漫才『スマホ?』
二人「どうもー、宜しくお願いします」
ツッコミ「いやぁ、ちょっと聞いて下さいよ」
ボケ「どうした?」
ツッコミ「この前、ちょっとショックなことがありまして。不注意でスマホを水没させちゃったんですよ」
ボケ「え?……すまほ?」
ツッコミ「そうそう。それで、中のデータ全部消えちゃって」
ボケ「すまほ? データ? え?」
ツッコミ「連絡先とか全部パーで。バックアップも取ってなかったから、本当に大変で――」
ボケ「ちょっと待て、ちょっと待て! 一人で勝手に話進めんなって!」
ツッコミ「お、おう、すまん! あまりのショックでつい強引に先走り過ぎたわ」
ボケ「まぁ、分かってくれればいいよ。――それよりさっきのお前の話、1個聞いてもいいか?」
ツッコミ「おう、いいぞ。何でも聞いてくれ」
ボケ「大したことじゃないんだが……"すまほ"って何?」
ツッコミ「……え?」
ボケ「いや、だから"すまほ"って何のこと?」
ツッコミ「……あ、もしかして聞き間違えかな? "ス""マ""ホ"!OK?」
ボケ「OK、OK! 大丈夫。聞き間違いじゃなかったわ。……で、すまほって何?」
ツッコミ「お前マジかよ!!」
ツッコミ「いやいや、スマホだよ!? スマホって言ったらスマホに決まってるだろ!」
ボケ「いや、だから、さっきからその"すまほ"が何かって聞いてんだよ」
ツッコミ「す、ま、ほ! 正式名称、スマートフォン!」
ボケ「"すまーと、ふぉん"?」
ツッコミ「(自分のスマホを取り出し見せつけながら)ほら、これだよ、これ!」
ボケ「(見せられたスマホを凝視し)黒い、板……?」
ツッコミ「ふっざけんなよ! 何で今時スマホ知らねぇんだよ! お前だけ今までずっと鎖国でもしてたの!?」
ボケ「いや、そんなこと言われたって知らんものは知らんし」
ツッコミ「この国のアンダー60歳でスマホ知らん奴なんて最早絶滅危惧種だぞ!?」
ボケ「マジで? 絶滅危惧種ってちょっとカッコいいな。俺、シロクマ先輩とかヤンバルクイナ先輩に挨拶行っといた方がいいかな?」
ツッコミ「いや、ただの例えだから! 勝手に絶滅危惧種になった気になって、絶滅危惧種指定されてる動物達のこと先輩扱いしなくていいから!」
ボケ「まぁ、いいや。それよりその"すまーとふぉん"ってやつ、早く教えてくれよ」
ツッコミ「まさか日本人の同世代にスマホの説明する日が来るとはな。――まぁ、簡単に言うと、いろんな機能が付いた携帯電話だ」
ボケ「……え? けいたい、でんわ?」
ツッコミ「……嘘だろ、お前? まさか携帯電話も知らないとか言わないよな!?」
ボケ「その、まさかだ」
ツッコミ「ジーザスッ!! お前、実は30年くらい前からタイムスリップしてるだろ!」
ボケ「おいおい。タイムスリップなんて漫画とかの世界の話だぞ? それをいい歳して実在するとか、正気か?」
ツッコミ「正気か疑いたいのはこっちだよ! この国、この時代に生きてて携帯電話知らないとか、正気かよ!?」
ボケ「うるせぇな。モシャモシャ言ってねぇでさっさと携帯電話とやらを説明しろよ」
ツッコミ「ごちゃごちゃな! 俺、咀嚼しながら漫才してねぇから!――ったく、携帯の説明か。まぁ、文字通り、携帯できる電話のこと――いや、ちょっと待て! お前、まさかとは思うが電話も知らないなんてことは――」
ボケ「電話くらい知ってるわ! ぶん殴るぞ、このウスノロが!」
ツッコミ「ねぇ、俺もう帰っていい? キレるポイントもお前の知識の水準もマジで理解不能なんですけど。――まぁ、いいや。とりあえず電話は分かるのね?」
ボケ「当然だ」
ツッコミ「じゃあ、携帯電話が持ち運び可能な電話ってところまではいいな?」
ボケ「ちょっと待て」
ツッコミ「まだ何かあんのかよ! そろそろ勘弁してくれない?」
ボケ「電話を持ち運ぶのは良いんだが、コンセントはどこに差して使うんだ?」
ツッコミ「いや、実はコンセントいらないんだよ」
ボケ「マジで!?」
ツッコミ「ああ。技術の進歩でコードレ――いや、ダメか。電話のコードは必要なく――」
ボケ「もしかしてコードレス化してるのか?」
ツッコミ「何でコードレスは分かるんだよ! お前の知識の幅イビツ過ぎだろ!――まぁいい。とにかく携帯電話ってのは持ち運べるようにコードレス化した小さな電話! それでスマートフォンってのはいろんな機能が付いた携帯電話! オーケー!?」
ボケ「OKOK。それでいろんな機能ってのは具体的にどんな機能なんだ?」
ツッコミ「うーん、まぁ勿論電話もできるし、他にはメールとかインターネットとか――」
ボケ「めーる……? いんたーねっと……?」
ツッコミ「あ」
ボケ「なぁ、その"めーる"と"いんたーねっと"って何? 教えてくれない?」
ツッコミ「もう勘弁してくれ~」
できれば感想等いただければ幸いです。