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『黎明のアルケミスト』の舞台となる黎明学園の近くにある森――薄暮の森。それがこの街にあるメインの採集場所となる。ゲーム内でも、基本的にはこの森の中に入って素材の採集を行っていた。
ゲーム内同様、いくつかエリアに別れていて、森の入口にいる監視員の目が届く範囲であれば、特に許可証もなく出入りすることができる。子供の頃のわたしのように。
この入口付近では、万道具の素材集めにくる人だけではなく、ピクニックとかにも使われる。見通しが良くて、森、というよりは、森の前にある原っぱ、みたいな感じだ。
奥の方に行くには、万道具を作る人間である証明――万道具創師の免許か、黎明学園の学生証が必要となる。まあ、いくつか抜け穴があって、こっそり侵入することもできるのだが。この抜け穴は、森に住む生物が道として作るので、塞いでもすぐに戻るため、なかなか強化することができない。ので、わたしはその抜け道をたどって、奥に何度か入ったことがある。
といっても、奥は本当に『森』で、気を抜けば帰ってこられなくなるような場所だ。特に、正規のルートではないところから入っていくと、目印のためのロープすらないので、遭難待ったなし。こっそり入ったときには、出入口が分からなくなる範囲しか流石に行っていない。
まあ、秘薬シリーズを作るための素材を探すのなら、この抜け道からしか行けないエリアに行くんだけど。
閑話休題。
この薄暮の森には、結構な人が出入りする。質は採取する職人次第だが、値段だけみたら素材屋で買うよりは安上がりだから自分で取りに行く人は多いし、学園の生徒が実習のために採集したり授業で来たりする。
そんなわけで――。
「あら、ひぃちゃん」
――こうして、学園の生徒である姫鶴と出会うのも、そんなに驚くような確立ではないのだ。
……いや、姫鶴だけならまだしも、ゲームの攻略キャラ勢ぞろい、というのは、珍しい、かも……? でも、攻略キャラの様子を見たら、休日でも姫鶴へ会いに来ようとするかもしれない。湖黒が、店で、課題をしていた、と言っていたし、彼女たちも彼女たちで、課題のためにここへ来ているのかも。
森の入口、監視員に免許や学生証を見せる門のところで、姫鶴を筆頭に、青慈、赤希、詩黄、と――あと一人、どこかで見たような顔の男がいた。
……見覚えがある、ってことは、多分、ゲームのキャラなんだろうな。ちょっと自身がないけれど、多分、そう。




