悪夢を喰うバクを探しに行こう
エリューが悪夢に苦しめられていると聞いて、リューカが悪夢を喰う精霊のバクを探しに行くお話。ポイントの上下に慌て続けていたけれども、自分の好きなように小説を書こうかな、と思った。もう取り返すのは、自分の文才では、地道に作品の中であげて行くしかできないよなぁ。
ワタクシは、まだ心の中に巣食うトラウマと精神攻撃のコンボをされ続ける悪夢を見続けていた。
ワタクシには、悪夢を喰う精霊の居場所はわかっていても、そこに行こうとすると金縛を受けて、全く動かまいのだ。金縛の原因がわかってはいるし、このノロイにも見覚えがある。これは間違いなく『世界の制止』だ。このノロイは世界の防衛装置のようなもので、世界の歯車のような人間を失いかける時や、大虐殺を阻止するために1を捨てて十を得る恐ろしいノロイ。まるで動くことのできないワタクシは、親友のリューカにお願いをしてしまう。こんなこと、親友に頼んだら失望されてしまうという恐怖と、親友への信頼と重なって、ワタクシは、ついポロリと本音を漏らしてしまう。
「悪い夢に苦しめられるのは、もう嫌なんだ。もう、悪い夢は見ないほどに幸せになれているのに...,.. 過去に縋るのはもうおしまいにするために、バクと相対しないとならないんだ。でも、風邪でワタクシは動けないのですが、時は刻一刻と迫りつつあります。親友のリューカに、お願いです。バクを従えて、ワタクシの元へ連れてきてください。虫のいいお願いだとわかっていますが、お願いいたします」
ワタクシは書き終わると、激しい頭の痛みと熱いのに寒いので、布団に入って安静にしておく。
お医者さんからもらった苦いお薬を飲んで、静かに眠りにつく。
一方その頃、その手紙をもらったリューカは、装備を整えて、夏でも雪が降り積もっている闇の精霊バクの住む雪山へ向かう。お姉様とお父様がついてきてくれて、頼もしい気持ちが一杯の中、吹雪の吹き荒れる雪山へと入る。
元々吹雪が吹き荒れて、視界が悪い中、魔術を使用して自然の罠を潜り抜けながら頂上へと進んでいる。猿が豪速球の雪玉を脳天めがけて投げてくるが、私達は軌道をそらしながら、逆に雪玉を投げ返す。すると、面白いように雪玉が猿にあたって、猿は全速力で逃げていく。必死に向かっていくと旅行者が来て話しかけてくる。
「君達は何のために、このような雪山へ来たのかね?ここは修行場で女人禁制なのだが......」
「嘘ですね。ここは元々は封印されているんですよ。氷の王が」
お姉様がそう断言していると、旅行者はバケモノへと姿を変えて襲いかかる。
それをお父様が、腹部に重い一撃を与えて、さらに追撃をかけていく。容赦のない一撃に、タンマ、タンマと虚しく叫ぶバケモノ。
バケモノは、参りましたと告げて、私達をバクの住む洞窟へ導く。バクの住む洞窟では、家族と分離されてバクの元へ向かわないといけない。
孤独な試練の幕が上がる。
鏡のような透明度の高い石の壁は、私の本心を写している。私はエリューが居なくなることが嫌だという心の裏側に隠した、エリューの苦手なところも全部全部写してくる。
エリューはいつだってミンナと仲良くできそうなのに、何故一歩引いてしまうのか?私の他にも親友がいたっていいのに?ねえ、エリューはいつも、いつも私のことしか考えていないのは何で?
私は、祭壇の前にまで進む。そして、祭壇に足を踏み入れると神々しい雰囲気を放つバクがいた。
バクは、静かに涙を流していた。バクは鬼気迫る様子で叫ぶ。
「貴殿がアノコの親友にふさわしいか見極めさせてもらおう。アノコに悪夢を見せているのはアタイの分身でね、アタイと協力してアイツを倒してくれる実力かどうか戦おうか」
バクは巨大化して、桃色の煙を私に浴びせてくる。私は、モロにその煙を浴びてしまう。
私は眼が覚めると、エリューが笑顔で私の代わりに聖教国の残党の女の子に心臓を貫かれて死んでいた。その後も足がすくんで動けない私を置いて、ソイツはエリューのカラダをバラバラに切って、斬っていく。そして、最期にエリューは悪あがきをして、ソイツもバラバラになって死んだ。エリューを失い続ける夢を五億五千六百万、その中で家族も皆殺しにされたのは6万回、私の心は壊れかけていたが、まだ立ち向かわないといけない。それは、エリューと私とした親友としての最初の約定。『絶対に生きることを諦めない』
だって、自殺だけは嫌だった。神さまからもらった命を無為に捨てたくない。
私は、悪夢に打ち勝ち、外の世界へ足を踏み出した後に、ある夢を見た。
だれか知らない青年がバクの封印されていた楔を壊して、ともに行こうと言ったその瞬間に、バクは拒絶した。拒絶したその後にバクは嘆いて、閉じ籠る、何回も青年はその記憶を失って、助けに行く。バクは、青年に従うと決めて、初めて人里へ出た時に彼の死体を見た。彼は聖教国の人間のせいで殺されたと知った時、バクは人間を憎悪して分身を生み出した。
それは、バクの記憶。いつまでも終わらない夢から覚めようか。