前世の夢 パート1
夏休みシリーズの中の幕間。ワタクシは今日も夢を見る。
ワタクシは俺だった時の夢を久しぶりに見た。
(ああ、懐かしいな。どうせ、神さまからの贈り物なのだろう。自分という人生を映像として見るなんて、あの時はまだ思ってもいなかったな)
俺が産まれた時から、あるノロイが身体全身に刻み込まれていたらしい。気がついたのは物心ついて働き始めた4歳の頃だった。その名を『死神の刻印』というノロイであった。このノロイの前には、権力者も、平民も、貧民すらも抗えない。無慈悲に残酷に突きつけられる処刑宣告。俺は20歳の誕生日の三日前に何をしようが、死んでしまうらしい。俺はこの残酷な運命があったが、そこに希望を見出していた。何せ、あと15年も生きていける。その間に自分という人間は『“シアワセ”』を掴み取ってみせよう。お父様の顔も名前も知らなかったが、その分、母親の愛を受けていた。だから、俺は人目につかない子供にしか入れないような排水溝の掃除から、街の警備の真似事までなんだってやった。しかしながら、このスラムの近くには川も、海も、湖すらもなく、かといって恵の豊かな山まで数日ぐらいは子供の体力ではかかってしまう。しかも、不都合な事に恵みを手に入れようとする場所に行くためには敵国の脅威と向き合わなければならない。誘拐される可能性や、奴隷にされる可能性の高い危険な賭けだ。北と東は、自然の恵みが豊かなラピュータ山があるが、聖教国がある。西と南には、キレイな水や、お魚さんがたくさんいるが、魔物の多い海で、帝国から来た騎士崩れの海賊たちがいるらしくて、お母様も行くな、と言っている。
俺は母親に連れられた闇市で、たった一度だけお願いをして買ってもらった干し芋があって、その味は転生した今でも大好物だ。
ああ、あの時に、お母様は言う。
「他の人たちには内緒ですよ。セシオン」
「はい、わかりました。お母様」
なにかを企んでいるようなお母様の笑顔にドキッとしながら、俺は約束する。そして、俺はサツマイモの種を必死に働いて得た給金で数粒買って、植えたものの製品のような立派なものではなかったのも、今ではいい思い出だ。
希望に満ちたりていたはずの日常はある日に突如起こる大飢饉によって奪われる。
必死に育てた食物も、偉い方の贅沢のために奪われて、今日の食料に困り詰めて小犯罪も起こせずにいる俺をアンタは空から謝ってくれるが、俺には、そんな謝罪よりも今日の食料に巡り会える幸福を欲した。
母親すらも、食料問題の仲裁のせいで殺された。美しい髪は散り散りに切られて、あちらこちらを残酷なまでに斬り殺されても、なお、お母様は笑みを浮かべている。その時から俺は決めた。飢饉に困らない生活のための秘密基地を!
その時にワタクシの夢は覚めた。




