで諦めない”って言って部屋から出てったんだ。なぁ賢人さんやワシはどうすればいいんじゃ?」
「おい、やめろよ気持ち悪い。そういう聞き方はせめて酒が入ってからにしろ」
ガチの顔で言われてしまったので思わず傷ついてしまった。
「じゃあどうすればいいとおもいますか?」
「お前岡里先輩のこと好きなんだろ?」
「うん、美人で優しいし、天使だし…」
「わかった、もうわかったからそこらへんでやめろ。そんなに好きだったらOKすればいいんじゃない?」
「いや、さすがにまず」
そのときだった。
机の上においてあったスマホが振動と主に鳴り響きLINEがきたことを知らせた。
誰からのLINEかと確認するとそれは岡里先輩からだった。
「ほーら噂をすれば」
「うるさい」
賢人をだまらせながら先輩からのLINEを確認する。
『こんどの月曜日の祝日空いていますか?もしよかったら一緒に買い物でも行きませんか?』
スマホには以前の俺だった喜んでついていったであろう文章が書かれていた。
「それ、どう返事するんだ?はっきりと答えろよ?」
後ろから覗いていた賢人が若干圧をかけながら言ってきた。
「ちゃんと断るよ」
「でも先輩と二人きりだぞ?」
悪魔の囁きが聞こえてくる。
「もしかしたら2人でご飯行けるかもしれないぞ?」
さらに悪魔の囁きが聞こえてくる。
よし決めた。
LINEの返事を打ち込む。
もう後悔はしない。
土曜日の昼、俺の姿は先輩との待ち合わせ場所である福井駅の駅前西口広場にあった。
神様、欲望には抗えなかったことをお許しくださいませ。
そう心の中で懺悔していると後ろから聞き覚えのある声がした。
「三谷くん、お待たせしました。待ちましたか?」
振り向くとそこには白いブラウスとジーパン姿でオレンジ色のショートバッグをもっている先輩がいた。
「いえ、全然待っていません!なんならさっき来たところです!」
思わず早口になってします。
「ふふ、ならよかったです。それじゃ行きましょうか」
男なら誰でもドキリとするであろう強烈な一撃が飛んできた。
くそー、こんな素敵な人を彼女にできるなんて…。
羨ましすぎだろ。
そう思いながら近くの百貨店に向かって歩きだす。
「先輩、そういえば今日はなにを買いに行くつもりなんですか?」
「あ、そういえば伝え忘れていました。今日は服を買いに行くつもりです。
伝え忘れてしまい申し訳なかったです。」
ハッとした顔のあと申し訳無さそうな顔をする。
「いえ、ぜんぜん大丈夫ですよ!それになんとなくその気がしていたので」
あ、やばい。
いまとんでもなく気持ち悪いこといったかもしれない。
思わず顔を逸らす。
「そうでしたか。ふふ、良かったです」
だから先輩、その笑顔は反則ですって。
絶対に他の男には見せないでださいよ。
まぁ俺が言えることじゃないですけども。
そんなことを思いながら百貨店に向かって歩く。
「この辺もだいぶ変わりましたよね」
「ええ、そうですね」
辺りを見回しながら答える。
最近英気前は北陸新幹線が開通するので再開発がされておりあちこちで工事が進んでいる。
「僕が中学生の頃はここらへんはほとんど小さい商店の集まりだったんですがね…」
新しく建設されている複合施設を見ながらポツリとつぶやく。
「三谷くんの中学生時代ですか…。少し見てみたかったです…」
聞こえないくらいの声でいったはずだが、どうやら先輩には聞こえていたようでなにやら先輩の小声が耳に入ってきた。
先輩も聞こえていないと思っているみたいなのでここは聞こえなかったフリをしよう。
そんな会話をしているうちに目的の百貨店についた。
店内に入ると中は土曜日ということもあり子供連れからカップルまで大勢で賑わっていた。
「すごい人ですね」
「そうですね、お互いはぐれないように気をつけましょうか」
「ええ、そうですね」
少し間が空いてなにやら考えているようだった。
そしてすぐにニヤニヤしながら先輩が
「三谷くん、はぐれるのが怖かったら手でもつなぎますか?」
そうからかいながら先輩は手を差し出してきた。
どうやら先輩は俺が日和って手を繋げないだろうと思っているらしい。
