夢に破れたおっさんは仲間も恋人も失い自分の世界に閉じ籠るけど故郷で弟子をとってスローライフ満喫しながら英雄になる!
設定はテンプレ異世界ものです。
~軽い設定~
冒険者ランクは星で表しています。
星は0~5まであり、5は人外、4は天才、3は秀才と言う認識を登場人物たちはもっています。
町には3が、大規模都市には4が、5は世界にちらほら見られる程度の人数が活動しています。
星3が主に冒険者たちのトップとしてギルドで振る舞っています。
作中で行われる【新人潰し】は、飲食店で例えるとエリアマネージャーにアルバイトがにらまれてしまったのをイメージしてください。
獣は動物、魔物は魔力を持つ人にとって有害であると一般的に認識されている生物のことを指します。
ここからは余談ですが、魔術師は稀有です。
魔法は、魔力の扱い方を覚えることで魔力量に応じてイメージを実現させれます。
この世界での魔法には理論的には不可能はありませんが、現代兵器のない人々がイメージしやすい風、土、光を利用した物がメジャーで、火などは戦闘に用いられることはあまりありません。
焼き討ちなどには使われますが、まだまだ大砲などもなく、火薬が知られ始めたばかりであり、仮に爆弾を知っていても風による衝撃波によって再現し使われることでしょう。
勇者は人外である星5冒険者から見ても人外と言わせる、人間の突然変異。
その強力な力ゆえの存在力により魔物の発生、接近を促してしまう。
冒頭の書き出しの構成をパクってます。
冒頭の雰囲気が別作品に酷似していると思わせてしまうかもしれません。
ですが、基本は作者が思いのままに執筆させていただきました。
よろしければあとがきも読んでください。
作者の力不足で伝えきれなかったところをあとがきにまとめました。
冒険者と言う職業がある。
町のお使いから商人の護衛、果てはまだ見ぬ秘境の地で伝説のドラゴンと戦う。過去に何があろうと誰でもなれ、一攫千金を夢見ることのできる最高の職業だと俺は思っていた。
そう、俺もその冒険者の一人。
冒険者でも中堅どころといわれる星3つ持ちになって10年のベテランだ。
今日もまた己の身の程をわきまえないガキンチョがションベン漏らして恥をかかないように前もって俺が拳を振るう。
「おーら…ラストォ!!」
ボゴオッ!!
真っ昼間にもかかわらずうすぐらい路地裏で、顔をボコボコに腫らした青年が吹っ飛ぶ。
それを少女と言える程幼くみえる女の子が目尻に涙を蓄えて慌てて抱き抱える。
「ふぅ~、これに懲りたら2度と冒険者になろうなんざ僕んじゃねえぞ」
そう言い残して、俺はここ3年組んでいる斥候と魔術師、2人の仲間を連れて塵っぽい路地裏から大通りへと出ていく。
「さっきぶっ飛ばしてやったあいつの顔みたかよおまえら。
冒険者になろうって奴がなんて間抜けな面さらしてんだってもんだぜ、がっはっはっはっはっ。」
「「……」」
いつもの愉快なバカ話で盛り上がろうと男は話し出すが仲間の二人の反応は芳しくない。
いつも大盛り上がりすると言うわけではないが、粗なまで露骨に顔を背けられるとせっかくの男の愉快な気持ちも覚めてしまう。
「チッ!」
だがそんなことでいちいち腹をたててもいられない。
気分転換にと仲間二人を引き連れて行きつけの酒屋のいつものテーブルにドカドカと音を立てて男は座る。
店の方もなれたもの、荒くれ者の冒険者が行きつけにする店だ、何も注文せずとも勝手にいつもの料理と酒が運ばれてくる。
「ああ、すまない、俺の分は大丈夫だ。」
「!!」
「あ、私のも結構だ。下げてくれ。」
「??」
男はこれから乾杯していつものドンチャン騒ぎを始めるつもりだったところに水をさされて怒鳴り付けてやろうとしたのだが、間髪いれずもう一人も酒を下げさせたので怒りより疑念が大きくなった。
「急で悪いが、俺はこのパーティーを抜けさせて貰う。」
「私もだ。」
話の内容を短くまとめると、引き抜き、だ。
それ自体は冒険者には良くあることだが、この3人で組んでから3人とも何度も引き抜きはあったが、3人とも今のパーティーから抜けようとはしなかった。
最初はたまたま組んだ3人だったが、それからも何度か3人で組むことがあり、結局3人でパーティーを組むことになり、それぞれ絆のようなものがあった。
誰もそれを口にしなかったし、男は口にしてしまえばまた別の何かに変わってしまうように思っていた。
だから男は抜けると言う2人を引き留めるようなことはしなかった。
2人はそのまますぐに店を出ていき、残された男は1人で飲んだくれていた。
沈んだ気分がそれ以上落ち込まないように、酒で体を軽くしようとでも言うのか、いつもの2倍3倍とどんどん飲んでいく。
しかし当然男の体は軽くなるどころかどんどん重みをまし、気分も沈んでいく。
