表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/32

聖剣エクスカリバー

前回のあらすじ:バイバイ。

 とある洞穴を見つけた。


 それは、ファンタジアの最南端の島で、

 島の周囲が岩壁に囲まれ、

 決して船では辿り着くことのできない場所だった。


 その島の中央には巨大な樹が生えており、

 その樹の根元には洞穴があった。


 不思議な力を感じたブラックは、

 その洞穴に入り、横になっていた。


 何時間ぐらい寝ただろうか?


 月の赤い光がちょうど洞穴に差し込んだ時、

 女に声をかけられ、

 股間をコンコンとノックされた。


「もし……もし……」

「あ、あう!・・・三日三晩待って、やっと、やっと来たか」


 予感はあった。

 この洞穴は聖なる力で満ちており、

 しかるべき時にイベントが発生するのだと。


 女の体は、青い炎のように揺らめいていた。

 何千年も前に亡くなった死者で、

 かなり高貴な人物だとわかった。


 ブラックは彼女の記憶を探ると、

 彼女は勇者の母親だった。

 それも太古の勇者の。


「俺を、勇者の剣へと導いてくれるというわけだな」

 コクリ、と青く透明な女は頷いた。

 

 次の瞬間、体がフッと軽くなった。

 そして、気がつくと、

 ダンジョンの中にいた。

 湿っぽく、かび臭い。

 また薄暗かった。


 この勇者のダンジョンは、

 地下50階あるのだとわかった。

 一階一階攻略していくのもありだが、

 面倒なので、

 最下層までダンジョンの床を壊しながら、

 ブラックは下りていった。


 最下層――地下五十階。


 そこには、石の巨人が鎮座していた。

 荘厳な兜と鎧を身に着けていた。

 巨人へと続く石柱周囲に赤い炎が灯り、

 巨人の背後にある台座には、

 光り輝く剣が突き刺さっていた。


「勇者よ。最後の試練を超えてみよ」


 ブラックの『光のオーラ』に巨人が反応する。

 その光のオーラは、ブラックが能力で生み出したものだった。


「では、その光り輝く剣をいただこう」

「ならば、我を超えてみせよ」


 巨人が立ち上がり、

 斧にも似た巨大な剣を振り上げた。


 ブラックは指先で、

 その剣を受け止め、

 巨人に息を吹きかける。


 すると、次の瞬間、

 巨人の体は、ピキピキピキと音をたててひび割れ、

 さらにもう一度息を吹きかけると、

 バラバラに砕け散った。


 ブラックは台座へとのぼる。

「これが、ファンタジアに平和と秩序をもたらしたとされる――聖剣エクスカリバー」


 柄を握ると、難なく引き抜くことができた。

 鋭利な剣身は白銀色に輝き、

 ツバと握りには色とりどりの魔法石があしらわれていた。


 ブラックはその剣を大したものではないと思った。


 自分がクリエイト(武器練成)した剣の失敗作――『闇の剣』ですら、

 星一つを粉々にするだけの威力がある。


 その出来そこないと比べても、

 この聖剣の威力は、あまりにも脆弱だった。


「まあいい、コレクションに加えておこう」

 


 ブラックは聖剣エクスカリバーを、

 自らの剣のコレクションに加えた。


 対して、ファンタジアの勇者は、

 自らの最強武器を失ってしまったこととなる。


次回予告:グミグミ、幻、酒屋の親父

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