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忘れられた町での忘れ物(能力クリエイト編:リサイクル)2

前回のあらすじ:ゴミが料理になる

「ヒャホ~ウ!」


「おじちゃん、なんで喜んでいるの?」


 奇声をあげるブラックを、少女は不思議そうに見つめていた。少女の名前はセシル。昨日、ゴミに新能力『リサイクル』を使用したところ、たまたまできた料理を捨てるのももったいなかったので、ブラックはそれをセイラに与えることにした。


 そのことで、なつかれてしまったらしい。


「ほらよ、そこのゴミ箱に、料理が入っているから、食べるといい」


「え?今日もくれるの?」


「ああ、それが俺のところに来た目的だったんだろ?」


 ブラックは、指で、横にあるゴミ箱を指さすと、すでにセシルはゴミ箱に顔を突っ込み、料理を食べ始めていた。


 モンスター料理。


 おそらく、できた料理はオーク肉のスープ。ハーブや香草で匂い消しをし、ブルーオレンジの果実で、風味を出しているのだが、正直、オーク肉という時点で、それがどのような料理であっても、ブラックは食べる気がしなかった。


 オーク肉は臭い。


 それも、とてつもなく。


 雑食でかつゲテモノ食いのオークの内臓付近の肉は特に最悪で、一口食べると、口の中にとんでもない腐臭が漂い三日ほど食べたものを吐いてしまう。その苦い経験があるブラックは、リサイクルでできた料理の肉がオーク肉――それも内臓付近の肉であるとわかった時点で食べる気さえしなくなった。


 それでも、ゴミによる5回のリサイクル。

 

 その五回目で、やっと料理が作成でき、さらに、作成されるものの法則性が断片的にもわかったことで、、ブラックはウキウキになり、我慢できず、喜びの声を発してしまったのだ。




 ここは、町から、数百メートル離れた岩石地帯。


 目の前には、そり立つ壁にも似た、草木が一本も生えていない鉱山が連なっており、ブラックとセシルの周囲には、石としての価値がない――ただの石ころがゴロゴロと転がっている。


「さあてと、我が創造した能力『リサイクル』を実験、検証していこうか」


 ブラックは黒衣の袖をまくりながら言う。


「おじさん、美味しかったよ」


「ん?んん?」


 ゴミ箱から顔を出し、舌でぺろりと口周りを舐めるセシル。オーク肉を食べたというのに、決して気持ち悪そうな顔はしていない。この子の胃袋はとてつもなく強いのか、舌の味覚を失っているのはわからなかったが、その両方の可能性でないとするならば、『リサイクル』によって作成されたオークのスープは、自分が知らない何らかの材料によって処理されていたということを示唆していた。


 周囲に散らばる、ゴミの四度のリサイクルにおいて、モンスターの上質革、マジックペーパー、蜘蛛の卵糸、使い古しの靴下の四つが作成されたが、どれも、若干、もとのモノと性質が異なる。


 もしかしたら、新能力『リサイクル』は、できた物にそのオリジナルな物とは違う、何らかの性質を付加するという『隠れ性能』があるのかもしれない。

 



 ブラックは笑いが止まらんかった。


「ふははははははは、これは面白い。さあ、実験と検証だ」


 ブラックの笑い声にセシルは顔を傾け呟いた。


「なんで、笑っているんだろ、変なおじちゃん」と。


次回予告:セシル、着替え、パンツ



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