「こんなところであんたみたいな良い男を1人で飲ませるわけにはいかないねぇ。
どうだい、一杯付き合うよ」
10年たっても未だに自分の心をつかんで話さない甘い声音で懐かしい言葉を口にするのは、男の恋人である花屋の女だ。
「聞いたよ、振られたんだって?」
「……」
「だんまりかい?」
どこで話を聞いてきたのか。
いくら自分の愛する女だとしても、今は1人にして欲しかった。
男は30を目前にした自分が仲間に振られて傷ついているところを知人には見せたくなかった。
「……」
「ふんっ、まあいいさ。私も今日はあんたとけじめをつけに来たのさ。ちょうど良い機会だ。まだ身体が動く内に田舎にでも帰って畑でも耕しな。」
「……っああん?いったいぜんたいどういこった!?」
「身請けして貰ったのさ。
まあ、あんたとちちくりあうのはそれはそれで楽しかったけど、私も女だからね。
いい加減身を固めようと思っててね。
そこに良い話があったから乗ったんだよ。
あんたも今はまだ何とかやれてたみたいだけどね、あいつらにおいてかれて今からどうするんだよ。
今までと同じ依頼は受けられないだろうし、今からあんたをいれてくれるような奴らはこの町にはいないよ。」
「くそっ、くそぉぉ!!!」
ドンッ!
その話の続きを聞きたくなくて、男は体当たりするように店から飛び出した。
男は花屋の女を愛していた。生涯を共にするのはこの女しかいないと思った。
しかし花屋の女はそうは思っていなかったのだ。
自分の思いは独りよがりなもので、相手のことが何もみえていなかったのだ。
だが何より男は許せなかった。
愛している女に自分を捨てないでくれ、俺と一緒になってくれと伝えられない自分に。
仲間たちを止めれるだけ自分に自身を持てないことに。
夢を諦めてしまった自分に。
男は全てを失った。
いや、最初から男は何も持っていなかったのかもしれない。
自分をさらけ出さなかった男とその周りのモノたちとの間に本物の繋がりがあったのか、それは男にはわからなかった。
次の日の朝、男は町を出て行くことにした。
町の端にある町を囲む城壁から外への出入り口である門に向かう男は挙動不審であった。
男の目には、今迄は写らなかった粗暴な自分へ厄介者をみるような目線を向ける町人たちであった。
はやく、一刻もはやく町から出たい男は小走りで門へと向かう。
門から外へ出る者たちの列に並んでるとき、不意に昨日自分がボコボコにした青年と少女が仲良く依頼を受けに出ていくのが目にはいった。
虚構を真実だと思い、どっぷり使って生きていた自分に比べて彼らの輝かしい未来を思うとあまりにも自分が惨めで列の真ん中で膝をついてしまう。
怪訝に、気色悪そうに自分を見る周りの町人たちに男は昨日の食事をぶちまけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわーー
男が居た町は国の外れにあり、更に外れに俺の生まれた村がある。
更にその先には森がある。この森には魔物は滅多に現れず、代わりに多種多様な獣が生存競争を繰り広げている。
そのため特に危険はなく、非常に退屈な村であった。
しかし特に生活に困窮することもない事から、村から出ていくことは貴重な労働力を失うことであるため、よい顔をされるはずはなく、男も例外ではなかった。
「よう、行商人のあんちゃんかと思ったらおめえさんか。
久しぶりだな。
聞いてるぜ、お前の町での活躍はな。まあ入れや。」
男が村へ近づくと、見張り台の上から若い男の声が聞こえてきた。
見張りの彼はいわゆる男にとって竹馬の友であり、さの言葉からわかる通り男に対してよい感情は持ち合わせているようではなかった。
見張りの彼に連れられて入り口から一番奥に見える周りより1回り大きい村長の家に向かうようだ。
村長宅に向かう道すがら、見知った顔に挨拶を貰うが、誰もよい顔はしていなかった。
「ずいぶん久しいな。
元気にしておったか?まあ元気であったろうな。
自分よりも一回りも二回りも若い者と取っ組み合っておったようじゃからな。」
「……」
新人の冒険者をいたぶるのは彼の日課であった。
作物についた害虫を駆除するように、自分の依頼の合間合間に冒険者ギルドに入りびたり、新人を見るけると呼び出し殴り、依頼を横取りし、ついた二つ名が「新人潰し」。
それで割りを食ったのは男の故郷のこの村であった。
田舎の村は閉鎖的ではあるが、ギルドは町にしかなく、川や溜池、作物の育ち具合などの情報は常にやり取りを行っている。
そういう付き合いにおいて、その村の評判は大事な要素の1つであり、男の行動で村の評判はすこぶる悪くなってしまっていた。
「ふんっ。
それで、村から出ていったお前さんが今更何のようじゃ?
