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 この秘薬、当然、作った当時に効果は実験済みだ。

 夕飯用にと買ってきた魚で試したが、無事に生き返った。副作用のようなものもみられない。今も、家にある水槽の中で優雅に水中を泳いでいることだろう。魚の寿命からして、あと一年も生きないと思うが。


 鑑定能力のある万道具で調べてみても、『どんな生き物でも、どんな状況でも、必ず生き返らせることができる秘薬』という鑑定結果が出ている。

 流石に人間に使って実験はしていないが、『人間にも使用可』という鑑定結果が出ているのだから問題はないだろう。ちゃんと信用できる万道具を使っての鑑定だ。実際に、新薬を売り出す前に鑑定するための万道具でわざわざ調べた。


「な、なんてことないように出してきたけれど、え、これ、ええ?」


 状況が読み込めていないのか、姫鶴はよくわからない声ばかり上げていた。


「『シロネ測』を使って調べたので、安全性はバッチリですよ」


「うわ、ガチじゃない」


 『シロネ測』とは、新薬を売り出す前に鑑定する万道具の名前である。


「と、とりあえず、ありがとう……? 紫司馬救済ルートは確かに見たかったけれど、でも、それはゲームの話なのよ。赤希からの派生ルートだから、青慈を裏切ってまでは、ちょっと……」


「……そう言えば、そんなこと言ってましたね」


 姫鶴が紫司馬救済ルートを見たいって言っていたことは覚えていたのに、青慈とは別キャラからのルート派生だというのはすっかり忘れていた。いいプレゼントになると思っていたのに……。


「――……でも、もう、ゲームと同じように進行していないし、青慈と恋人のまま、彼も救えるかもしれないわね」


 ちゃぷ、と小瓶の中身を揺らしながら、姫鶴は言う。


「ゲームの中だったら、紫司馬は赤希ルートにしか出ないはずだし」


「……なるほど?」


 そう言われてしまうと、確かに彼は堂々と姫鶴の周りにいたし、彼女からしたら、ゲームとは違う、という判断材料になるのかも。わたしからしたら、赤希が明らかに姫鶴へ好意を寄せているようだから、赤希ルートに片足つっこんでるんじゃないの、思うが。


「ま、私の死亡エンド回避が確定ってわけじゃないしね。原作と違う、って言ったって、一応はまだ作中と同じ時間だし。無事に終わるまで、お守り代わりに持っておくわ。ありがとう」


 そう言って、彼女はポケットに小瓶を仕舞った。ちなみに、小瓶も特別性なので、ちょっとやそっとのことでは割れる心配はない。こんな薬、普通の小瓶には入れられないって……。

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