ふっ、どうやら先輩は少し俺のことを見誤っているようだな。
「ええ、先輩そうしましょうか」
先輩は俺の目論見通りにうろたえているようで、顔がとても焦っていることが見て取れる。
「あの、私まだ、その殿方とはつな…」
「さぁ行きますよ」
なにか最後重要なことが聞こえたが、まぁいい。
先輩が差し出している手をつないで引っ張っていた。
でも、やはり俺はチキンだったようで恋人つなぎはせず普通の手のつなぎ方だ。
先輩の顔をのぞきこむ。
先輩もやはり恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてつないでいる手をチラチラ見てきている。
「先輩、先輩」
「は、はい、どうしましたか?」
「どこの階にいきましょうか」
「ええと、4階の売り場までいきましょう」
「わかりました」
お互い恥ずかしく、長く会話を続けられない。
こんな恥ずかしい状態の中、4階に向かうためのエレベーターに乗るために向かったのだが、やはり土曜日のお昼なので人が多くこれではエレベーターには乗れない。
「先輩、エレベーター乗れそうにないですね…」
「そうですね…」
「エスカレーターで上に行きましょうか」
「そうしましょうか」
再び一階の混みあっている化粧品売り場を進み、エスカレーターに向かう。
うわぁ、エレベーターに乗るのにも列ができているよ。
しょうがないのでその列の後ろに並ぶ。
「エレベーターに乗るには手を放す必要がありますね」
このままの状態でエレベーターに乗るには横になる必要があるが、先輩はどうやら聞こえていないらしい。列に並んでいる間二回ほど同じことを何度か繰り返す。
「は、はい。そうですね。そろそろ離しましょうか」
エスカレーターに乗る直前に聞こえたらしい。
なんか、すごい先輩がすごい残念な顔をしながら手を放そうとしたとき、目の前に並んでいたカップルが手をつなぎながらエスカレーターに乗っていた。
おい、マナー違反だろ!まじどうすんだよ。なんちゅう空気作ってんだよ。
「三谷君、もうすこし手をつないでましょうか。横になる方が場所も取らずにすみますし」
先輩がさっきよりも嬉しそうにしながらこちらを見ている。
まぁ、俺もうれしいのだが。
「そうしましょうか」
俺も少しにやけながら答える。
お互いになにもしゃべらないまま4階にむかって無言のままエレベーターに乗っていく。
なんとも言えないが、最高の時間だと思う。
このまま最高の時間が続けばいいのに。
しかし、そんな時間は長く続かないものが世の常。
4階についてしまった。
4階には女性向けブランドの店舗がいくつか入っている。
「最初はどの店にいきますか?」
「そうですね、うーん迷いますね…」
フロアマップとにらみ合いながら迷い続けている。
やはり、どこの店に行くか決めていなかったのか。先輩らしいな。
「まずはここに行くとします!」
そういってフロアの端にあるブランド店を指さしていた。
そのブランドはいまいち知名度がないがひそかに人気が高いブランドだった。
「わかりました。行くとしましょうか」
店に向かって少し歩く。
その間も手をつないでいたが、周りもカップルだらけで違和感も少なくないが二人とも顔が非常に赤くなっていて周りよりも少し目立っている。
少し歩くと店が見えてきた。
店の中に入ると先輩の目が餌を目の前に置かれた猫のようになっている。
「先輩、俺のことは気にせずに好きに選んできてもいいですよ」
「では、お言葉に甘えさせていただきますね」
そういって先輩は早歩きで店の中に入っていった。
俺はそれを見て店の前に設置されていたベンチに腰掛けながら先輩が店の中を物色するのを見る。
うん、なんか一人の女性店員が話しかける。
どうやら先輩とは知り合いらしく笑いながら話しているのが見える。
すると突然女性店員がこちらの方を指さしてなにか笑いながらいっている。
それを聞いた先輩は顔を赤くしながらしどろもどろになりながら受け答えしている。
しばらくしたら店員と一緒に服を選びだしている。
どうやら冬に着るアウターに関して悩んでいるようで二択には絞っているがその二択で非常に悩んでいるようで、また店員がこちらの方を指さしながらなにか言っている。