まさか村に戻ってきた、などとは抜かさぬわな。」
「……」
「お前さんにやるような畑はないぞ。
どうしてもと言うのなら、冒険者としての腕を使って、狩人でもやって貰おうかの?そらても良いのならおいてやってもよいぞ」
「…はい、狩人としてこの村においてください」
この世界において狩人の仕事は、魔物の監視・把握、獣の間引きに自然の管理である。
人類敵たる魔物は未だに度のようにして生まれるのか、詳しくは把握されていないが、主に人の目のつかない森の中などで発生すると言われている。
その発生頻度や傾向、そしてその間引きは人が安全を確保するのに当たっての最低条件である。
これが町などであれば、ギルド所属の冒険者や兵士が行うが、村などでは狩人の仕事である。
これに加え、獣の間引きに自然環境の管理である。
男の故郷の村に隣接する森は魔物の出現頻度はほぼ皆無であり、時たまはぐれゴブリンが居るだけで、狩人としての仕事は主に獣のまびきである。
狩人は魔物の間引きを行うことから、尊敬される職業であるが、その村では獣の命を奪う事が主な役割であるため、忌み嫌われている。
誰もやりたがらない狩人だからこそ、村長は男にそれを押し付けたのである。
そんなことは男も承知であり、中堅冒険者としてならしてきた男にとっては屈辱ではあったが、半月もたつ頃には狩人の職を気に入っていた。
町での素行からよく思われていない男は村に居場所はない。
しかし狩りを行っているとき、そこにあるのは食うか食われるかしかなく、非常にシンプルでなにも悩むことはない。
さらに貴重な肉を手にいれてくる男は、村として必要なさ存在であった。
その事実が甘い虚構を失った男に新たに自身をつけさせつつあった。
その月の終わり、狩りがいつも以上に上手くいきいつもより大分はやいが狩りを切り上げて帰ってくると、自分の家の前で母娘が抱き合いながら「ごめんね」と泣いていた。
男の家は村外れにあり、獣の肉のやり取りも主に自分が出向いて作物などと交換して貰っている。
そんな男の家に村人が来ており、更には別れを惜しむように抱きしめあっているなどは流石の男も草影にかくれて様子をうかがってしまった。
その後、娘たちが自分の家に入っていくのを確認して、さらにしばらく時間をおいて男は自分の家に向かった。
「おう、帰ってきたか。
お前が帰ってきてから1月様子をうかがっておったが、真面目に狩人として働いておる。
お前ももう良い年だ。
この娘と家を持て。」
村人の結婚などの間を持つことは村長の仕事であり、別の村等から嫁や婿を貰ってくることもまた村長の仕事である。
そうして血が濃くならないように調節するのもまた村長の仕事であった。
そうして連れてこられた目の前の娘は笑顔を浮かべ、男の家ノ前での先程のやり取りを感じさせぬ態度であったが、それをみていた男には化粧では隠しきれぬ泣き後がひどく目についた。
男も男である。
猛る情動を自分で慰めることもあるため、嫁を貰えるのはう喜ばしいことであるが、少しの自負を得た男はそれを丁寧に断った。
「村長、俺は変わったんだ。
今はあんたに嫁を紹介して貰えるほど信じて貰えたってことが嬉しいんだ。
それに満足もしているんだ。
俺は迷惑をかけてばかりだった。
だからもう村から出ていこうだなんて思わないよ。」
男は優秀であった。
ギルドで中堅どころ、星3つの冒険者にのしあがった実力は確かであった。
男は、『村長はせっかくの狩人を失いたくないから、女を用意して俺をとどまらせようとしていたんだ』と、そう考えていたのだ。
すると次の日、また村長が男の家を訪れていた。
今度はみすぼらしい格好をした子供を連れて来ており、その子供を狩人の弟子としてほしいとの事であった。
『なるほど、今度は狩人の仕事を継げる奴を作ろうってことか。
ボロボロの格好といい、狩人なんて言うこの村じゃ誰もやりたがらねえ仕事を孤児の子供に押し付けるのか。』
