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悪役令嬢ひのこ、クラスで勉強中。けれど――(悪役令嬢底辺編)

前回のあらすじ:眼鏡の説教

「ひのこさん、テスト、すごい結果だったらしいわね」


 教室で、勉強にいそしんで知ると、

 高坂リオさんがあたしに話しかけてきました。


 艶やかな黒髪に、白い肌。

 冷めて瞳で、口元に微笑を浮かべながら私を見下ろしています。


「どうして、私のテストの結果を知っているんですか?」

「あら、そんなこと、有名よ」


 教科書から、顔をあげ、

 クラスを見回すと、

 クラスメイト全員が私を見て、ひそひそ話していました。


 どこかから、私のテスト情報が漏れたのです。

 眼鏡マリア先生が、私の態度に腹を立て、

 こっそりと、クラスメイトの誰かに漏らしたのかもしれません。


 とことん陰湿な女・・・。


「いい点とれるといいわね」

「取れます!」


 私の言葉に高坂リオはフッと笑顔をこぼし、


「以前のあなたはもっと輝いていた。ライバルとしては申し分なかった。一か月前のあなたは、あらゆる人をゴミのように扱っていた。それがあなたの輝きで、あなたの魅力だったのに、それが、今では何?カサカサカサと生きるのに一生懸命なゴキブリみたいじゃない」

「・・・・・・くっ」


 私は教科書を破りそうになりました。

 シャーペンシルで、リオを刺し殺したいと思いました。

 けれど、ここで、そんなことをしたら、私の負けです。


「どうしたの?何かを言いなさいよ。頭の悪い、ド底辺を彷徨っているゴキブリさん」


 スッ、と私の気持ちが落ち着きました。


「・・・言いたいのは、それだけ?私、勉強しないといけないの。あなたと違って、暇ではないの。そういえば、まだ鷹峰浩一に言い寄っているの?彼、あまりに服装がダサいし、背も低かったから、ずいぶん前に私、捨ててしまったのだけれど、もしかして、まだ、彼を手に入れていないとか・・・」

「・・・うっ」

「あら、図星だったようね。はやく、告白したらどう?あ、でも、それだと、もし、あなたが鷹峰浩一を手に入れたら、私のおさがりを手に入れることになるのよね。そういえば、蠅は汚いものにたかるのが好きだったわよね。それって、私が汚したおさがりにたかろうとしているあなたにまさにぴったし、ふふふ・・・」


 高坂リオは私に何も言い返せないでいました。

 そして、去り際に、負け惜しみと言わんばかりにこう言いました。


「せいぜい、勉強を頑張りなさいね。どうせ無駄だろうと思うけど・・・」


 痛くもかゆくもない、安っぽい負け惜しみでした。

 高坂リオが、私に負けて去っていくのを知ると、

 クラスメイトは私をこっそりと見つめ、

 ひそひそ話をするというのをやめました。


 弱さに漬け込み、傷つけ、蹴落とし、

 自分の地位をあげようとする機会を聖マリアンヌ女学院では誰もが狙っています。


 表では皆、仲がよさそうに振る舞っていますが、

 それはあくまで表面上の顔。


 私は、周囲につけ入られないように勉強を始めます。


 ――そうだ、まずはテストで良い点をとること、それからです――

 

次回予告:眼鏡、マリア、ざまぁ

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