すると先輩はすこし店員に向かっていったあと、こちらに向かって歩いてくる。
俺の目の前に来ると二つの服を出してきて
「三谷くんはどっちの方が好みですか…?」
顔を赤くさせながら聞いてくる。
右はベージュのシンプルなアウターで左は黒のジルスチュアートアウターだった。
それぞれのアウターを着た先輩の姿を思い浮かべる。
どちらも捨てがたい。
「先輩、どちらも買うという選択肢はないんですか?」
「予算的に少し厳しいので…」
そっと値札をみる。
すーう、これはたしかに厳しいな。服とはいえ簡単に出せる額ではない。
さすがブランド物といったとこだ。
「うーん、うーん。そうですね。左の方があっていると思います」
俺はさんざん悩んだ結果、大人の雰囲気を漂わせている先輩にあっていると思いそっちの方を勧める。
「やはり三谷くんもそう思いますか」
すこし先輩が嬉しそうな顔をしている。どうやら正解だったようで先輩はレジに行くといって店の中に戻っていった。
そう離れていく先輩を見ていると先輩と入れ替わるように先ほど先輩と話していた店員がでてきた。
「どうも、先ほどは失礼しました」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」
「ほっ、ならよかったです。あ、すみません挨拶遅れました。智咲の友人の斎藤咲っていいます」
「そうでしたか。こちらも挨拶が遅れましたが岡里先輩の後輩の三谷と申します」
「ええ、智咲から先ほど聞きました。ところで三谷さん、すこしこちらにきていただけません?」
斎藤さんは若干怖い顔をしながらこちらを見てくる。
「でも、先輩が」
「智咲ならこっちで黙らせとくんで。とりあえずほら」
そういわれながら手を引っ張られながら店内の中に連れていかれる。
店内にはいると少し奥のアクセサリー売り場に連れていかれた。
「三谷さん、もう少しで智咲の誕生日なの知ってますよね?」
もちろん知っている。
ちょうどこんどのサークル活動の日なので活動のあとサークルのみんなで先輩の誕生日会を開くことになっている。
「もちろん知ってますよ」
「なら、誕生日プレゼントってもう選びましたか?」
「実はまだ、選べていなくて…」
「ならちょうどいい機会だ。この店でぜひ選んでいってくださいよ。三谷さんはプレゼントを選べてうれしい、私は店の売り上げとなってうれしい。一石二鳥じゃないですか」
たしかに、うん?たしかに、か?
でもまぁいい、ちょうどいい機会だろう。
「わかりました、ここで選んでいきます」
「わかりました。じゃ智咲にちょっと言い訳してくるのでここで少し待っててください」
そういわれ一人アクセサリー売り場に残された。
ここに連れていかれたということはアクセサリーをプレゼントしてやれということだよな…。
一つ適当にアクセサリーを手にとり値札を見て0の数を数える。一、十、百、千…。
うん、大学生が出せる金額じゃないな。
ほかの店に行くとはっきり伝えよう。
そう決意したときだった。
斎藤さんが売り場に戻ってきた。
「おっと、どこに行こうとしているんですか?」
「いやー、少しばかり値段が高かったもので…」
少し売り場の方を見てなにか察したようで
「あ、いま君がみたのはこの店で一番高いやつだからそりゃ高いのは当たり前だよ。というかお互いため口で話さない?敬語が苦手なの。」
あ、なんだそういうことだったのか。
「そうだったんですね。あ、敬語なしですね。わかりました」
「それで、どんなアクセサリーをプレゼントしようと思っているの?」
「そうですね、指輪とかは重いし僕の財布にとっても重いのでどうしようかと」
「そうだね…、ネックレスなんてどう?」
すこし考えたあと、提案してきた。
「いや、ネックレスも重くないですか」
「いや、私は大丈夫だと思うよ。ということでネックレスにしときな。で、ネックレスとなるとこのあたりかな」
若干というか思いっきりごり押しされながらネックレスを売っているコーナーに連れていかれる。
「さ、ここの中から好きなの選びな」
「そういわれても、すぐには決めれないですって」
