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採集場所である玄天川につくと、わたしは夢中になってクマクの種を拾った。
親指の爪サイズの、丸っこいクマクの種。うっすらと青いので、地面の上では結構目立つ。
クマクの種は水に触れると一気に根を伸ばすので、採集にはタイミングが重要だ。クマクの木から種が落ちる前後と、種を拾うまでに雨が振っていると採集することはできない。
「――クマクって、こんな風に生えているのね」
一人せっせと種を広い集めるわたしに、姫鶴が話しかけてきた。さては姫鶴、本編の採集モードはスキップで済ませていたタイプのプレイヤーだな?
採集はミニゲームとして行われるが、スキップすることも可能だ。ミニゲームだと画面にクマクが映るものの、スキップしてしまうと採集したアイテムの一覧だけで終わるので、クマクを見ることはない。
クマクは親となる木が回りに種を落とし、その種から発芽した木が親の木に絡まるようにして成長し、太く大きくなっていく木だ。そして、完全に後代の木に覆われた元の木は、そのうち腐って、外側の木の養分になる。
空洞になると、そこにも種が生えて、新しい木が絡み、時には分裂するらしい。
「実際に採集に来ると、新しい発見があって楽しいですよね」
「それは同感。……もうちょっと、ちゃんとやれば良かったかしら」
そんなことを呟きながら、わたしがぽいぽいとクマクの種を入れているかごに姫鶴はクマクの種を入れてくれた。しかも、結構な量。
「わあ、ありがとうございます!」
採るのは楽しいし、文句もないのだけど、それはそれとして腰が痛くなるので、一杯くれるのは助かる。かがんで拾うからね。
依頼者である姫鶴に手伝ってもらうのもなんだか変な話ではあるけれど、まあ、もらえるならもらっておこう。今拾っているクマクの種から作った種油で、依頼品の縁金魚が作られることを言っていないから知らずに手伝ってくれているけれど、教えたところで、じゃあ手を貸さない、と言うような人ではない。
ある程度拾っていると、持っているかごは一杯になる。クマクの種はこのくらいあれば十分油が作れるかな。もう少し、他の素材も見ておきたいけど……でも、先に姫鶴の方も手伝おう。わたしも結構クマクを拾ってもらったしね。
わたしは持っていたクマクの種が入ったかごの蓋をしめると、姫鶴の方を見る。
「姫鶴の方の採集はいいんですか?」
「いくつか葉っぱを採るだけだから。これで十分」
そう言いながら、採集したものが入っているのであろうサイドポーチを彼女は軽く叩いた。




