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忘れられた町での忘れ物(能力クリエイト編:リサイクル)4

前回のあらすじ:セシルの着替え

「それはだな、『リサイクル』の法則性だ」


「法則性?」


 セシルはきょとんとした顔をしている。


「ああ、そうだ。法則性だ。俺の能力『リサイクル』にはある法則性がある。まず、ゴミ箱に、忘れられた町で捨てられていたゴミを入れる、この時、適当に入れるのではなく、ゴミ箱の一番下に、自分が生み出したいと思うものの素材を入れる」


 ブラックはゴミ箱の一番底に、町で捨てられていたおっさんの靴を入れた。さらに、その上に、紙くずや魚の骨、雑草や酒瓶、さらには、おっさんのティッシュなど、適当にものを詰め込む。


「もちろん、この時に、ガシャガシャガシャと攪拌してはいけない。攪拌したほうが、美味しくなるなんて思ってはいけないぞ。何ができるのか、予想できなくなるから」


「混ぜちゃいけないんだ。残念・・・で、それで、どうするの?」


「こう両手を上げて、呪文を詠唱をするんだ。『我、願う。汝、常闇の底に眠りし聖霊よ。我、思う。遥か天変の空を翔け、ゴミ箱に御魂を与えんことを!』」


 ブラックは両手を天に上げ、仰々しく呪文を詠唱し出した。もちろん、『リサイクル』を発動させるのに、呪文など必要ない。これはピエロ的なパフォーマンスだ。


「え?何?何?何?何が起こるの?」


「さあ、こい、スター・バースト・ゴミクズストリーム!」


 ブラックが両手を勢いよく下げると、夜空が闇に染まり、一筋の流星の如く白色光が、ゴミ箱へと舞い落ちた。ゴミ箱は眩しいほどに発光し、一瞬、白色のドレスを身にまとった美しい女性を幻のように見せたかと思うと、静かに消えていった。


 これも、もちろん能力による演出だ。『幻視』という能力で、演出にはもってこいの能力だ。


「え?え?え?何が起こったの?何が起こったの?」


 セシルは顔を左右に振り、びっくりしている。


「ゴミの聖霊が舞い降りたのさ。さあ、ゴミ箱の中身を見てみよう」


 ブラックがゴミ箱の中を見ると、予想通り、ある物が生成されていた。予想とは、ちょっと違ったが、まあ、問題はなかった。


「淫乱でわがままなゴミ聖霊ナースア様が、セシルのために、これを置いていったよ」


 ブラックはゴミ箱から、靴を取り出す。それは、メイドの靴だった。若干、いかがわしいフォルムをしていたが、まあ、裸足よりはましだろう、とブラックは思うことにした。


「ほら、セシル」


 メイドの靴をセシルに渡す。


「わあ~、わあ~、ありがとう」


 セシルはメイドの靴を両手で受け取り、胸に引きつけ、ギュッと抱きしめる。


 まあ、元の素材は酷いが、喜んでくれたから良しにしよう、とブラックは思った。



 それから、何度も実験をした。ゴミ箱に町で拾ったゴミを入れ、何度も検証したが、これ以上は、明確な法則性がわからなった。


 リサイクルをする場合、一番下になる素材が、生成されるモノを決定する。そして、複雑な法則によって、上に積み上げられた物の、位置関係、素材関係、さらには、能力内部で算出される素材の総ポイントによって、生成されるモノがランダムで決定されているのだ、とブラックは思った。


「駄目だ。ゴミ箱に適当に物を突っ込んでいても、これ以上、何もわからない」


 ブラックはその場で寝転んだ。


 いつの間にか夕方になっていた。廃鉱となった山の稜線に、太陽の残滓が輝いている。


 靴をもらい、ウキウキなセシルは、山に向かって楽しそうに石を投げていた。


 そこかしこに、石は転がっていた。


「たくさんある石・・・同じような石・・・どれもこれもほとんど同じたくさんある・・・石・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・そうか!石でなら!」


 ブラックはひらめいた。

次回予告:猫耳、魔法、石

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