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 このまま姫鶴の傍にいると、あれこれ口を出されそうで嫌なので、わたしはさくさく小金焼を食べ進めて、次へ向かうことにする。今日は万道具の展示や研究発表を目的に来たんだから!

 わたしは姫鶴のいた屋台から少し離れた、人の往来がない空いているスペースで入口で貰ったパンフレットを開き、マップを確認する。


 黎明学園はかなり規模の大きい学園だ。わたしは別の学校だったけれど、一般の学校も併設されている。前世で言う、小学校と中学校が合わさって、七年制の学校だ。


 この世界――というか、この国にも義務教育という概念はあって、七歳になると必ずどこかの学校に通い、そこから最低七年は勉学に励む。そこから先、より専門的な学問を学ぶための四年制の学校に通うかどうかは自由、という勉強カリキュラムになっている。自分の将来つきたい分野の学校に行くのもよし、就職するもよし、家を継ぐために修行するもよし。流石にこの年で結婚する人はいないが、家系の事情で既に婚約者がいる子は、相手が専門学の学校を卒業するのに合わせて花嫁修業、花婿修行をすることもあるそうだ。


 専門的な学校の中で、万道具という分野の中で、国の中でも有数な学校が、この黎明学園なのだ。


 わたしは、昔に祖父が通っていた学校に半ば強制的に通わされたけれど、黎明学園の併設校、ということもあって、一般学の学校の方も、今日は研究発表があるらしい。

 専門的に学んでいる黎明学園のものとは比べたら可哀想かもしれないが、アイディア自体は意外とこっちのほうが新鮮で、刺激になることもあるんだよね。

 こう、知識が少ないからこそ、できないということを知らずに自由な発想ができるのだ。知識があると、これは無理だな、って無意識に諦めてしまうことがあるのだ。


 是非こっちも見に行きたいな、と思いながらマップを見ていて――ふと、思ったことをなんの気なしに口にする。


「そう言えば、透くんって、前はどこの学校通ってたの?」


「――え?」


 確か、彼がこっちに来たのは八歳くらいのときのはず。馬鹿みたいな大怪我をした、らしい事故のときと、それがきっかけで前世のことを思い出したので、実は、昔の記憶がかなりぐちゃぐちゃなのだが、透くんと一緒に途中から同じ学校に通っていた。

 でも、最初から一緒だったはずではないので、二年か三年、透くんは別の学校に通っていたことになる。


 この辺りの子なら、大抵は黎明学園の併設校が、わたしの通っていた学校に通うので、黎明学園の併設校に通っていたら案内してもらおうかな、という思惑もあったのだ。

 でも。


「あ、ああ……。ええと、僕、てんちょ……万結さんと一緒に通うまでは、学校は通っていなくて……すみません」


 わたしから目線をそらして彼は言った。

 まさかそんなにうろたえるるなんて、思っても見なくて、わたしの方が動揺してしまった。

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