男は、こんな自分でも孤児一人くらいなら1人前に育て上げ、幸せにしてやれるだろうか、不安に思いながらも村長の頼みを引き受けた。
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今まで誰かに教わることはあったが、何かを教えることなどしたことの無かった男には弟子を育てることがすんなりいくはずもなかった。
しかし不器用な男が考え悩み、試行錯誤を繰り返していることは弟子にと連れてこられた子供には伝わっていた。
対して男の持つ知識は森の歩き方から獣や魔物の習性、食べれる野草の見分け方、礼儀作法など、多岐にわたったがそのどれも連れてこられた子供は飽きもせず学ぼうとする姿勢に、男もまた気をよくしていたのも事実である。
2人の間に親しげな会話どころか言葉を発することもほとんど無かったが、確かにこの2人は師弟であった。
「しかし今日は良い天気だな。」
今の男の仕事は主に村を囲う柵の点検と補修、そして村周辺の見張りである。
見張りは村の男たちで代わり番個に行っていたが、今は主に男の仕事だ。
そして狩人の仕事は弟子が行っていた。
1年前に弟子はもう1人で狩りに行くのに十分な技量を持つと認め、かつての不摂生の為身体が言うことを聞かなくなってきた自分は引退し、もっぱらの狩人の仕事は弟子に任せるようになった。
かつての男はこんな退屈な1日が嫌でいやで仕方がなかった。
今男が立っているその場所こそ、男が唾棄すべき未来と吐き捨てた場所であった。
しかし今の男はそんな場所を愛おしく思っていた。
決して打ち解けたわけではない。許されたわけではない。
しかし必要とされ、師弟として敬われる今を男は宝だと思っている。
そんなとき、遠目に森の中から弟子が帰ってくる姿が見えた。
「うん?流石にこんなはやくに獲物が取れたのか?」
狩りはおおよそ昼と夕方の間くらいに終わらせて帰ってくる。
しかし今はまだ昼前であり、狩りが終わるには流石に早すぎた。
今年は獣が大繁殖をして、森からあふれでんばかりに増えており、前にも何度かこのようなことはあった。
しかし今回はそうではないようである。
見張り台へと向かってくる弟子の様子がおかしく、なにより獲物を持っていなかったのである。
「先生、大変です!!」
不安は悪い方で的中していた。
息を切らして帰ってきた弟子によるとかなりの数のゴブリンが森にいて、少しずつ村に向かってきているようだ。
男は今までこの森に大規模な魔物の発生があったなんて話は聞いたことがなく、その可能性を否定し、急な獣の増加をも大繁殖でも起きたのだろうと決めつけてしまっていたが、それはゴブリンの大量発生により、生存領域を圧迫されて押し出されていたのであった。
例年と違うことが起きたときに男が自ら弟子には立ち入らないようにと年を押した奥地に確認に向かうべきであったが、この5年の月日がと魔物の発生の可能性を除外した男は、それをおこたっていたのであった。
町と森の間にある村八分全部で4つあり、そのなかで森の中ほどまで入っていくのは男と弟子だけであり、ゴブリンの存在を確認できたのはその二人だけであった。
「ついてこい、今すぐ村長のところへいく。」
今や村の外縁と見張り台におり、獣の物々交換も弟子に任せていた男が村の中にいるのが珍しく村人たちが男を見やるが、男は気にもせず村長宅へ弟子を引き連れ向かっていった。
「魔物、おそらく多数のゴブリンが発生していると思う。多分このままじゃ村は飲み込まれると思う。今すぐ町に避難すべきだと思う…。」
久しぶりの会話のせいなのか尻窄みに声が小さくなっていくが、村長には聞こえていたらしい。
「おまえとその子でどうにかできないのか?」
魔物と言ってもゴブリンは人間の劣化と言えるほどで、たいした危険度ではない。
小さいゴブリンの集落なら星2つの冒険者が対応に向かう。つまりゴブリンは対して強くないのである。
「わからない。
実際に俺は確認できていないから、どの程度の規模かわからない。
