悪役令嬢ひのこ、白い光が(悪役令嬢底辺編)
前回のあらすじ:眼鏡ざまぁ
「ブラック、私、あなたに近づいている」
私は聖マリアンヌ女学院礼拝堂に来ていました。
スタンドガラスを通して零れる、
色鮮やか光が礼拝堂を照らし出しています。
私の背後に連なる、
二列の長椅子には誰一人として座っていません。
私は礼拝堂で一人、聖マリア像に祈りを捧げていました。
「けれど、あなたはいったいどこにいるの?」
聖マリア像の足元で燃える蝋燭の炎が左右に揺れ、
私の修道服にも似た制服をチラチラッと照らします。
風が・・・。
背後を振り返りますと、
礼拝堂のドアが開いていました。
荘厳な、両開きのドアの隙間から零れる太陽の光が、
長椅子の間を走る赤いじゅうたんの上に伸びています。
その上を歩き、私に近づいてくる一人の男性がいました。
聖マリアンヌ女学院は、男子禁制の女子高。
そんなところに、なぜ、男性が・・・と私は思います。
「誰・・・?」
太陽の光を背後に浴び、影となり、
その容姿をはっきりと見ることはできませんでしたが、
その男性のフォルムは、完璧でした。
私は、その姿形をブラックと重ねました。
「僕は、ホワイト。魔人子爵、ホワイトだ」
次回予告:能力クリエイト、料理、忘れられた町