どれをあげようかなやんでいると目に前の壁にに誕生石について書かれたボードが貼り付けられていた。
先輩は10月生まれだから誕生石は…
トルマリンか。誕生石を使ったネックレスを上げるのがいいかもしれないな。
トルマリンを使ったネックレスはと…。
トルマリンが使われたネックレスをみるとそのなかで一つ、目を引くものがあった。
ピンクのトルマリンが埋め込まれ、プラチナで囲われているものだった。
「お、これ気に入った?」
「ええ、まぁ」
裏の値札を見る。
そこにはゼロが四つと先端に8という数字が書かれていた。
これは、さすがに手が出せない値段だが貯金を使えばなんとかなる値段ではある。
そうやって迷っていると、
「もしかして、お財布事情的に厳しいとか?」
と聞いてきた。
「いえ、ギリ買える値段ではありますよ」
「だったら、思い切って買っちゃおうよ」
「え、でも…」
「そういわず、ほら」
うーん、もうこうなったら腹を決めるか。
「わかりました、買います!」
「よくいった!それでこそ男だ」
笑いながらそういわれレジまで誘導される。
レジでお会計中、斎藤さんは買ったネックレスをラッピングしていた。
「そういえば斎藤さんって先輩とどういうつながりなんですか?」
「ああ、智咲とはずっと同じ学校だったの。それで友達ってわけ。ちなみにいまは社会勉強中でここでバイトしてるの」
「そうだったんですか」
一人で納得していると
「ほら、包装し終わったよ。あとはこれを隠してと。よしこれでよし。それじゃいきな。
わたすときはしっかりと雰囲気を考えるんだぞ」
すこしからかいながら斎藤さんは送り出してくれた。
「わかりました。今日はありがとうございました」
返事をし、別れをつげ先輩のところへ向かう。
先輩はどうやらさっきまで俺が座っていたベンチに座って携帯でLINEをしているようだった。
「先輩、遅くなってしましすみません」
「いえ、大丈夫です。お目当てのものは買えましたか?」
そういえば斎藤さんになんて言い訳したのか聞くの忘れてた。
ここは無難に
「はい、無事買えましたよ」
すると少し先輩は顔を赤らめて
「それは、よかったですね」
斎藤さん、なんて言い訳したんですか…?
そっと後ろの店を振り返る。
そこにはてへぺろという顔をした斎藤さんがいた。
ほんとうにどういう言い訳したんですか!?
そんなもやもやを抱えながらも用事も終わったのでデパートをあとにし特に目的地もなかったので駅前広場に向かい再び歩く。
今回はさすがに手をつないではいない。
腕時計をみると長い針は5手前をさしていた。
「このあとどうしますか?」
「そうですね、すこしお茶でもと思っていたのですが、実はこのあと予定が入っていまして」
え、予定…。もしかして、その、いわゆるカレシとやらとだろうか…
「その予定とはなんですか…?」
「ああ、美優に呼ばれてまして。そこに行かなくてはいけないので」
ふーう。なんだ小谷先輩とか。
「そうだったんですね。わかりました。ではここらで解散としますか?」
「そうしましょうか」
「先輩、帰りはなんですか?」
「あ、わたしは車できたのでそれで帰ります」
「それだったら僕と一緒ですね。ちなみに駐車場は?」
「私はアオッサ近くの立体駐車場に」
「そうでしたか、僕は地下駐車場なんで逆の方向ですね」
「そうだったんですか。一緒に行けなくてざんねんです」
残念そうな表情を浮かべこちらを見てくる。
「そうですね。もし、もしよかったらこんどもまたいっしょに買い物行きませんか?」
先輩の表情が少しずつ明るくなっていく。失礼だけど、少し面白い。
「ええ、ぜひ行きましょう!」
約束したあと、ハピリン広場の前で別れの挨拶をし、車が止めてある駐車場の方向へ向かって歩いて行く。
少しニヤニヤした顔で駐車場に向かっているとLINEの通知がなった。
誰からかと思い確認するとそこには賢人の名前が表示され、
『今日の夜空いているか?空いていたら飲みにいくぞ。明日の講義は午後からだろ。だったら来れるよな?』と表示されていた
さー、このあとはどうなるのでしょうか?
さて下の続きを読んでご自分でご確認ください。