だが、ここ最近森の獣の数が急激に増えていた。
俺たちは大繁殖でも起きたのかと思っていたんだが、本当の原因はゴブリンに押されて奥から浅瀬に押し出されたんだと思う。
もしかすると、この森の奥はゴブリンに埋め尽くされているのかもしれない…。
あくまで可能性の話だが……。」
獣は決して弱いわけではない。
獣も生きるために必死であり、油断すれば一流の狩人も殺されてしまう。
それ故狩人や冒険者は獣の性質や特徴を細かく調べ、有利に立ち続けて獣や魔物を仕留めるのである。
ゴブリン程度に生存圏を脅かされることはまず無い。ではどういう場合なら、ゴブリンに生存圏を脅かされるのか。その数に押し潰されたときである。
その後すぐに村から町へ避難することが村長から伝えられた。
村に老人は存在しない。
大人は抱えられるだけ家財を持ち、子供は大人と手を繋ぎ急いで村を出ることになった。
弟子には他の3つの村へ男の村が避難したことを伝えに向かった。
たった1時間ほどでずいぶん静かになったと、見張り台に立つ男は呟く。
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あとがーき
・村に老人は存在しない。
どうして老人が村に居なかったのでしょうか。寿命と言うこともありますが、村長は除くとして、働き手になれず介護を行う働き手と食料を消費する上、子供と違い将来性もない。皆さんは姨捨山をご存じでしょうか?
・男:うだつの上がらない中年中堅冒険者。
役割は遊撃(何でも屋)。
かつて英雄に憧れ、退屈な村から飛び出し冒険者となった。
その後順調に星を獲得し期待の新星だったが、星3昇格の依頼でゴブリン討伐に向かうが、依頼量を安くするためにゴブリンの数が少なく記載されていたことで当時のパーティーが壊滅するし、依頼を出した村も大きな被害を受けた。
そのことで助けた村人たちから理不尽な非難を受けギルドも庇ってくれなく、村の復興のための賠償金を要求、強制され仲間の遺品を売る。
その後、臨時の仲間を募り依頼を受けるが寄せ集めのため依頼を思うようにこなせないことが続き次第に素行が荒る。
しかし能力自体は高いため無事に星3へ昇る。
「人のために」などの昔の自分が抱いていたがすでに失った思いを見聞きすると、かの依頼のことを思いだしてしまうため、八つ当たりに相手を殴るようになる。
2人の仲間と花屋の女に捨てられてとうとう精神を病んでしまい、人から受ける全てに悪意を感じるようになる。
町から出ていく時も、町人はふらついてる男を心配して見ていただけであった。
弟子のことも見れておらず、男のなかでは未だにみすぼらしいかっこのままなので姿かたちの描写は出てこない。
足の早いゴブリンから村人が逃げる時間を稼ぐために村に残り戦死する。
ゴブリンと戦っている最中に自分は人の役に立ちたかった、人から誉められたかったんだと気づき、最後は自分を囮にゴブリンを村に閉じ込め、火をつけて大半を駆逐する。
しかし男はゴブリンと戦うことを1人で決め、1人で戦いました。
村人たちはとっくに逃げきれていました。
もし男がしっかり話し合えていれば村を燃やすことも、命を失うこともせずにすんだかもしれません。
男は村に来てから人との関わりをあえて断ったものの、村人のために柵の修理などをしていました。
英雄を目指し、人のために立ち上がりたかった男。
しかし1人の世界に閉じ籠った男は確かにゴブリンから村人を救う英雄だったかもしれないが、避難についてこずに留守中の村を焼き払った男は人の役に立ったのだろうか。
果たして本当にあのとき受けた非難の声は理不尽なものだったのだろうか。
なぜ冒険者互助会のギルドは男をかばってくれなかったのだろうか。
男がかつて思い描いた英雄は、落ちぶれたとしても八つ当たりで弱者に暴力を振るうような人間ではなかったのに。
・2人の仲間:一流の斥候と、一流の魔術師。
