悪役令嬢ひのこ、職員室に呼び出される(悪役令嬢底辺編)
前回のあらすじ:底辺スタート
「ちょっと、どうしたの、ひのこさん。前回の中間テストの結果がひどく落ち込んでいたのだけど、何かあったの?」
「い、いえ、何もありません」
私は職員室に呼ばれていました。
担任の眼鏡マリア先生は、厳格な面持ちで私を見ています。
「目の下の黒い隈に、荒れた肌。どうやら、最近、疲れているようですね。私の、英語の授業も時々、居眠りをしているようだし」
眼鏡マリア先生は、そのことに根を持っていたのか、私にチクリと言います。
「すみません。勉強のしすぎで・・・ちょっと」
「はあぁ・・・」眼鏡マリア先生は私にわかるようにため息をつきました。「そんな、はっきりとわかるような嘘をつくのはおやめなさい。テストの結果をみればわかるのよ。あなた、全教科赤点だったでしょ」
「へ?私、そんなに悪かったんですか?」
毎日、生活に追われ、
授業のほとんどを睡眠に当て、
テストが返ってきても、
夢うつつに受け取り、
それを無造作に鞄につっこんだままでいた私は、
テスト結果をまだ見ていませんでした。
「ほら、みなさい。勉強しているなんて、大嘘よ。あなたをマリア様が見ていますわよ」
眼鏡マリア先生は、職員室に飾られているマリア像に目を向けながら、私を叱責します。
私は聖マリアンヌ女学院に通っています。
全国屈指のキリスト系お嬢様学校で、
入学するのには学力だけなく、
家柄もかなり重要視されるとか。
ちまたでは、かなりぶっ飛んでいると噂のお嬢様学校です。
ただ、その分、格式豊かな海外の高校とも強いつながりがあり、
卒業、即、イギリス皇室に入った女性もいるとか、いないとか・・・。
「すみません。けど、私、次のテストでは、必ずいい点をとりますから」
「はあぁ・・・」眼鏡マリア先生は再び大きくため息をつきます。「今のあなたのそんな言葉は信じられません。以前のあなたはもっと輝いていましたわ」
私はその言葉を聞き、ピキリとなった。
「次は・・・次は・・・必ずいい点を取りますから」
私は震える拳を握り、必死に怒りに滲んだ声をころします。
「だから、言っているでしょ。あなたの・・・」
と眼鏡マリア先生が再び言いかけた時、私はその言葉にかぶせるように、
「いえ、必ずとります!」と強く言いました。
私は、もえていました。
ブラック様を見返すために、より美しい自分になるために、
努力してきたのに、
この眼鏡マリアのクソババアはこうも簡単に否定してきた。
例え、睡眠時間がほとんどなくなろうとも、
この眼鏡マリアのクソババアを見返すために、
次のテストで必ずいい点を取る。
まずは、それからです。
次回予告:嫉妬、妬み、ざまぁ