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忘れられた町での忘れ物(能力クリエイト編:リサイクル)3

「ほほう、ほほう、これは面白い」


「何が面白いのおじちゃん」


 少しだけふくよかになったセシルが、ブラックの手元を覗きながら言う。


「わ、わ、わ、何を覗き込んでいるんだ。エッチな奴だ。お前はまだ少女で、女で、幼いからわからないかもしれないけどな、ある程度成長した男は、突然、後ろから覗かれるのが、大っ嫌いなんだ」


「あはは、嘘ばっかり。嘘つくの下手だね。顔に書いてあるよ、おじちゃん」


「ぐぐぐ・・・」


 セシルはクスクスッと笑った。昨日まで、希望を失い死んだような目をしたセシルとはうって変わり、顔には、10歳の少女特有の無邪気な笑顔が浮かんでいる。


 ブラックは、ふっと息を吐き、手元にあるゴミ箱を見せてあげた。そのゴミ箱は、先ほどセシルが飲んだオーク肉のスープが入っていたゴミ箱だった。


「あれ、これ、あたしがさっき飲んだスープが入っていたゴミ箱じゃない!」


「ふふふ、ただのゴミ箱ではない、中には」ブラックがゴミ箱に手を入れる。「じゃじゃーん。乙女の修道服だ」


 ブラックは黒地の修道服をゴミ箱から取り出した。


「わ~、すごい。まるで手品みたい」


「ちっちっちっち、手品ではない。それに魔法でもない。俺の能力『リサイクル』によるものだ」


「りさいくる?」


 セシルは首を傾げる。


「そうだ、リサイクルだ。さて、この修道服をおまえにやろう」


 ブラックは修道服をセシルに渡した。その修道服はセシルにとってまだ少しだけ大きいが、それでも、穴が開き、裾が破れ、灰色に薄汚れている今の服よりはずっとましだろうとブラックは思っていた。


「あの、これ、あたしがもらっていいの?」


「いらないのか?この修道服は特別性なんだぞ。普通の修道服とは違い、生地に月の石が練り込んであるんだ」


「ん?月の石?それってすごいの?」


「・・・わからん。ただ、普通の修道服よりは丈夫だと思う。たぶん・・・」


「ふ~ん」


 セシルは修道服を広げ、しげしげと見つめていた。そして、大きな石の上に修道服を掛け、「よっこいしょ」と言い、自分が着ている服を脱ぎだした。


「わ、わ、わ、お前、俺は男だぞ。男の俺の前で、恥じらいもなく脱ぐな!」


 ブラックはセシルの裸を見ないように後ろを向く。それでも、ちらっと、セシルのぺたたんこであばらが浮いた胸や、ブカブカパンツを見てしまった。


 10歳の少女のというか、女の子の生着替えシーンを初めて見たブラックは、自分の可能性を広げる新たなファクターを発見したような気がした。


「もういいよ。こっちを見ても・・・」


「ああ・・・」


 振り返ると、修道服を着たセシルがそこにはいた。相変わらず、靴は履いておらず、裸足ではあったが、先ほどまでのみすぼらしい姿のセシルはもういなかった。


「それでね、おじちゃん、何が面白かったの?」


「あん?・・・ああ、そうか、そうか」ブラックはセシルに見とれてしまっていた。「あのだな、発見をしたのだ。俺の能力『リサイクル』に関しての」


「それって、すごいの?」


「ああ、すごいさ。能力は創りだせばいいというわけではないんだ。創りだし、その法則性を、実験と検証をし、しっかり理解する必要がある。もしも、創りだした能力そのものが駄目駄目なら、より自分が理想とする能力に近づくように、調整する必要がある」


「う~ん。難しいな。それって、つまり、どういうこと?」


「能力を知るなら、何度も試しなさいってことだ」


「ふ~ん、で、おじちゃんは何が分かったの?」


「それはだな、―――――――――――――ー」

次回予告:メイド、淫乱、女神

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