ゴブリンの事件以前から親交があり、事件後に男を含めて3人でパーティーを組んだ。
パーティ結成の理由は男が落ちていくのを見てられ無かったから。
男の気をそらしたり、殴られた新人たちに謝りに行ったりと影で男をかばう行動をしていたが、それは甘やかしていると思い縁を切る。
男に更正して欲しかったのだろうか、それとも見きりをつけたのだろうか。
2人は星4冒険者になる。
・花屋の女:花屋の女から生まれ、そのまま自分も花屋になった。
町に来たばかりの男に酒場で
「こんなところであんたみたいな良い女を1人で飲ませるわけにはいかないねぇ。どうだい、一杯付き合うよ」
と声をかけられ、搾り取るつもりで縁を持つ。
しかし男の若く、人を疑わず、屈託のない笑顔で夢を語る姿に惚れてしまう。
合う度にナンパしたときの台詞で男をからかうのがいつもの二人の挨拶。
しかしその後男は変わり、荒んでいく。
そんなおりに客から病気を貰い、2人の仲間から男のためにと話を持ちかけられ、男と縁を切ることにする。
その後も生き続けていたが、男が故郷で死んでからしばらくして亡くなる。
そのキャラクターは都会で擦りきれた上京して5年たった村娘。
酸いも甘いも味わってきた姉御さんタイプ。
生まれも運の巡りも悪かった。
・見張り台の彼:男のことを密かに応援していた。
しかし聞こえてくる噂は良くないものばかりで、更には帰ってき男の姿は酷いもので、ガッカリしつつ心配もしている。
弟子と村長と町の冒険者と共に村に戻り、そこで轟々と燃え盛る村と満足そうな顔をして死んでいる男を見つけ涙する。
・村長:孤児だった主人公の育ての親。
とても可愛がっていたつもり。
町危ないよ、わしのあとを継ぐんじゃ。
おうおう、よう帰ってきた、もうなんも心配せんでええ。
しばらくは冒険者っぽい狩人でもして落ちつきんしゃい。
ええ娘見つけてきたお!子供育てて見たらどうじゃ?
よう報告してくれたのぉ!
……わしはどうすればよかったんじゃ。
・弟子:実は女の子。
最初のゴブリン事件で助けられた幼女。
少女になってから助けてくれた男を探して町→ギルド→花屋とたらい回しにされ、花屋の女に故郷に帰ったと教えて貰う。
孤児になり村にも居ずらく、助けてくれた男に冒険者の手ほどきを受けようと歩き回った。
思い込みが強く、物事はポジティブにとらえるタイプで、潜在能力が高いため自己完結した世界でも力業で生き抜ける。
わざわざかく必要はないけど、この子は勇者という設定を考えていました。
ゴブリンが大量発生はこの子が引き寄せている~的な裏設定があります。
男の死を嘆き悲しみ、駆逐してやる!!なんて言ってさんざん暴れまわることになる彼女ですが、勇者として魔物を呼び寄せそれを解決するという完全なマッチポンプで活躍する。
そんなこととは露知らず、こいつといたら退屈しねえなんて言って人が集まり、祭り上げられる~なんてことを考えながら書いていました。
そのマッチポンプの被害者の普通の人間が独自に調査してその事を明らかにしていって脳筋規格外勇者vs策を弄する凡人&マッチポンプに気づいた勇者の仲間が繰り広げられ、最後は被害者の普通の人間がドーピングで命を削りながら殴り合い、相討ちになり平和が訪れる~とかも妄想してました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
最後まで読んでいただいたらお分かりかと思いますが、この作品は作者の力不足により最後までかききることができませんでした。
それから逃げるために最後に作者が書ききれなかったものを人物紹介と言う隠れ蓑を使いました。
書き始めのコンセプトは【私の考える世界観最強の作品!】でした。
作者の思うエモをこれでもかと詰め込むつもりでしたがご覧の通りなんとも中途半端な結末となってしまいました。
今回の反省を次に生かし、作者の考える最強の作品を書いて行こうと思っていますので、もしお見かけしましたら、どうぞよしなに。