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「――あ」


 透くんを探し始めて数十分。人ごみの中に見知った顔を見つけてわたしは思わず声を上げた。


「――? ……ああ、君」


 人混みの中ではかき消されてしまうような声だと思ったけれど、意外にもわたしの声は彼――青慈に届いたらしい。


「何か用?」


 そう言われて、わたしは思わず言葉に詰まった。

 わたし自身は彼と一切面識がない。姫鶴と一緒にいるところは見かけているし、顔見知り程度ではあるのだが、他の攻略キャラと違って、会話をしたことがほとんどない。しかもなんか、少しとっつきにくそうな雰囲気があるし。


 わたしからの彼も、彼からのわたしも、姫鶴の知人である、と言うことしか分からない。直接的な関りがなくて、姫鶴を経由しての関係しかないのだ。

 姫鶴って、前世からの青慈ガチ恋勢なんだよね……? この男のどこがいいんだろうか。いや、確かに、攻略キャラなだけあって、顔はいいんだけど。


 でも、威圧的な雰囲気はあまり良くない。これなら、話しかけやすそうな透くんのがずっといいと思う。

 ……いや、なんで今、透くんが引き合いにでたの?


 自分でも分からず混乱していると――。


「用がないなら話しかけるな」


 ――バッサリ言われてしまった。キッツ!


 いや、黙っているわたしが悪いには悪いんだけど、そもそも声が出てしまっただけで、別に意図して彼に話しかけたわけではない。

 もうちょっと言い方を考えて欲しかったな、と思うと、目線をずらして数度あごを撫で、何かを考える素振りを見せた青慈が「いや、違うな……」と小さく呟いた。


「姫鶴に勘違いしてほしくないから、用もないのに女と話しているところを見られたくないんだ、というのが正しいのか? 別に君を煽るつもりも、面倒だと思って急かしたつもりもない」


 そう、青慈は弁解してきた。

 ……姫鶴から、考えていることを口にしろ、とでも言われたのかな。口下手で勘違いされやすい、と情報を知っているわたしからしたら、同じくその情報を持っている姫鶴に何か言われたのだろうな、と勘ぐってしまう。


「あー、えっと……人を探していて」


 この感じだと、知らん、と一刀両断されることはないのかな、と判断してわたしは透くんを知らないか尋ねる。

 透くんのこと自体はピンと来たようだ。姫鶴たちと店に来たときも、わたしと姫鶴が薄暮の森で迷子になって騒動になったときも透くんがいたから、わたしの傍にいた男性、ということで、なんとなくでもその存在は認知していたらしい。


 ――が。


「すまない、顔までは覚えていない。……迷子案内所までなら案内できるが」


 そう言われてしまった。

 ……もう、一時間近く探しているしなあ。放送してもらうかどうかは別として、一度迷子案内所、行くべきか……。

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