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記憶
暗くて、狭くて、痛くて、冷たい。
体育倉庫はとても静かだ。
身体中が冷えきっていて、扉を叩いていた拳からは血が滲んでいた。
クラスメイトを庇っただけで、標的が私に向くとは思っていなかった。
容赦なんてこれっぽっちもないのか。
「……寒いなぁ」
季節は秋。
夕方になると少しずつ冷え込んでくるから、私は自分の身体を抱き締めて暖をとることしかできなかった。
誰も助けてくれない。
誰も私がいないことに気づいてくれない。
誰も、誰も___。
私はそこまで影が薄かったのか。
ずっとぐるぐると色々な考えが回って、なんだかとても虚しくなる。
意識が遠のいていく。
ああ、私このまま……
そう思ったのを最後に、私は気を失った。